『負けヒロインが多すぎる!8巻』感想 生徒会選挙とキャラの魅力が交差する、静かな熱量の一冊。
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今回の『負けヒロインが多すぎる!』8巻は、生徒会選挙を軸に、各キャラクターの想いがぶつかり合うエピソードでした。
前半は、副会長ティアラからの推薦人依頼に対し、温水が迷う場面が丁寧に描かれています。何度も頼まれながらも即決できない温水の性格がよく出ていて、そのやりとりが静かな緊張感を生んでいました。
中盤の小毬とのデートシーンは、ストーリーの箸休め的な位置づけでありながら、とても印象的でした。じれったい恋模様が丁寧に描かれていて、読んでいてニヤニヤしてしまうような場面も。
終盤、生徒会会計の桜井が選挙に立候補し、推薦人に八奈見が登場してからは、一気に緊張感が高まります。選挙演説では、八奈見、桜井、温水、ティアラそれぞれのキャラクターがしっかりと表現されており、読んでいてワクワクしました。特に、演説によってそれぞれの立場や想いが可視化されていく構成がとても良く、読後には心地よい余韻とカタルシスが残ります。
シリーズ全体で見ると、今巻は大きな事件や不安を煽るような展開は少なめでした。しかしそのぶん、キャラ同士の関係性や小さな日常の積み重ねが丁寧に描かれていて、「選挙」という非日常がその積み重ねの延長線上にあることがしっかり伝わってきました。
大きな山場があるわけではないけれど、だからこそ最後の演説で一気に気持ちがはじける――そんな構成が光る、静かな熱量を感じる一冊でした。
『美少女しかいない生徒会の議題がいつも俺な件』
「美少女しかいない生徒会の議題がいつも俺な件」は、美少女揃いの美波沢学園生徒会が、実は自分たちの恋愛相談を議題にしているという学園ラブコメディです。 生徒会の美少女たちが真剣に議論している「好きな人」は、全員が風紀委員の南条晴久という男子生徒。しかし、晴久は彼女たちが自分に好意を寄せていることを全く知りません。 生徒会長は風紀チェックに乱れた服装で現れたり、副会長はバイト先でスキンシップを図ったり、会計はエロマンガを描いたり、書記は妹のように甘えてきたりと、それぞれがユニークな方法で晴久にアプローチを仕掛けます。事情を知らない晴久は、生徒会で話し合われたアプローチに振り回されていく、というお話です。
この作品は、まさにシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』や『オセロー』のように、神の視点に立つ読者は全体像を知っていて、ヒロインや主人公の知らないことを知っているからこそ、そのすれ違いを読むのが面白い作品です。 読者である私たちは、生徒会の美少女たちが南条晴久に恋心を抱いていて、彼へのアプローチを真剣に議論していることを知っています。しかし、当の晴久は全くそのことに気づいておらず、彼女たちの行動に困惑したり、勘違いしたりします。この「読者だけが知っている情報」と「登場人物の無知」とのギャップが、物語のコメディ要素や面白さを生み出しているのです。 シェイクスピア劇における悲劇的なすれ違いとは異なり、この作品ではそのすれ違いがキュートでコミカルな展開を生み出しているのが魅力ですね。
一方で、読者が全体像を知ることでズレた展開を楽しむと同時に、彼女たちの関心の中心にある主人公・晴久自身に対する「未知」が読者の中に広がっていきます。なぜこれほど多くの美少女が彼に惹かれるのか、彼にはどんな過去があるのか、という疑問が読者の興味を深く刺激します。そして、物語のクライマックスで彼に対する過去の秘密が明らかになる時、読者は晴久に深い好感を抱き、今後の彼らの恋愛模様がどう展開していくのか、大きな期待感を抱くことになります。私も次の巻が非常に楽しみでなりません。
『あなたの推しVです。今後ろにいます』感想&紹介
📕『あなたの推しVです。今後ろにいます』感想&紹介
今回紹介する作品はあなたの推しVです。今後ろにいます【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)です。
ナナシまる/角川スニーカー文庫/2025年4月1日発売
🔖 目次
📚 書誌情報
- 著者:ナナシまる
- イラスト:さまてる
- レーベル:角川スニーカー文庫
- 発売日:2025年4月1日
- 出版社:KADOKAWA
- ISBN:9784041160664
✨ あらすじ
俺、並木平太は推しVにガチ恋中――なのに。
「一緒に帰りましょ」「やめっ、ついてくるな!」
同級生の加賀美さくらに溺愛されている。
超絶美少女で重たいラブコールだって正直かわいい。だけど最愛の推しVがいるから絶対惚れるわけがない!
(その推しVって私なんですけどね)
私、加賀美さくらは彼の推しであることを隠して今日もたっぷり愛を囁く。
だってリアルの私を愛してほしいから!
