そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『落ちこぼれ剣士は魔滅の刃で反撃ハーレム』について

 今回紹介する作品は『落ちこぼれ剣士は魔滅の刃で反撃ハーレム』です。

落ちこぼれ剣士は魔滅の刃で反撃ハーレムを築きます! (美少女文庫)

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どんな作品か

 妖魔が人々に恐れられ、蔓延る世界。妖魔に対抗する剣術の達人は剣聖と呼ばれる。剣聖が後進を育成するための施設は、剣士院と呼ばれる。主人公の桜井洸弥は、父の影響で剣聖を目指していたが、病気の母と家族たちを養うために、剣士院への受験を諦めることを決意する。
 そんななか、いつものように村のはずれで、剣術の修行に励んでいると、村が妖魔に襲われているのを発見する。
 妖魔、蛇王により、石化される村人たち。さらには妹の理洲まで蛇王に吸血され、妖魔に変えられる。
 後から助けに来たカナデ・エクセリアと、父の形見の刀を使い謎の力を覚醒させた洸弥により、蛇王は一時的に退散する。
 しかし、妖魔になった理洲は剣士院で監視されることになる。妹と一緒にいたい洸弥は皮肉にも一度は諦めた剣士院の受験を決意する。
 剣士院の受験のなか、妖魔化を抑える拘束具の力をもってしても暴走しかける理洲。妖魔化を止めるには、妖魔に対抗できる力を持った人間の体液が必要と聞き、月夜の夜に理洲にも求められた洸弥は兄妹での性行為をすることになる。
 妖刀についた妖魔、カナデ・エクセリアとも仲を深め、性行為をする関係になる。

どう面白いのか

 随所に近年、話題となった漫画を想起させるパロディがあります。そのパロディがただのパロディでとまらず、ジャンプ漫画のエッセンスを抑えた王道異能力ものとして描かれています。
 エロシーンへの導入も自然です。
 バトル漫画のツボを抑えつつ、ちゃんとヤることヤっています。

キャラクターの魅力

 キャラクターが魅力的です。
 貧しくも温かい村での暮らし。
 そこでの兄妹のふれあいを丁寧に描くことで、妹が妖魔になったことにより、兄妹間で性行為をしなくてはいけない、という流れに背徳感があります。
 最初は、妹を助けるためと言いながらも、行為を繰り返すうちに自分の中に秘めていた情欲に自覚していく主人公の心理の流れは丁寧に描写されています。
 主人公と恋仲になるエクセリアも魅力的だ。ふだんは強気の女性が、主人公にだけは献身的につくす姿はとてもいいです。

どうエロいか

 最初の性行為が突発的で、それでいて主人公が自分の行為に許しを与えられる余地があるとこがいいですね。
 妹の妖魔化を抑えるために主人公の精液が必要。妹もそれを求めている。妖魔化により、舌ったらずな口調で訴えてくるところがいい。
 また、エクセリアもあるトラブルにより妖魔化してしまいそうになってしまう。ここでもやはり主人公は応急処置として性行為を行うことになる。
 異能力バトル漫画のツボを抑えつつ、エロいシーンはちゃんとエロい作品でした。

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『うちの魔女様は世界唯一の最強エルフのくせに、セックスを知らない』について

今回紹介する作品は、『うちの魔女様は世界唯一の最強エルフのくせに、セックスを知らない』です。

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どんな作品か

 長命で偉大な魔女のフェリスと、その弟子のシオンとの恋愛もの。
 魔女のフェリスは、弟子のシオンに「セックス」とはなにかを尋ねる。自分の師に性知識がなかったことに驚く弟子。他の男性に同じことを尋ねられるなら、と考えた彼はフェリスを抱く。シオンは密かに、フェリスに対し想いを抱いていた。
 抱いたのち、理由を尋ねると。古くからの伝承により、セックスには魔力を高める効果があった、と書かれており、彼女はそれを読んだ。そこからセックスに興味を持ったフェリスはシオンに訪ねたのであった。
 セックスの快楽を知ったフェリスは弟子のシオンと何度も肌を重ねるようになる。
 

どう面白いか

 弟子と師匠のやりとりがコミカルで面白いです。セリフやアクションから、2人のこれまでの生活感が伝わる描写があります。だからこそ、師匠と弟子の関係を超えてからの淫らな日常のエロスがとてもいいです。
 世界観も魅力的。フェリスとは旧知の関係の黒猫のニキータ。黒猫が思わせぶりに語る魔女に対しての設定の一つ一つは詳しく知りたくなるものばかりだ。
 設定の出し方に過去を感じさせる。何かあったんだろうな、と思わせるような描写があるんです。そのなにかが知りたくて、ページをめくる。
 そして、これまでの積み重ねの上にある非日常としてのセックスというのがエロいんです。

キャラクターの魅力

 キャラクターも魅力的です。
 師匠であり、エルフのフェリスはとてもかわいいです。身体は大きいが内面は子供な彼女は、内面も挙動もコミカルです。
 世話焼きの弟子にかいがいしく世話されているところがよりいっそう彼女の大きな子供感を引き立てている。
 弟子のシオンもいい。子供の頃は師匠に甘えていた彼が大きくなったら、逆に師匠を世話しているという立場の違い。
 そんな彼が媚薬を飲んだとはいえ、尊敬している師匠にサディスティックに振る舞い、師匠を白く染めているのは、とてもエロい。

どうエロいか

 師匠と弟子の関係によるセックス。ふだんは師の世話を焼いているが床のうえでは立場が違う倒錯。
 最強のエルフが相手だからか、師匠が作った媚薬の効果により部屋全体を白く染めるほどの中出しの連発がエロい。
 魔法による認識阻害を使った街中でのセックスもよかった。バレそうだという危機感があるのに愛液を溢れさせてしまうフェリスの内面は官能的だ。
 また、本作は妊娠が重要なファクターであり、エルフと人の間では子供が生まれないという不文律がある。
 そのルールの隙をついた展開が起きた時、もしやこれで孕むのでは、という期待感のような背徳感があった。

 オススメの作品です。ぜひ、読んでみてください。
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『天才妹メイドはモルモルエロエロ』について

 今回紹介する作品は『天才妹メイドはモルモルエロエロ』についてです。

天才妹メイドはモルモルエロエロ! (美少女文庫)

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どんな作品か

 主人公の迅と結衣は、両親の結婚をきっかけに兄弟となる。妹の結衣は天才で、天災。さまざまな実験に兄を巻き揉む。
 お互い時間を過ごすうちに兄も妹も互いのことを好きになっていた。兄である、迅は妹である結衣に好意を抱いていたが、表立った行動には移さなかった。ということに、妹の結衣は気づいていた。むしろなぜ早く手を出さないかと期待している。
 兄の迅に媚薬を飲ませ、自身はメイド服を着て、誘惑するも、迅は兄としての態度を強固な理性で崩さなかった。
 迅がお風呂に入っているうちに、兄のベッドで自慰にふけりながら、どうするかと悩んでいたところ。兄が戻ってくる。
 戻ってきた兄と対面すると、ペットとして飼っていたモルモットの突然の行動で迅と結衣は事故に近い形でキスをする。
 その流れで、兄の想いを問いただし、恋人関係になった二人はそのままベットイン。
 晴れて付き合うことになった二人だが、結衣の望みはこの先にあった。
 迅は結衣に流されるままに、彼女と恋愛実験を行うことになる。

