そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『双子まとめて『カノジョ』にしない?』の1と2巻について

 今回紹介する作品は『双子まとめて『カノジョ』にしない?』です。

双子まとめて『カノジョ』にしない?2 (富士見ファンタジア文庫)
書籍情報
著者:白井 ムク(twitter:https://twitter.com/ShiraiMuku
イラストレーター:千種 みのり(twitter:https://twitter.com/minori_chigusa)
ASIN ‏ : B0CTZGTCNW
出版社 ‏ : KADOKAWA (2024/2/20)
発売日 ‏ : 2024/2/20

もくじ

読み味が爽やかな双子もの

 タイトル通り、双子をヒロインとした作品です。最近、数が少しずつ増えています。たぶん、disiteのASMRがきっかけになっているのではないか、というのが私の予想です。もしかしたら、他の因果関係があるのかもしれません。
 双子ものの魅力としては約束されたハーレムルートでしょう。双子のタイトルで二人の美少女が表紙を飾る時点で、彼女たち二人と付き合うことになるのが明白ですから。既存のハーレムものと違って、最後に一人の女性を選んでお茶を濁す形にならないだろうな、という安心感があります。
 本作が既存の双子ものと比べて、新鮮に感じた点は読み味が爽やかな点です。
 双子ものって、可愛い女の子二人と付き合いたいというストレートな欲望がメインの要素になるので、インモラルな雰囲気が出てしまうものです。
 しかし、本作は若者たちの青春として爽やかな読み味があるような気がします。
 これは日常描写、キャラクターたちの心理描写がとても繊細で、土台がしっかり作られているうえで、双子とのハーレムが描かれているのがそう読ませてくれるのかもしれません。
 1巻で、主人公は双子の妹の千影と学校で、クラス内でのテストの成績で争い、交流を深める。さらに、放課後に姉の光莉とゲーセンで知り合う。
 主人公が二人を同一人物と勘違いして、二面性に振り回されながらもどちらの彼女のことも好きになる。そのうえで、誤解が進んだまま二人に同時に告白したかのような形になる。
 その流れはとても緊迫しており、かつ楽しんで読むことができた。二人が双子であるということを読者だけが知っている状況で、進んでいく状況と個々のキャラクターの葛藤。
 そこからの急展開からの告白により公になる事実と混とんを極めた状況。そこでの問いに対する答えはどちらを選ぶかというのになるものですが。ここで出る第3の問いの「双子まとめて『カノジョ』にしない」という第3の選択。
 

文殊の知恵、第3の選択肢

 読んでいて思うのは、この作品はキャラクターの葛藤が丁寧に描かれています。それはどの道を行くべきか、という青春のさなかで問われる選択肢であることが多い。もちろん、往々にして葛藤は選択であるものなのだけれども。そのうえで、AかBかという二項対立にとらわれているけども、Cという考えもあるんじゃない? というのが出てきて、解決していく流れがあります。
 双子をまとめてカノジョにするという展開もその第三の選択肢という流れで出てきているため、退廃的な空気があまりなく。爽やかなラブコメとして読むことができました。

2巻は新聞部を中心とした話

 2巻は新聞部での騒動が作品の中心となります。学内でのYoutube活動を行う部活の存在により、古くからある新聞部での存続が危ぶまれていた。新聞部での部員は、スキャンダラスな記事を求めて、主人公たちとぶつかる。それにより、主人公たちは新聞部での立て直しに協力することに。
 今回は主人公と双子が付き合った後の話で、双子との恋愛関係を秘密にしなければいけないのと、新聞部の立て直しの二つの軸がとても面白かったです。
 

次巻は旅行回、行くのは山か海か

 次の巻では、3人で旅行に行くことが示唆されています。
 予想というほどではないですが、山か海かで意見が分かれている以上。このシリーズの場合はどちらも楽しめる選択肢を選ぶのでしょう。
 日本には山と海が両方楽しめる場所はありますから。珍しいことではありません。
 次巻の旅行はどこでどうなるか、読みごたえがありそうでワクワクします。

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