「並木くんになら……キス、奪われてもいいですよ?」
本命がいるのに理性がヤバい!
でも実は本人すぐそこに!?
超一途に愛される、すれ違い系ニヤニヤラブコメ!
面白かったです。
推しのVtuberの中の人にストーカーされるという、ある意味でファンタジーな展開に「どこまで没入できるか」と個人的に心配していたのですが――
ヒロイン・加賀美が並木を好きになる理由や、彼女のバックストーリーがしっかりしていて、それが明らかになる中盤以降は、キャラの解像度が一気に上がって、非常に面白くなりました。
👥 キャラクターの成長と関係性
加賀美との関わりをきっかけに、主人公・並木に友達ができる展開も好印象でした。
それが物語上の“おまけ”ではなく、自然な流れの中で加わっていて、二人の関係性の邪魔になっていないのが良かったです。
脇キャラも魅力的。
また、1巻を通してのテーマとして、 - 「ストーカー気味の加賀美との出会い」 - 「並木に初めての友達ができる」 - 「終盤には自分から友達を作る」
という流れがあり、前半と後半で並木の成長が対比的に描かれていたのも印象に残りました。
💘 ラブコメとしての面白さ
加賀美がデートに誘うことで、並木が徐々に彼女を“異性として”意識していく。
中盤で明かされる並木の過去のトラウマを乗り越えつつ、加賀美とちゃんと向き合おうとする兆しも描かれていて、続きが読みたくなる構成になっています。
シリーズを通してのテーマであろう
「加賀美が“中の人”である自分自身も、並木に好きになってもらえるか」
という軸も気になります。
📺 Vtuber要素と今後の展開
1巻を読んでいて感じたのが、「vtuberである必然性がやや薄い」という点です。
最近はVtuberものが増え、裏側の闇や葛藤を描くような露悪的な作品も多い中で、この作品はコメディチックでライトな描き方をしているのが魅力の一つだと思いました。
しかし、ラストで主人公の妹がヒロインと同じ事務所のVtuberを目指すという展開が入り、2巻からはよりVtuberとしての要素が強くなっていきそうです。
加賀美はVtuberであることを並木に隠したい、という事情があり、そこに妹がどう絡んでくるのか。
妹と加賀美の関係性、そして“正体バレ”のタイミングとその反応が今後の見どころになりそうで、とても楽しみです。
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『倒れた婦人を救ったご褒美は、娘の美人双子とのお付き合いでした』について
今回紹介する作品は、『倒れた婦人を救ったご褒美は、娘の美人双子とのお付き合いでした』です。
あらすじ
道で倒れた婦人を助けた主人公・桐島蒼。彼女は、クラスで人気の高嶺の花である美人双子姉妹――結月と陽花里の母親だった。
「毎晩抱き枕になれと言われても従う所存よ」
落ち着いた雰囲気で大人びているが、時折大胆なことを言う結月と、
「好きな人から名前で呼ばれたら嬉しくないですか?」
天真爛漫で明るいが距離感崩壊な陽花里。
学年の誰もが憧れる美人双子に好かれてしまった蒼は、入れ替わりでデートをしたり、学校で2人それぞれから猛アプローチをされたり、さらには、クリスマスに同時デートをしたり!?
美人双子との甘々学園ハーレムラブコメ、開幕!
物語は、医療の心得を持つ主人公・桐島蒼が、道で倒れていた女性を助ける場面から始まります。
その女性は、なんと学園で人気の双子姉妹・結月と陽花里の母親でした。
助けたことが2人に知られると、彼はすぐに声をかけられ、驚く間もなく――なんと再会してすぐに2人から告白されます。
この流れは非常にスムーズで、ややファンタジーめいた“ご褒美的”な導入でもありますが、テンポの良さと勢いに引き込まれました。
目立ちたくない性格の主人公は、校内では距離を保ちつつ、外では2人と個別にデートをするという不思議な関係が始まります。
物語のクライマックスでは、クリスマスに2人と同時デートをすることになります。
しかしその最中に思わぬ事故が発生し、それをきっかけに主人公の心境に変化が訪れます。
迷いながらも真剣に自分の気持ちと向き合った蒼は、最終的に2人と“同時に付き合う”という選択をします。
対照的な性格をもつ姉・結月と妹・陽花里の描き分けも非常に巧みで、それぞれの魅力がしっかり伝わってきます。
また、主人公と友人たちとの会話を通して、2人の間で揺れ動く蒼の気持ちが丁寧に描かれており、読者としても自然に感情移入できました。
全体としてテンポよく、ラブコメとしての王道を踏みつつも、キャラクターの個性と関係性の描き方が丁寧で、一巻できれいにまとまったように感じました。
『Tier1姉妹2 美少女プロゲーマーは僕なしでは戦えない』について
今回は『Tier1姉妹2 美少女プロゲーマーは僕なしでは戦えない』を紹介します。
あらすじ
「織見――わたしのメンタルコーチになってよ」恋もゲームも、最高効率!?