どこが面白いか

 タイトルにいろんな意味がかかっています。マッドサイエンティストで、メイドで、妹で、という設定を持っている。妹は兄をモルモットと称している。彼女はモルモットを飼っていて、その鳴き声は「プイ!」。モルモットの頭はなぜか緑色。
 それでいて、混沌としたストーリーでなく、わりと理路整然とした話として読めました。
 本作は着エロを重視したプレイが多い。メイド服で誘惑する妹。恋人になったあとは学校を模したホテルを貸し切っての制服エッチ。
 終盤は文化祭でひと目を偲んでの性行為。これらの行為は、3歳差の結衣と迅の関係にある、学園生活を十全に過ごせなかったことに対する不満から行われていた、というのがわかるのがエロ描写に正当性があってよかったです。
 

キャラクターの魅力

 結衣が可愛い。知的で丁寧な口調で兄をからかう妹の要素とメイドの要素、天才キャラとしての要素がセリフの中で両立している。
 盛りすぎかと思われた設定が一人のキャラクターとして独立しています。
 彼女のキャラクター性は性行為にも出ています。キスのときは目をつぶらずに、見開いて見つめるとか、いろんな理論をたてた結果、メイドで誘惑するのが成功率が高いと結論を出していたけども、実際はある種の妹としての嫉妬みたいなのが絡んでたりとか。いろんな要素がちゃんと絡んでいるところが良いです。
 キャラとしても魅力的だし、ちゃんとエロい。

どこがエロいか

 本作のプレイは着エロを重視したプレイを中心としています。兄を誘惑するための露出多めのメイド服。表紙に描かれていますが、まさに二次元でしか見れないようなエロい衣装ですばらしい。恋人になれた結衣はさまざまな場所で兄と性行為に興じます。
 この着エロの目的が、兄にとっての青春を妹で塗り潰そうという彼女の独占欲から出るものだった。
 そういう想いの強さが性行為描写の興奮をそそります。
 メイド服や学生服でさまざまなシュチュエーションや趣向に凝ったプレイが多く描かれていて、ボリュームがあったところが良かったです。

 オススメの作品です。ぜひ読んでみてください。
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『合コン行ったら姉がいた(美少女文庫)』について

 今回紹介する作品は、『合コン行ったら姉がいた』です。
合コン行ったら姉がいた (美少女文庫)
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どんな話か

 主人公の守人は、合コンで出会った女性が生き別れの姉、真衣であることに気づく。二人は孤児で、同じ孤児院で育った。
 守人は、姉を慕っていた。しかし、ある日を境に真衣は守人を拒絶する態度を取るようになった。その後、弟は里親に引き取られ、姉と離れることになる。
 その後、守人は姉が裕福な家に養子となったことを知る。自分が幸せになるために、姉の真衣は弟を普通の里親に出し、姉は裕福な家に行ったのではないか。そう考えた守人は真衣を恨むようになる。
 こうして、守人は大学生に、真衣がOLになったときに、偶然参加した合コンで姉と再会したことを守人は知る。
 弟は姉であるに復讐するために、彼女を自分にベタぼれさせ、幸福の絶頂で地獄に叩き落とそうと考えていた。
 真衣は次第に守人にのめり込むようになる。果たして二人の関係の行方はどうなるのか。

どこが面白いか

 背徳的でエロく。終盤までハラハラとした気分で読みました。まず、表紙がすごいんですよね。
 いかにも肉感的な女性が酒を飲んでこちらに微笑んでいる。右上の方で下着のあられのない姿でこちらを見上げている。
 お持ち帰りされたんだな、てことがわかりますよね。そして、タイトルにこう書かれています。
 「合コン行ったら」ーーなるほどね、合コンでこの子と出会ったのね。
 「姉がいた」ーーえっ、姉弟ものなの!? 合コンで出会ったのに!? なんで右上になったの!?
 そう思って、よく見てみると、緑色の吹き出しで「向こうはこっちに気づいていない」
 ーーああ、なるほどね。でも気づいてないってそんなことあるぅ!? って思うじゃないですか。
 さらに、よく見てみたらちぃさぁく書いてあるんですよ。「生き別れの」「恨みがある」と。
 つまり、生き別れの姉と弟が合コンで再会してそのままヤることやった話らしい、と。
 この表紙を見て、どんな話かわかった時点で、えっこの作品どうなんの!?って思うんですよね。
 物語の展開も面白かったです。ヒロインが主人公にハマっていくまでの流れが丁寧に感じました。
 濃厚で、サディスティックなプレイに、彼にハマっていく、彼女の心理描写がとてもいいです。
 真実を知る我々、読者はある種の背徳感を感じると同時に、どう収拾つけるんだろうって気にならせて、ページをめくりたくなるんです。
 本作は話が進めば進むほど、でもこの問題どうすんの、と思うようなものが出てくるんですよ。
 それが思わぬ要素が終盤に出てきたときはビックリしました。そうなるんだって。
 とても面白かったです。

キャラクターの魅力

 キャラクターたちもとても魅力的です。
 ヒロインの真衣もとても官能的です。本作はヒロインを幸福の絶頂にしたあとで、それを地獄に叩き起こそうとする話です。
 なので、ヒロインと主人公の心理描写に重きをおいています。
 ヒロインが主人公に対し、思いを寄せていく場面。ヒロインの恋心に熱を帯びていく心理に比例するように、復讐心を燃やす弟の心理。
 このへんが読んでてヒリつくんですよ。手にかく汗が冷たく感じるような緊張感がありました。で、ありながらも調教もののような、一人の女性が主人公の思い通りに精神を変化させていくエロスを感じました。
 この辺は文字だからこそ感じるエロスを読み取れた。

どうエロいのか

 この物語はどうなるのだろう、とページをめくらずにはいられない緊張感と、官能小説としての用途が両立しています。
 僕らはヒロインが心配で、彼女はどうなってしまうのだろうと考えてページをめくります。
 一方で、その瞬間が訪れるのを期待している自分がいる。
 ヒロインが幸せを感じ、主人公に対する好意を自覚すればするほど、そのときは近づくんです。
 合コンで出会い、お持ち帰りされたヒロインのチョロい具合はとても可愛く、なにかがかんたんに壊れていく最初の一歩はとてもいい。
 会社ではとても真面目な女性として評される彼女が主人公に促されるままにオフィスラブに興じるながれもとてもよかったです。
 ヒロインがどんどん警戒心を説いて、彼にいいようにされているのがいいんですね。
 
 とても面白かったです。オススメの作品です。

『メイドと学ぶ商会経営(美少女文庫)』について

 今回紹介する作品は『メイドと学ぶ商会経営』です。
メイドと学ぶ商会経営 クールな彼女の愛し方 (美少女文庫)
もくじ

どんな作品か

 主人公のクラウドが抱えている商会は破産の危機にあった。主人公は父から商会を引き継いでいた。父は3年前に落盤事故で死んでいた。商会を引き継いだ後、なんとか商会を黒字経営で進めていたが、突如、父がしていた借金の請求が来る。このままでは、銀行に借りているお金を返せない。黒字経営であるにも関わらず破産してしまう黒字破産の危機に立たされた。クラウドは商会の経営者としてなんとかしようと悪戦苦闘する。彼の従者であるメイドのノエル、ターニャ、クロエもクラウドに協力し、やがて親密になっていく。

