そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『戦国鬼嫁 酒呑童子とはんなり新婚ライフ』について

今回紹介する作品は『戦国鬼嫁 酒呑童子とはんなり新婚ライフ』です。

戦国鬼嫁 酒呑童子とはんなり新婚ライフ (美少女文庫)

もくじ

どんな話か

 主人公の左馬助は明智光秀に仕えていた。山崎の戦いで、光秀を守りながら逃げていた最中、土民の落ち武者狩りに遭う。なんとか光秀を逃がすも、土民たちの追撃により瀕死の重症を受ける。しかし、追い詰められた左馬助は鬼となって暴走する。鬼となって暴走していたところを、鬼の酒呑童子に助けられる。酒呑童子が語るには、左馬助は前世で酒呑童子の妻であった茨木童子であった。二人は平安時代に源頼朝に討伐されたが、天正の世で生まれ変わった。彼女は生まれ変わった茨木童子のことをずっと探していた。
 その茨木童子の生まれ変わりが左馬助であった。山崎の戦いで死ぬはずであった左馬助は酒呑童子のもとに婿入りすることになる。

どこが面白いか

 面白かったです。物語の序章では、既に結婚して子宝に恵まれた酒呑童子と主人公の幸せな生活が描かれ、エッチなシーンが描かれています。その後で、明智光秀やら源頼朝やらが出てくる歴史小説としての情報量の多い場面が出てくる。本作は要所要所で歴史小説だな〜って場面が少しだけあるんですが、これがかなりライトに読めます。本作のメインヒロインである鬼の女の子の酒呑童子のかわいさが序章でわかっているからです。土台となる舞台やモブキャラは高畑勲が描いてそうな重厚な展開なんだけど、主人公となる左馬助と酒呑童子はアニメ調で描かれているように読めるんです。
 情報量は多いんですけど、そこまでノイズにならないように描かれています。
 歴史小説好きなんだろうな〜って、場面はあるんですが、今回の話ではここが重要ですよってところだけしっかり書いて、その説明が終わったら、ちゃんとライトな読み味になっている。文章もくどくなくて読みやすいです。
 主人公と酒呑童子はファンタジーなんだけど、それ以外のモブキャラで歴史物をやっているって感じが、普段読まないタイプの作品なんで新鮮な気持ちで面白く読めました。

キャラクターの魅力

 酒呑童子が鬼の人外のロリババアとして可愛いです。
 ちゃんと花魁のような喋り方をずっとしていて、そこが何百年も生きた人外の鬼娘って感じで可愛いんです。
 歴史小説を書いている方だからでしょうか。ホントにヒロインの喋り方が最後までブレないし、かわいい。
 主人公の左馬助も魅力的なキャラクターです。幼い容姿をしていて、それでいて武士としてヒロインに強気な態度に出る。
 しかし、鬼相手には通用せずにいいようにやられてしまう。オネショタって感じがしてよかったです。

どこがエロいか

 序章で、たくさんの子供に囲まれていて、その子達が寝静まったあとに盛っている場面の時点でエロいです。
 互いが人外って設定も相まってか、結婚後は獣のように激しく求めあっている。
 次の章で時系列がさかのぼったとき、左馬助は酒呑童子を警戒しているのを見て、この二人がどうやって最初のラブラブな夫婦になるのか、とワクワクしました。
 結婚してすぐの初夜では、主人公は主導権をとろうとするも、いいようにされてしまうところはよかったです。二人の最終的な関係性はわかっているので安心して楽しめました。そこから、親密度を高めていき、左馬助も酒呑童子の弱みを知り、それを婿として支えようとしていく。さらには性交のコツを掴んだ左馬助が酒呑童子を攻めれるようになっていくのも、変化が感じられて読んでて楽しかったです。
 終盤の子供が生まれづらい鬼特有の種付の儀式も趣向が凝らされていてとてもエロかったです。

 おすすめの作品です。ぜひ読んでみてください。