織見は、謎の写真が示す“7年前のこと”を解明するため、菊莉の助言で四姉妹に興味を持ち始める。FPSゲームの世界大会中、周囲の期待をプレッシャーに感じていた三女・梅瑠から、織見はメンタルコーチを頼まれる。
「手、握って。……あっためて」
コーチってそんなことまで!? 熱戦を制し予選を突破した梅瑠の前に立ちはだかるのは、かつての親友ハリン。梅瑠の過去と壁、自分に向けられる好意に気づいた織見は、彼女に写真のことを打ち明ける。
「大会に勝ったら、全部言う」
ふたりにとって、負けられない戦いが始まる!
第1巻では、家政婦として働く主人公と、美人姉妹として有名な四姉妹との関係を描きながら、どこかミステリー的な雰囲気も漂っていました。
主人公が四姉妹と過去に何らかのつながりを持っていたことが示唆され、それを少しずつ解き明かしていく構成は、読者に「謎解き」を読むような楽しさを与えてくれました。
それに対して第2巻では、舞台が一変し、なんとeスポーツ――FPSゲームを中心とした展開に。
正直、最初にFPSゲームが始まったときは「また一貫のようなどんでん返しやサスペンス的な要素があるのでは?」と構えてしまいましたが、実際には驚くほど真っ当なFPS描写が展開され、リアルで熱量のあるゲームパートに圧倒されました。
試合の緊張感や戦術、チーム内の心の動きまで丁寧に描かれていて、まさに「本格ゲーム小説」としても成立しているのがすごいところです。
また、本巻のヒロインである四女・梅瑠と主人公の距離感の描写も良く、最終的にふたりが付き合う展開には素直に驚かされ、そして納得できる流れでした。
一方で、他の三姉妹の出番は控えめで、第1巻で印象的だった長女との関係性以外は、まだ「友達以上恋人未満」的な関係のまま保たれている印象もあります。
今後、二女や三女に焦点を当てた話が来る可能性もありますが、今回四女がメインだったことを考えると「次は三女か?」という順番的な読みもできて、シリーズとしての展開がますます気になります。
本作は、ただのラブコメにとどまらず、「成長と勝負」を描く物語でもあり、先の展開がとても楽しみです。
次巻でどの姉妹が主役になるのか、そして“過去の謎”がどのように再浮上してくるのか、引き続き注目していきたいと思います。
『光属性美少女の朝日さんがなぜか毎週末俺の部屋に入り浸るようになった件2 (GA文庫)』について
今回紹介する作品は、『光属性美少女の朝日さんがなぜか毎週末俺の部屋に入り浸るようになった件2 (GA文庫)』です。
>>
あらすじ
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学内一の美少女・朝日光が、地味で目立たない少年・影山黎也に告白したという噂は、あっという間に学校中に広まった。
周囲の注目を集める中でも、光は一切気にせず、変わらず黎也の部屋に入り浸り、「ガンガン攻めていく」と宣言した通りに猛烈なアプローチを仕掛けていく。
放課後の制服デートに、罰ゲームを名目にしたスキンシップ攻撃。
無邪気さに加えて、甘えた素顔まで全開にしてくる“第二形態”の朝日光の破壊力はまさに天下無双。
そんな全力の好意に戸惑いながらも、黎也もまた、光に釣り合う存在になろうと悩み始めていく――。
これは、光属性の少女と闇属性の少年が、虹色にきらめく恋を描く、まぶしくて少し切ない青春ラブコメ第2巻!