どう面白いのか

 本作は2つのメインストーリーがあります。一つが無表情なノエルとクラウドとの恋愛関係。ノエルは普段から毅然とした態度でクラウドをサポートしていて、周囲からは氷の魔女と評されていました。ノエルとクラウドは幼馴染です。クラウドは幼少期に彼女の笑顔を見たことがあります。クラウドはどうしても心からの笑顔を見てみたいと考えています。しかし、ノエルの表情は変わることがない。クラウドはノエルと、主人とメイドとして、肉体関係をもっているが、本当の意味で親密になれていないと考えていて、その仮面の下の素顔に近づきたいと考えている。そうした想いがプレイの激しさにつながっていき、官能描写の必然性になっています。
 もう一つは、商会の経営。クラウドは期限までに融資してもらっている銀行に返済するお金を用意しないといけない。
 その問題の内実を序盤でわかりやすく解説されています。だからこそ、難しいことがわかった、と思いました。それにより、得をした気分になれる。また、この問題はタイムリミットのある問題です。主人公たちが問題解決のために起こすアクションの一つ一つになるほどと思うと同時にページをめくればめくるほど序盤で明らかになった問題の期限に近づくわけですから。読んでいて、緊張感のようなものが走りました。
 そして、本作はこの2つのストーリーのゴールがラストで集約されています。ノエルの仮面の下に隠された本心を知ることと、商会を経営を成功させることが同時に起き、それらが相互に作用してのラストになる。そこにはカタルシスがありました。

キャラクターの魅力

 キャラクターが魅力的です。主人公のクラウドは頭脳明晰で、セリフや心理描写の一つ一つが読んでて頭がいいと感じさせます。それでいて、ノエルに対しては抑えきれない情動のようなものを感じ、商会経営の日常を楽しみながらも、官能的な非日常の到来を楽しみにページをめくりました。
 もちろん、ヒロインであるノエルもとても素晴らしい。彼女はクールなメイド。しかし、内には主人であるクラウドに対する恋心があります。彼女は主人とメイドとしての関係を保つために本心を隠している。表には出ない内面の描写がとても素晴らしいです。彼女の本心を明らかにしたいクラウドによって行われるプレイの数々に対しての彼女の情欲が溢れそうになっている心理描写はとても官能的です。そして、そんな彼女が仮面を外して求めていくさまを見るのはとてもカタルシスを感じました。
 主人とメイド、主従関係であるが、内面で想い想われの関係である二人はとても魅力的な関係性です。
 また、二人の周りに添えられたターニャとクロエも魅力的な登場人物だ。
 二人によるコミカルな台詞回しは面白い。また、クラウドとの肉体関係を持つまでの流れも、その情事も、とてもエロくてよかったです。

どうエロいのか

 本作は文章だからこその魅力の詰まったライトノベルの官能小説でした。クールであるノエルのうちに秘めた主人を想う心理描写はとても面白かったです。ノエルがある失敗をしたことによって行われるクラウドのお仕置きは、とても官能的でした。クールなメイドとしての振る舞いが求められ、そのとおりに振る舞う彼女。しかし、スカートの下にはクラウドによって装着するよう命じられたあるものが身体をいじめる。このプレイの場面は官能的であると同時に、クラウドの考えが読めない場面でもあったため、これからどうなるのだろうとワクワクしながらページをめくりました。
 そして、うちで溜め込まれた情欲がようやく開放された場面は、とてもエロかったです。
そのうえで、二人のメイドとの関係性の広がりも読んでいて面白かったです。
 エロいことと、問題解決が同時に進んでいたため、2つのストーリーが一つの物語として楽しめるところが良かったです。

 オススメの作品です。ぜひ読んでみてください。


『拝啓、天国の姉さん、勇者になった姪がエロすぎてーーー叔父さん、保護者とかそろそろ無理です』について

 今回紹介する作品はこちら、『拝啓、天国の姉さん、勇者になった姪がエロすぎてーーー叔父さん、保護者とかそろそろ無理です』です。

拝啓、天国の姉さん、勇者になった姪がエロすぎて──叔父さん、保護者とかそろそろ無理です (美少女文庫)

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どんな話か

 主人公のアンヘルは傭兵。幼馴染と将来結婚するために王都で傭兵として活躍していた。結婚資金をため、村に戻るも、幼馴染は既に結婚していたことを知る。悲しみにくれる。すると、家に一人の少女が訪ねてくる。彼女の名前はリズ、主人公の姪にあたる。彼女は主人公の家に住ませてほしいと頼む。アンヘルは断る。今夜は泊めてやるから次の日には実家に帰るよう諭す。
 次の日、リズにフェラで起こされる。これが夢だと思う。しかし、途中で夢でないことに気づく。抵抗するも、本気で引き離そうとしない。快楽に負けて姪に発射してしまう。そのことを脅され、仕方なく居候を許可することに。主人公は家賃はいらないというも、リズは身体で返すと誘惑する。叔父として姪の提案に乗るわけにはいかないアンヘルは、妥協案として冒険者の相棒としてリズを連れていくことに。
 こうして姪と叔父との日々がはじまる。その暮らしには傭兵を辞めて村へ帰っていったアンヘルを追いかけてきたダークエルフのメイベルも加わる。

どこが面白いか

 序盤で幼馴染の結婚により、落ち込んで酒を呑む三十路の男。そこに姪であるリズがやってくる。
 リズは叔父のアンヘルを誘惑するも、姪を犯すことはしてはいけないことなのでもちろん襲わない。
 しかし、朝フェラをされてあえなくイカされる。その後にも風呂場に突入され、我慢できなくなっての性行為。
 そっから先はズッコんバッコん大騒ぎ。リズのスタンスはいわゆる誘い受け。
 さいしょは攻めであるも、最終的には負けであることが約束されている。そこがいいですよね。
 

魅力的なキャラクター

 まず、リズが可愛い。誰が見ても王道のメスガキです。最終的にはヤリまくりのただれた関係になるのですが、ちゃんと叔父と姪としての日常も描いています。それがタガが外れると、昼夜も気にせずにヤリまくりの生活になるからいいんですよね。
 そして、彼女がアンヘルを訪ねてきたのには理由がある。その理由がリズの次にやってきたダークエルフのメイベルによって明らかになる。強気な態度に出るも、とても一途な子で、守りたいと思わせるような魅力がある子です。
 主人公のアンヘルも魅力的な人物です。序盤は情けないように書かれていますが、終盤にかけては傭兵としてのスキルを駆使してリズを守るために戦います。この辺がとてもカッコよくワクワクしました。
 

どうエロいのか

 叔父と姪という禁断の関係。自分に娘がいればこのくらいの歳であったという子に欲情を抱いてしまう。
 傭兵としての自制心で平常を装うも、姪であるリズにはバレている。だからこそ、彼女はチャンスがあればここぞとばかりに誘惑する。
 我慢に我慢を重ねた自制心が決壊すれば、その欲望の矛先はすべてリズにいきつく。
 散々誘惑しやがって、という怒りがそのまま若い身体に向かう。そして、その欲望を姪自身に許される。
 そこからはじまる中出し中心の生活。ここがエロいんですよね。
 さらに、ここに長年自分のことを密かに想っていた同じ傭兵のダークエルフも加わる。
 秘めていた思いを打ち明け、一つになるという展開はとてもいいです。
 そのうえで、2人まとめて相手にしていく場面はとてもエロかったです。

 オススメの作品ですので、ぜひ読んでみてください。

『戦国鬼嫁 酒呑童子とはんなり新婚ライフ』について

今回紹介する作品は『戦国鬼嫁 酒呑童子とはんなり新婚ライフ』です。

戦国鬼嫁 酒呑童子とはんなり新婚ライフ (美少女文庫)

