今回紹介する作品は『国王になったが妹は俺を嫌うし、国庫は大赤字で大変です』です。
もくじ
どんな話か
主人公のヴァイセは、突如国王に任命される。ヴァイセは大工で、工房でリーダーとして働いていた。しかし、ある日、王宮から呼び出される。王宮で、自分は王の血を引いており、現国王が死んだ今、自分は新たな国王にならなければいけないことを聞かされる。妹のローズは新たに国王となったヴァイセを嫌っており、国庫は空になっている。他国からの請求があり、赤字である。
ヴァイセは自身の才覚と発想力で、お金を用意し、請求を切り抜ける。これにより、妹の心の壁も溶ける。ツンツンとした態度は抜けないながらも、国を発展させるためにヴァイゼと二人三脚の形で取り組むようになる。
どう面白いか
タイトルに書いてあるとおり、主人公は国王になったが、妹は嫌っているし、国庫は大赤字の状態で物語はスタートする。これが反転して逆になるというのが本作のゴールです。主人公の国は豊かになるし、妹もデレデレになる。最初と最後の空気感の落差はカタルシスになります。物語の序章は現国王がなくなる直前からはじまる。王宮はまさしくお通夜の状態。
大工である主人公は、屋根の修理中に自分が国王の息子であることを知らされ、王宮に呼び出される。自分が国王の息子であることを聞かされても、頭の中にあるのは、屋根の修理は大丈夫なのだろうか、という心配。
主人公を見て、むかし愛した女性の名前を呼びかける国王。その名こそ、ヴァイセの母の名であった。
国王に名前を呼ばれ、思わず母のふりをして看取るヴァイス。
はじまったまだページもそこまでめくられていないなか、主人公がとても真面目な性格で、根がとても優しいことがわかる。
王の死後、国が抱えている問題が明らかになり、自分が新たな国王にならなければいけないことを知るヴァイス。さらに目の前に妹が現れ、明らかに敵対心を顕にしてヴァイスを見ている。
タイトル通りに、問題が明らかになっている。これからどうやって主人公が問題解決をするんだろうな、とワクワクしました。
妹さんも扉絵で、表紙のポーズで裸になって絵と、兄を想って自慰をする場面があったので、この娘はデレますよってのはわかったうえで読んでいました。なので、どうやってデレるのかな、と気になるんですよね。
このへんも、ヴァイスが財政の問題を解決するにあたって、自身のコンプレックスや抱えていた秘密が明らかになっていく過程が面白かったです。土台としてのストーリー構成、二人の恋愛関係、官能描写がバランスよく成立した作品で面白く読めました。
魅力的なキャラクター
ヴァイスとローズはとても魅力的なキャラクターです。
ヴァイスは、大工の家の息子として働いてきた真面目で善良な普通の人間です。それが国王になる。しかし、彼はそれまでに培ってきた算術や経営のノウハウ。大工としての知識や人脈で国の抱えている問題を解決する。
妹のローズも、国の顔として表舞台にたち続けた経験や美貌から、外交での活躍する。
二人の関係は、どっちかがどっちよりも優れているということはなく、互いが互いを必要としている関係になっている。本作はバディものとしての面白さがあります。それでいて、恋愛ものとしても面白い。
どうエロいか
ヴァイスにとって、ローズは庶民のあこがれのお姫様。その子が、自分のために奉仕をしてくれる。そのシチュエーションはとてもエロいです。性交の場面は、恋人同士のように甘い時間が描かれています。手による奉仕では、ローズはふだんの強気の姿勢を崩さない。しかし、愛撫を重ねていくに連れ、仮面が剥がれ、デレデレの言葉を言うようになるところはかわいいです。
とても面白かったです。おすすめの作品なので、ぜひ読んでみてください。