もくじ

どんな話か

 主人公の左馬助は明智光秀に仕えていた。山崎の戦いで、光秀を守りながら逃げていた最中、土民の落ち武者狩りに遭う。なんとか光秀を逃がすも、土民たちの追撃により瀕死の重症を受ける。しかし、追い詰められた左馬助は鬼となって暴走する。鬼となって暴走していたところを、鬼の酒呑童子に助けられる。酒呑童子が語るには、左馬助は前世で酒呑童子の妻であった茨木童子であった。二人は平安時代に源頼朝に討伐されたが、天正の世で生まれ変わった。彼女は生まれ変わった茨木童子のことをずっと探していた。
 その茨木童子の生まれ変わりが左馬助であった。山崎の戦いで死ぬはずであった左馬助は酒呑童子のもとに婿入りすることになる。

どこが面白いか

 面白かったです。物語の序章では、既に結婚して子宝に恵まれた酒呑童子と主人公の幸せな生活が描かれ、エッチなシーンが描かれています。その後で、明智光秀やら源頼朝やらが出てくる歴史小説としての情報量の多い場面が出てくる。本作は要所要所で歴史小説だな〜って場面が少しだけあるんですが、これがかなりライトに読めます。本作のメインヒロインである鬼の女の子の酒呑童子のかわいさが序章でわかっているからです。土台となる舞台やモブキャラは高畑勲が描いてそうな重厚な展開なんだけど、主人公となる左馬助と酒呑童子はアニメ調で描かれているように読めるんです。
 情報量は多いんですけど、そこまでノイズにならないように描かれています。
 歴史小説好きなんだろうな〜って、場面はあるんですが、今回の話ではここが重要ですよってところだけしっかり書いて、その説明が終わったら、ちゃんとライトな読み味になっている。文章もくどくなくて読みやすいです。
 主人公と酒呑童子はファンタジーなんだけど、それ以外のモブキャラで歴史物をやっているって感じが、普段読まないタイプの作品なんで新鮮な気持ちで面白く読めました。

キャラクターの魅力

 酒呑童子が鬼の人外のロリババアとして可愛いです。
 ちゃんと花魁のような喋り方をずっとしていて、そこが何百年も生きた人外の鬼娘って感じで可愛いんです。
 歴史小説を書いている方だからでしょうか。ホントにヒロインの喋り方が最後までブレないし、かわいい。
 主人公の左馬助も魅力的なキャラクターです。幼い容姿をしていて、それでいて武士としてヒロインに強気な態度に出る。
 しかし、鬼相手には通用せずにいいようにやられてしまう。オネショタって感じがしてよかったです。

どこがエロいか

 序章で、たくさんの子供に囲まれていて、その子達が寝静まったあとに盛っている場面の時点でエロいです。
 互いが人外って設定も相まってか、結婚後は獣のように激しく求めあっている。
 次の章で時系列がさかのぼったとき、左馬助は酒呑童子を警戒しているのを見て、この二人がどうやって最初のラブラブな夫婦になるのか、とワクワクしました。
 結婚してすぐの初夜では、主人公は主導権をとろうとするも、いいようにされてしまうところはよかったです。二人の最終的な関係性はわかっているので安心して楽しめました。そこから、親密度を高めていき、左馬助も酒呑童子の弱みを知り、それを婿として支えようとしていく。さらには性交のコツを掴んだ左馬助が酒呑童子を攻めれるようになっていくのも、変化が感じられて読んでて楽しかったです。
 終盤の子供が生まれづらい鬼特有の種付の儀式も趣向が凝らされていてとてもエロかったです。

 おすすめの作品です。ぜひ読んでみてください。

『落札したエルフが不幸そうだったので全力で愛したい』について

 今回紹介する作品は、『落札したエルフが不幸そうだったので全力で愛したい』です。

落札したエルフが不幸そうだったので全力で愛したい (美少女文庫)
もくじ

どんな作品か

 エルフのミヤは両親に奴隷として売られた。彼女は、自分はダメなエルフだと考えていた。巨乳のため、エルフが得意とする弓が引けない。魔法は火属性しか使えない。美人なのだが、エルフからは巨乳のエルフは美しい女性として扱われなかった。
 そんな彼女を多額のお金で買ったのは冒険者のアレス。
 アレスは主人として、ミヤの自信を回復させるべく、さまざまなことをする。
 ミヤはアレスの言葉に励まされ、彼の発想や支援で徐々にコンプレックスを解消していく。
 その過程で、二人は親密になっていく。
 

どう面白いか

 かなり面白いです。アイデアがすごいですよね。奴隷ものといえば、可愛そうな境遇の女の子を助けた結果、その子が恩返しとしてえっちなご奉仕をする、という展開が一般的。本作も、その流れを組んでいます。その奴隷がエルフであるというのもよくあること。ただ、そのエルフが巨乳で、だからこそ、種族内では差別、あるいは見下される立場にいたため、自分を卑下している。境遇の作り方が上手いなと感じました。
 ミヤは心理的な問題を抱えていて、それにより、身体的特徴を問題として捉えている。それを言葉だけで解決せずに、物理的なアプローチで解決していったことも感心しました。
 また、ミヤが問題を解決して成長していくにつれて、アレスが抱えていた過去、心理的な問題を彼女が支え、解決の糸口を探る流れもよかったです。
 また、一つ一つのことになぜのこうなったのか、という掘り下げがしっかりしていたのも世界観に没入できてよかったです。人間の価値観では美人で、環境と工夫次第で有能であるはずのミヤ。彼女がなぜ自分を卑下するようになったのか。エルフがなぜミヤを差別するのか。そういったところを一個ずつ説明して、納得できるようにしています。かといって、説明過多な文章じゃない。ちゃんと物語が動きながらの説明なので、意識せずに納得する。そういうふうに書かれています。

キャラクターの魅力

 ミヤがすごい可愛いですね。巨乳で、美人のエルフが奴隷になってくれる。この時点でかなりおいしい展開。そのうえで、彼女自身が謙虚で、こんな自分を慕ってくれるなんて、って感じで接してくれるのはいいですよ。
 主人であるアレスも魅力的なキャラだ。最初、彼は一体どんな人物なんだろう、と思いながら読みました。ミヤ自身も独白で語ったように、なぜミヤを買ったのか、というのは気になりましたからね。それがミヤが心理的な成長をはたしたところで明らかになったところはこの問題をどう解決するのかワクワクしました。
 また、主人と奴隷の関係が崩れなかったのも良かったです。

どうエロいか

 エルフで巨乳の美女が、自分なんて、と目を伏せていた。それが主人に初めて容姿を褒められ、問題として考えていた部分が工夫で解決できることだった。そして、恩義に感じた巨乳のエルフによる献身的な奉仕。このへんの組み合わせが完璧なんですよね。そりゃエロいに決まっているんですよ。
 官能描写もご主人と奴隷としての関係性での性行為がたくさんあってよかったです。お仕置きと称したプレイの数々はよかったです。

 おすすめの本です。ぜひ読んでみてください。

『国王になったが妹は俺を嫌うし、国庫は大赤字で大変です(美少女文庫)』について

 今回紹介する作品は『国王になったが妹は俺を嫌うし、国庫は大赤字で大変です』です。

国王になったが妹は俺を嫌うし、国庫は大赤字で大変です (美少女文庫)

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どんな話か

 主人公のヴァイセは、突如国王に任命される。ヴァイセは大工で、工房でリーダーとして働いていた。しかし、ある日、王宮から呼び出される。王宮で、自分は王の血を引いており、現国王が死んだ今、自分は新たな国王にならなければいけないことを聞かされる。妹のローズは新たに国王となったヴァイセを嫌っており、国庫は空になっている。他国からの請求があり、赤字である。
 ヴァイセは自身の才覚と発想力で、お金を用意し、請求を切り抜ける。これにより、妹の心の壁も溶ける。ツンツンとした態度は抜けないながらも、国を発展させるためにヴァイゼと二人三脚の形で取り組むようになる。

どう面白いか

 タイトルに書いてあるとおり、主人公は国王になったが、妹は嫌っているし、国庫は大赤字の状態で物語はスタートする。これが反転して逆になるというのが本作のゴールです。主人公の国は豊かになるし、妹もデレデレになる。最初と最後の空気感の落差はカタルシスになります。物語の序章は現国王がなくなる直前からはじまる。王宮はまさしくお通夜の状態。
 大工である主人公は、屋根の修理中に自分が国王の息子であることを知らされ、王宮に呼び出される。自分が国王の息子であることを聞かされても、頭の中にあるのは、屋根の修理は大丈夫なのだろうか、という心配。
 主人公を見て、むかし愛した女性の名前を呼びかける国王。その名こそ、ヴァイセの母の名であった。
 国王に名前を呼ばれ、思わず母のふりをして看取るヴァイス。
 はじまったまだページもそこまでめくられていないなか、主人公がとても真面目な性格で、根がとても優しいことがわかる。
 王の死後、国が抱えている問題が明らかになり、自分が新たな国王にならなければいけないことを知るヴァイス。さらに目の前に妹が現れ、明らかに敵対心を顕にしてヴァイスを見ている。
 タイトル通りに、問題が明らかになっている。これからどうやって主人公が問題解決をするんだろうな、とワクワクしました。
 妹さんも扉絵で、表紙のポーズで裸になって絵と、兄を想って自慰をする場面があったので、この娘はデレますよってのはわかったうえで読んでいました。なので、どうやってデレるのかな、と気になるんですよね。
 このへんも、ヴァイスが財政の問題を解決するにあたって、自身のコンプレックスや抱えていた秘密が明らかになっていく過程が面白かったです。土台としてのストーリー構成、二人の恋愛関係、官能描写がバランスよく成立した作品で面白く読めました。

魅力的なキャラクター

 ヴァイスとローズはとても魅力的なキャラクターです。
 ヴァイスは、大工の家の息子として働いてきた真面目で善良な普通の人間です。それが国王になる。しかし、彼はそれまでに培ってきた算術や経営のノウハウ。大工としての知識や人脈で国の抱えている問題を解決する。
 妹のローズも、国の顔として表舞台にたち続けた経験や美貌から、外交での活躍する。
 二人の関係は、どっちかがどっちよりも優れているということはなく、互いが互いを必要としている関係になっている。本作はバディものとしての面白さがあります。それでいて、恋愛ものとしても面白い。

どうエロいか

 ヴァイスにとって、ローズは庶民のあこがれのお姫様。その子が、自分のために奉仕をしてくれる。そのシチュエーションはとてもエロいです。性交の場面は、恋人同士のように甘い時間が描かれています。手による奉仕では、ローズはふだんの強気の姿勢を崩さない。しかし、愛撫を重ねていくに連れ、仮面が剥がれ、デレデレの言葉を言うようになるところはかわいいです。

 とても面白かったです。おすすめの作品なので、ぜひ読んでみてください。

『始まりの街で世界最強〜ハーレムでイチャつくたびにつよくなります〜』について

 今回紹介する作品はこちら、『始まりの街で世界最強〜ハーレムでイチャつくたびにつよくなります〜』です。

始まりの街で世界最強 ~ハーレムでイチャつくたびに強くなります~ (ぷちぱら文庫creative 254)

もくじ

どんな話か

 主人公のアルスは新米冒険者。ゴブリンにすらバカにされるほど弱い。冒険者になるために、田舎から始まりの街にやってきた。街では高レベルの冒険者が集まり、浮ついた様子。新人冒険者の集まる街が、なぜ高レベルの冒険者で賑わっているのか。しかも、彼、彼女たちはどこか浮ついた様子だ。理由を聞いても幼い容姿のアルスは周囲から相手にされない。気にすることをやめ、冒険者として活動するための最初の一歩として、パーティーの募集をギルドの掲示板に貼る。募集するメンバーは3人の女性、種族問わず、募集する当人は初心者。募集の張り紙にどよめく冒険者たち。3人も相手にするだと!? と周囲から言われるも、アルスにはなんのことだかわからない。
 戸惑うアルスに、話しかける一人の女性。天使のアイシャ、武術を嗜んでいる。
 彼女とお試しでパーティーを組む。天使であるのにも関わらず魔法使いでなく武道家で、ガサツであることを気にしている彼女。アルスはそういったことを気にせずアイシャのことをかわいいという。絆されたアイシャ、冒険後に宿でアイシャはアルスを誘ってセックスする。
 すると、次の日にアルスがゴブリンと戦うと、自身のレベルがいつの間にか上がっており、以前は負けていたゴブリンを圧倒していることに気づく。その後、アイシャから、この街では大昔に作られた魔法陣により、パーティーを組んだメンバーとエッチすればするほどレベルが上がることを聞かされる。
 これにより、タガが外れたようにエッチする二人。他にも支援魔法を得意とし、「癒やしの女神」と呼ばれる悪魔のフィーネ。魔法使いのアマゾネス、エマがパーティーに加わる。
 始まりの街とその周辺でエッチをしながらレベルを上げていく彼らの冒険の行方とは。

どこが面白いか

 エッチをすればするほど強くなる。ベタな設定でかなり面白く描けています。
 ゴブリンやオーガなどの冒険パートは、まさに異世界ものって感じで描かれています。
 モンスターが人語を解しており、主人公たちとコミカルなやり取りをしています。
 序盤のゴブリンにバカにされる主人公からは情けなさを感じるも、その後でお腹を好かせた猫を助けることで頼りないけどいい人であることがわかる。キャラ立てをしたうえで街にはベテランの冒険者が集まっており、なぜか浮ついた気分でいるところも面白かった。読者には、これからの展開がなんとなく予想できているが、主人公はどういった状況なのかわかっていない。そこが主人公が自覚したらどうなるのか、というワクワク感を煽りました。
 主人公としては、強くなったら冒険の旅をしたいと考えている。しかし、田舎から出るときは女の子にモテたいという気持ちもあった。そのため、ヒロインたちに流される形でズルズルと始まりの街に滞在する日程を伸ばしてエッチ三昧の日々を送っていく流れにはエロさを感じました。そのうえで、終盤に魔物を倒していくうちにドミノ倒しのように自体が急変していく流れもなんでこうなるねん!って感じで面白かったです。

キャラクターの魅力

 天使の武道家、悪魔の聖職者、アマゾネスの魔法使い。本作のヒロインたちはもとの種族には似合わない職業で戦っている。また、天使なのにガサツ。悪魔なのにおっとり。アマゾネスなのに気弱、といった具合で中身も種族イメージの逆を狙っている。
 そして、彼女たちはもとのコミュニティで自身の特性を欠点として評価されている。しかし、主人公は素直な性格だから、そんな彼女たちの特性を個性として認めている。3人はそういった流れで親密度を上げ、セックスに至っている。
 どの娘もかわいいです。さいしょは変化球が強いところが気になりましたが、しっかりと会話や冒険中の行動でそれぞれのヒロインの魅力を引き立てているため、とても可愛かったです。種族としての特性も、エッチなことに利用しており、そういう使い方をするのかと感心する場面もありました。

どこがエロいか

 冒険者といえば、冒険するのが目的で、始まりの街は、いづれは出ていかなければいけない場所です。主人公は始まりの街に来た当初は、ここで経験を積んだら、いずれはもっと魔物の多いところで活躍したいと考えていた。
 その前提があるからこそ、レベルが上がるからという理由により、冒険に出かけるよりもエッチの回数が増えていき、街中や宿の中で3人と身体を重ねていく主人公。この流れは退廃的で甘美でした。
 やらなければいけないことがあるはずだけど、それよりもエッチを優先してしまう。そして、ヒロインもそのことを受容してくれるという事実自体がすでにエロいんです。そもそも街全体が性に奔放な街のため、そのこと自体が許されている。終盤の3日3晩エッチしようという流れはとてもエロかったです。
 それが終わったあとで、駆け足で物語が一気に動いた点もコミカルで面白かった。

 おすすめの作品です。ぜひ読んでみてください。

『アネハメ 姉の最強魔眼に魅入られて』について

 今回紹介する作品はこちら、『アネハメ 姉の最強魔眼に魅入られて』です。

アネハメ 姉の最強魔眼に魅入られて (美少女文庫)

もくじ

どんな話か

 主人公の山吹透とヒロインの山吹薫子は血のつながった弟と姉である。二人は魔術師として街にはびこる瘴気を浄化し、そこから現れる怪異と戦っている。二人の父と母は怪異に殺されている。姉は最強の魔眼の持ち主だ。炎を操って怪異を倒す。一方、弟の透はまだ能力を覚醒していない。しかし内には秘めた才能がある。透は姉の薫子よりも未熟であることに負い目を感じており、早く強くなりたいと願っている。弟の願いを姉は気づいている。
 二人は魔術師としての能力を覚醒させるため、禁断の儀式に手を染めることにする。それは近親による性行為によって行われるものだった。怪異との戦いが激化していくなか、二人は互いを守るために、二人で戦い続けるために今夜も身体を交わる。

どこが面白いか

 日常に横たわる非日常での戦いを描いた現代異能力ものとしての面白さを保ちつつ、近親でのフランクな肉体関係のエロスの両方を描ききっています。かなり面白いです。
 本作の序盤に描かれているのは、学生としての透から見た日常風景。両親を殺され、怪異と戦う危険と隣り合わせの透にとっては日常はとても冷めたものとして描かれている。そこが嫌味な感じがせず、彼がなぜ世界をこんなふうに見るのだろうという興味を掻き立てられました。
 そんな彼は姉に対しては特別な思い入れがある。この思い入れがあるというのは劣情を抱いていたというのではなく、唯一の肉親として、秘密を共有する戦いのパートナーとしての想い。守りたいという思いもあるし、隣に並べる存在になりたいという思いもある。だからこそ、そのために儀式を行いたいと考える。
 このスタンスは最後まで崩れないんですよね。だけど読んでてかなりエロいと感じました。
 性行為に対する二人の反応はかなり冷めているというかフランクな感じなんです。かといって義務感でやっているわけではない。
 禁忌の儀式であり、禁断の関係であるはずなのに、罪悪感みたいなのがないんですね。
 そして、身体を重ねるたびに信頼関係を深めていっている。その点も読んでて面白かったです。

キャラクターの魅力

 姉である山吹薫子はとても魅力的なキャラクターです。表紙のモデル顔負けのプロポーションで妖艶に微笑む姿はとても美しく官能的です。そして、とても強い。本作は近親相姦を題材にしたR18であると同時に、怪異と魔術師の戦いを主軸とした異能バトルでもあります。そのため、戦闘描写にも力を入れており、姉の強さは周囲の魔術師と比べても別格の強さとして描かれています。
 近親相姦による禁断の儀式を通して、弟にも異能が覚醒し、戦闘で活躍するようになるのですが、姉が最強の魔眼の持ち主であるという点は最後までブレないんです。そんな女性に対し、主人公は中出しができる。
 姉には婚約者がおり、本作の関係には近親相姦の要素と同時にNTRとしての側面もあります。
 しかし、それに対しての征服感や優位性、背徳感よりも、二人の間に芽生える信頼関係の描写に重きをおいているように感じます。こういった要素もとても魅力的です。

どこがエロいか

 本作には異能ものとしての側面があります。ヒロインの山吹薫子は作中では最強の存在です。そんな彼女が弟である山吹透に身体を許す。
そして、彼女には婚約者がいる。この婚約者がすごい悪い人間というわけでもなく、かなり善良な人間。
 ある種の優位性や背徳感を煽る設定です。で、ありながら二人の近親相姦に対する反応はフランクだ。
 いわゆる罪悪感のようなものや特別感がない。
 しかし、かといって始終冷めた感じでもない。弱火で煮込まれた鍋のように、最初は当たり前のようにやっていく行為が回数を重ねるごとに熱を帯びている。読んでいるとそう感じる。
 そして、近親相姦による儀式に効果があることを実感すればするほど、薄かった禁忌感はほぼなくなり、身体を重ねるのは当然になっていく。開放された二人の求め合いが激しくなるのに、カタルシスを感じます。

 とても面白い作品です。おすすめなので、ぜひ読んでみてください。

『北欧美少女ルナさんと一緒に暮らすことになって俺の性活がヤバイ。』について

 今回紹介する作品はこちら、『北欧美少女ルナさんと一緒に暮らすことになって俺の性活がヤバイ。』についてです。

もくじ

どんな作品か

 主人公の千賀ナオはある日、北欧美少女のルナと同棲することになる。
 ナオとルナは小学生のときに仲良くしていた幼馴染。親の転勤の都合で、今まで離れ離れになっていた。
 二人は小学生のときに互いを好いていて、大きくなった今でも会えないぶん恋心をつのらせていた。
 そんななか、ナオの両親が海外にでかけている間に、ルナがナオの家に同棲することになる。
 再会してすぐ、ルナはナオに自身の恋心を告げ、ナオも秘めていた思いを伝え二人は両思いとなる。
 そこから、二人の同棲生活がはじまる。恋人となったルナはナオに対して積極的に動き、まさにタイトル通り、主人公の性活がヤバくなる。
 展開はスピーディー。しかし、恋のABCはしっかりステップを踏んだうえで事に及んでいます。書くところはしっかりと書いた上でそれでいて書きすぎていない。読者が読みたいところをしっかり書いている。

どこが面白いか

 美少女文庫などの1巻完結のR18の読み切りライトノベルの形式において共通することですが、話の展開がスピーディー。
 そして、その速さが唐突でなく、必然であるように書けています。ずっと恋心をつのらせていた幼馴染。再会する前に告げられる両親の海外出張。そのうえでの二人の同棲がはじまる。
 ルナのナオに対する想いは誰が見ても明らかで、誤解のしようがない。なんてたって再会してすぐに抱きついてディープキスしてますからね。両親は流れるように舞台袖に退場。主人公がこれからのことに風呂で物思いにふけると、そこに裸で現れる彼女。からの性行為。
 かわいい女の子と二人暮しにおいての定番のラブコメイベントを抑えつつ、ちゃんとやることをやっている。
 二人の関係性が最高潮に高まったところでようやく明らかになる。小学生の頃のルナがナオのことを好きになったきっかけの回想。
 そのうえでの二人の関係が確かなものとなったのを明確になるイベントでハッピーエンド。

キャラクターの魅力

 ルナちゃんがとにかくかわいい。
 本作の主人公はおとなしい受け身な男性です。それに対するルナちゃんははじめからアクセルが全開。
 タイトルでどんな話かはぼんやりと想像してから読み始めたわけですが、本作は予想以上に話が早い。
 父と母が海外に出張することを主人公に話し、さらに小学生の頃の幼馴染の話に移ったとおもえば、チャイムが鳴って玄関を開けると、北欧美少女のルナが立っていて、抱きついてキスをする。しかも好感度マックス。
 流れるようなタイトル回収に驚きました。ヒロインのルナはナオと離れたあとも主人公に恋心をつのらせていた。だからこそ、ようやく再会できた彼女は今まで会えなかった時間を回収するかのように、恋人としてもっと早くにやれてたかもしれないことを行います。。
 そう考えると、この話の速さも納得かもしれない。

どこがエロいか

 幼馴染という関係性のうえでの積み重ねですから。展開の速さに説得力があります。しかも、幼い頃に好きの気持ちが最高潮に達したところで、両親の仕事の都合で互いが大きくなるまで離れ離れになる。
 流れる思いがせき止められ、それがようやく開放されるとなると、本書のスピード感も納得がいくものです。
 ヒロインは積極性があり、口よりも即行動なタイプです。対して、主人公は受け身。
 もちろん互いに好き同士だから最後に進む方向は同じなわけです。
 恋人としてのイベントをこなしつつも、その流れの延長線上には必ず性行為がある。文章も、駆け足で進んでいくようで大事な部分はじっとりと書いています。
 
 おすすめの作品です。ぜひ、読んでみてください。

北欧美少女ルナさんと一緒に暮らすことになって俺の性活がヤバイ。 (美少女文庫)

『転生令嬢カテナは異世界で憧れの刀匠を目指します』について

 今回紹介する作品は『転生令嬢カテナは異世界で憧れの刀匠を目指します』です。

転生令嬢カテナは異世界で憧れの刀匠を目指します! ~私の日本刀、女神に祝福されて大変なことになってませんか!?~ (オーバーラップノベルス)

もくじ

どんな作品か

 主人公のカテナは、前世では刀に憧れる女子高生だった。彼女は刀鍛冶の工房に見学に行く予定だった。しかし、その直前で事故で死んでしまう。〇〇家の令嬢のカテナはそのことを思い出す。前世では果たすことのできなかった刀を自分で作るという夢を叶えることを目指します。苦手な魔法を研鑽し、父の抱えている工房で鍛冶を学んだカテナはついに刀を作り出す。
 すると目の前に女神の〇〇が現れる。彼女はカテナの刀を神器として認定し、カテナに神子の称号を与える。
 この神子というのがこの世界では重要な役割らしく、平穏に趣味を極めたいカテナの位にそぐわない流れになる。
 しかし、平穏を望むカテナは日本刀をつくり続けるためにさまざまな努力をする。

どこが面白いか

 異世界転生ものとしてしっかりと良くできている。タイトル通り、生産チートでもあるし、技術チートでもあるし、魔法や剣技のチートもある。かといって、なんでもありというわけではない。カテナは1巻を通していろんなことができるようになるんですけども、それらはすべて平穏に刀づくりをしていたいにつながるんです。例えば、カテナは刀をつくりたいのだけれども、この世界の技術では刀作りを再現することが難しい。だからこそ、5属性の魔法を十全に使えるようにして魔法で刀を作り上げた。刀をつくったはいいけども、その刀は神器として女神に認められてしまった。しかし、カテナの住む国では刀は初めて見る武器で体験が主流だった。これにより、王子とも対立することになる。そのため、彼女は刀の有用性を示さなければいけなくなった。また、神子は魔物たちに狙われる存在であった。そのため、彼女は刀を使いこなすために剣技を学ぶ必要があった。「戦わなければ生き残れない」という言葉がありませけども、この作品は「戦うだけでは生き残れない」んです。
 そのうえで、さまざまな課題を乗り越え成長していくカテナを見ていくと、これから彼女は何をしていくのだろうとワクワクする。
 主人公の幼少期の成長物語として面白く、これからはじまる1巻として期待感を煽る理想的な1巻です。

キャラクターの魅力

1巻は主人公がチートを得て成長する物語だ。だからこそ、主人公のカテナは応援したくなる魅力的な人物だ。彼女は刀作りのために魔法を学ぶが、魔法を遠くに飛ばすことができないという壁にぶち当たっている。しかし、刀作りという目標のために5属性の魔法のコントロールを上げ、複数の魔法を組み合わせる、付与させることで戦闘面でも刀作りにも活かしている。
 刀を作るという目的が最初から最後まで一貫してブレない。しかし、それはひとりよがりではなく、目標を達成するために生じる課題を真正面に超えることにより、彼女の夢がしだいに周囲を巻き込んでいくという流れにカタルシスを感じる。
 また、カテナの周囲のキャラも魅力的だ。彼女の幼少期では、彼女の一人称が中心のため、周囲のキャラは異世界チートテンプレのための画一的なキャラクターに見える。しかし、彼女がひたむきに努力し、成長していくに従って、周囲のキャラも彼女の夢を支えたり、対立、あるいは相対する存在としてのキャラクター性を確立していく。

続きが気になる

 しっかりと応援したくなるキャラクターをつくり、爽快感のあるちチート性を持たせている。そして、そのチートは1巻ぶんしっかりと修行、あるいは試行錯誤の描写を割いて描かれたもののため、嫌味な感じのない彼女の魅力となっている。終盤にシリーズ全体を通した敵も明らかになっている。まさに理想的なスタートを切っている。ゆえにこれから本シリーズの世界観がどのように広がっていくかが楽しみです。
 2巻も引き続き買って読む予定です。

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『エルフに淫紋を付ける本』について

 今回は『エルフに淫紋を付ける本』について紹介します。

エルフに淫紋を付ける本 シルファの快楽堕ち冒険譚 (美少女文庫)

もくじ

どんな作品だったか

 ヒロインはエルフ。名前はシルファ。商人である主人公に淫紋をつけられている。二人はエルフの里に向かう旅の途中である。旅をしながら、エルフの里から盗まれた宝玉を探している。主人公は淫紋をつけたシルファに性行為を行う。シルファは最初はいやいやであったが、しだいに主人公のことを悪い感情を抱けなくなっている。
 本作は同人誌で人気のタイトルのノベライズです。そのため、この旅の道中にこんなことがありましたよ、という形式で書かれています。ワンピースの劇場版のようなつくりかたですね。原作を未読の僕にも楽しめる内容になっています。旅の途中で寄った街で、いつものようにエロい奉仕をさせられるシルファ。なんとか主人公をギャフンといわせるために行うあの手この手はコミカルで面白い。
 序盤は街で出会った魔法道具屋の老婆から、性行為目的の道具をエルフが買ったことによる珍騒動を描いている。ドラえもんなどを代表するひみつ道具ものは使用者の思惑とは違う方向に作用するものだ。そしてシルファにとってのアクシデントは読者にとってのサプライズとなります。
 中盤から、主人公がこの街を訪れた理由が明らかになる。この街にはエルフの里から持ち出された宝玉があるのだ。
 その宝玉を手に入れるために、主人公とシルファは宝玉があるとされる館の乱交パーティーに参加する。
 ここで普通にヤッて、解決というわけでなく。かなり捻った展開になる。ここがかなり面白かった。お決まりのように、主人公とシルファとのセックスシーン。その後で、暴走した宝玉による幻覚により、二人の関係がどういったものであるかをシルファは言葉を介さない形で問われてしまう。
 本作は同人誌のノベライズで、つまり、他の人の作品を別の人が世界観とキャラクターを借りて書いている形です。つまり、自分は主人公のことが好きなのか。淫紋を介したこの関係は従属関係なのか、恋愛関係なのか。そういった二人の関係に名前を付けることができないんです。それをしたら、同人誌の話に整合性を付けることができませんから。
 だから、幻覚という形で、ヒロインの願望を反映させたかのような幻を見せ、それでも自分はもとの関係のほうが好きだ、と思い、覚醒する。主人公にも同じような願望の表出とそれの否定があります。
 

未読でも面白いし、原作が読みたくなる。

 僕は今回、原作は未読でノベライズ版を読みました。未読でも楽しく読めました。
 タイトル通り、エルフに淫紋を付ける話ですから、それさえわかっていれば話の展開についていけないということがない。つまり、前知識がそこまで必要ではないんです。
 それでいて、原作の時間軸を意識して書いているのであろうこともわかるため。原作が読みたくなりました。
 原作がエルフの里を目指しながらヤることをヤるロードムービー形式の作品のため、過去にこんなことがあったという話を折り込みながらも新しい話を作り上げることができているんだな、と感じました。
 

そして、旅は続く

 1本の作品として読後感がよかったです。
 主人公をギャフンと言わせたいシルファ。そんな彼女が旅先で寄った街で老婆から魔法道具を購入する。しかし、どれも失敗ばかり。ここで出てくる老婆がいいキャラをしています。シルファは主人公との関係を変えたいと考え、老婆を頼りますが、老婆は、本当は今の関係のままでいることを望んでいるんじゃないか、と問います。
 もちろん、シルファは否定する。本作は同人誌のノベライズのため、原作で明言化されていないであろう二人の関係について言及するためにこの老婆が出てきたのだろうと考えられます。
 椿三十郎の「本当にいい刀はさやにおさまっているものですよ」やルパン三世の「なんて気持ちのいいひとたちなんだろう」というセリフを思い出しました。ストーリーのメインのキャラクターには言えないセリフをこの老婆が言っている気がしたため、彼女の立ち位置は読んでいて面白かったです。
 そして、中盤から主人公の目的が宝玉にあり、その宝玉が旅の障害として立ちはだかったところもよかった。この作品は主人公とシルファの二人だけの旅を描いたものです。そのため、そのへんの男性や女性キャラクターを出すとノイズになってしまう。そのため、無機物である宝玉が彼らに立ちはだかる壁となるのです。
 二人のやりとりや性行為は面白く、官能的でした。読み進めていくうちに、ストーリー展開の面白さもあった読み応えのある作品です。


『推しが俺を好きかもしれない』について

 今回紹介する作品は、『推しが俺を好きかもしれない』です。

推しが俺を好きかもしれない (富士見ファンタジア文庫)

もくじ

どんな作品か

 主人公の夜宮光助はヒロインの花房憂花のファン。憂花はWEBで人気の音楽ユニット、『満月の夜に咲きたい』の歌手、U-Kaとして活動していた。ある日、ひょんなことから彼女の歌手としての姿からはかけ離れた裏の顔を見てしまう。
 普段の姿から離れた姿を見られてしまった憂花は光助に自分の裏の顔を秘密にするようにある契約を持ちかける。
 男一人にヒロイン一人のボーイミーツガール。ある事件をきっかけにドミノ倒しのように次々と明らかになってくる推しの裏の顔それらが明らかになっていくにつれて、ヒロインと主人公の関係は特別なものになっていく。
 1巻は放課後限定のクラスのアイドルとの秘密の関係。ひょんなことから友達になった二人の男女のやりとりがとてもよかった。
 終盤の急展開と互いの気持ちのすれ違いからの序盤の伏線をきっかけに、主人公とヒロインがお互いの気持ちを自覚する展開には思わず私の中の列海王も思わず「裏返ったァッッ!」と叫びました。
 展開も丁寧で2巻からの話の広がりが期待できる1巻です。

ヒロインがかわいい

 ヒロインの花房憂花がとにかくかわいい。クラスや周囲にはU-Kaとしての振る舞いをする憂花。彼女は主人公に裏の顔を見られたことにより、放課後に主人公の前でだけは素の姿で接するようになる。
 この裏の顔というのが、かなりかわいいです。裏の顔がバレた当初は主人公に対して理不尽な振る舞いをしてみせるも、そこから序盤で匂わせていた大食い設定をジロリアンであることで明らかになる。彼女は「我儘お姫様気質」である一方、アイドルとして努力家であり、ファンの前でU-Kaであろうとしているところに主人公は好感を持つようになります。
 つまり、ヒロインの裏の顔を知れば知るほど、表のU-Kaとしての振る舞いが彼女の努力に裏付けされたものであることが読者にも光助にもわかる。そこに彼女の過去や時間の積み重ね、内面での葛藤を言葉にされてなくとも読み取りたくさせるんです。
 そのうえで、終盤にかけての主人公の知らないヒロインの過去をきっかけとした唐突な日常の破綻はハラハラして読みました。

どこが面白いか

 1巻は好きを自覚する前の二人の男女の友情から恋に変わる物語として面白いと感じました。私の個人的な予測ですが、おそらく2巻からは両片思いで話がすすむから、1巻のなかで今の二人の関係だからこそできることを詰め込もうとしているように感じました。そして、それは成功している。中盤で光助のカッコいいところを見た憂花の態度の変化が読んでいて可愛かったです。
 1巻では、一つ一つのエピソードを大事にした上で、二人の心理や関係の変化が早足で描かれている。そこが面白いんです。だからこそ、この娘についてもっと知りたいと思ったタイミングで、彼女の過去がフックとなり続いてほしい日常の破綻の危機がはじまったときは他人事になれない気分でハラハラして読みました。
 この破綻も1巻の序盤から中盤の流れ並みに早いんです。早く進んだ関係は壊れるのも早い、という考えがよぎりました。そこからのあることをきっかけにしてまたもとの関係に戻ったのだけれども。その関係が両者の心理を覗いてみればもとの関係ではないという部分も尊いと感じました。

続きが気になる

 2巻が気になります。1巻は放課後限定のクラスのアイドルとオタクくんの秘密の関係という流れだ。今回1巻のラストではその関係を放課後より前の学校にも持ち込みたいとヒロインが考えるようになる、というところで終わっている。そうなると、2巻からはクラスの中で憂花と光助がどんな関係になるのかが気になります。
 また、恋心を自覚した憂花がどんなかわいい1面を見せてくれるかも今からたのしみでしょうがない。1巻ではボーイミーツガールを描くために、あえて光助と憂花以外のキャラクターを記号的に描いているようにも感じたため、2巻からは新キャラが関わってくるのではないのか、というのも気になるところだ。
 さらには、憂花はU-Kaという歌手の側面がある。今回はCDの発売と音楽雑誌で表紙を飾ったというイベントでそれを強調していました。まだ、彼女が所属しているグループのメンバーの詳細が1巻では明らかになっていない以上、そちらがフューチャーされる展開もあり得るでしょう。なにより、主人公の名前は「光を助ける」で、U-Kaであろうとするヒロインは「憂う花」だ。彼がファンとして推しを助けるのか、友達として助けるのか、異性として彼女を助けるのかも気になります。