内気な主人公、影山黎也が同じゲームが好きであることがきっかけにテニス部のエースでモデルの朝日光と関係を進めていく作品です。
1巻では二人の馴れ初め、ひょんなことからはじまる関係から、主人公の視点では彼女の内面が推し量れない状態でミステリアスな感じで話が進んでました。
そこから次第に断片的に彼女の悩みが明らかになり、主人公がその悩みの精神的な面をサポート。自体の解決が進んだ結果。ラストでヒロインからの告白。ヒロイン視点での心理描写。告白までの心理の流れを納得させる。その上で二人の関係はこれからどうなるで2巻に続くでした。
2巻では、主人公がヒロインの好き好きアピールに戸惑いながら初々しい日常。しかし、ヒロインから告白された噂は学校を駆け巡っており、主人公は注目の的になる。なぜコイツが、という視線に傷つく主人公。そこに、演劇のために恋愛感情を知りたい緒方という主人公の悩みの聞き手役であり観測者的なのが出た。
彼女をきっかけにヒロインの隣にふさわしい人物になりたいとイメチェンを測る。しかし、自分を変えるとは、今の自分を好きになってくれたヒロインに対してどうなのか。悩む主人公。
2巻では、自分らしさというのがテーマになっていると感じる。1巻もアイデンティティというか自己のありようという問いかけがあり、2巻ではそこに彼女の前での自分らしさは何かという問いかけがある。
そう考えると役者の緒方が新たに登場人物として出てくるのはテーマに沿ってるのかもしれない。
恋愛を描いているが、主人公が内向きに思考を巡らせるタイプで理屈っぽい場面が多いのが印象に残った。
ラストで主人公の夢が明らかになった。今後の展開のスパイスの一つなのか。本筋になる巻があるのか。楽しみな要素だ。
また、ヒロインの兄も個人的に好きなキャラです。主人公が憧れる天才ゲームクリエイターでありながら、ヒロインに劣等感があり、主人公と同じで恋に奥手な部分がある。こちらも今後どう展開されるか注目だ。
『ヒモになりたい俺は、ヤンデレに飼われることにした』 について
今回紹介する作品は、『ヒモになりたい俺は、ヤンデレに飼われることにした』 です。
>> あらすじ <<
将来働きたくないなら、ヤンデレに飼われればよくね?
自堕落高校生の桐谷彰は、幼い頃からヤンデレに好かれるという特異体質の男性だ。
ある日の放課後、同じクラスで才色兼備な水無月結が彰の鞄の匂いを嗅いでいるのを発見し、彼女は彰に対して病的な愛情を抱いていることを知る。
それをきっかけに、彰は自ら結に飼われることを願い出、老後まで世話をしてもらおうと決意する。
「首輪はオーダーメイドだから、できるまで待っててね」と天使のような笑顔で告げる結。
しかし、結の家で飼育生活が開始された瞬間、呼び鈴が鳴り……!?
果たして、彰は無事にヤンデレのヒモとしての道を歩むことができるのか――!
これは、彰が立派なヤンデレのヒモを目指して波乱の学園生活を送る物語である。
主人公はヒモになって楽な生活を送りたい主人公。30ページも立たずに現れたヤンデレの監禁宣言を即答で了承する。
すると、主人公の妹もヤンデレで。
というはなし。
展開がかなり速いです。それでいて勢いやパッションだけでまわさずに妙に理屈っぽい。
GPSにたいする豆知識や、ヤンデレ同士のお互いの手の内を探り合う描写は面白いです。
セリフの煽りあいにもセンスを感じました。
「「淑蓮ちゃんは、面白いなぁ。頭の中で、空想で出来たブロックを積んで遊んでそう」」
—『ヒモになりたい俺は、ヤンデレに飼われることにした (ダッシュエックス文庫DIGITAL)』端桜了, 吉田ばな著
https://a.co/gaCxR0a
↑これとか、ようは面白い推理ですね探偵さんってことなんですが。比喩のセンスが上手いと感じました。
妹と表向きは優等生のヤンデレでお腹いっぱいなところで、中盤に主人公を神格化する三人目のヤンデレも登場します。
三人目が主人公に命の危機を感じさせる存在のため、コメディ感がありながらも緊迫する。そこから主人公が危機的な状況に立ちながらもこなさなければいけない課題が提示されていき、高速で展開される障害物競走を読んでいるような気分になりました。
面白かった。続きがとても楽しみです。
『死神公女フリージアはさよならを知らない』について
こんにちは、神島竜人です。今回は『死神公女フリージアはさよならを知らない』について紹介します。
あらすじ
死神は人と繋がり恋することで――最期にすべてを理解した
「私は人が生き抜いた末の『死』が観たい。その果てに、なにが遺るのかを」
『死』を学ぶためだけに現世を旅をする死神がいる。死神公女フリージア・トルストイ・ドルシュヴィーア。
異世界の中でも高位な存在であり、現世の『死』を知りたいと願った彼女は、付き人である少年、《人の死期がわかる》異能を持つ黒朗夏目と、様々な人間の『死』を看取る旅をする。
寿命という概念と無縁だから、人間と親しくなったことがないから気付かなかった、抗いようのない一つの事実。
彼女がそのことに気付く、その刻まで――旅は続く。
ヒロインは死を観察する死神
異色の作品です。最初はどういう気持ちで読めばいいのかわからずに世界観に引き込まれながら読みました。
徐々に死を観察する、というヒロインの目的が見えてきて序盤のどんでん返しがフックになって最後まで読み進められました。
話の構成としては死神のヒロインが寿命が見える相棒とともに死の運命にある人たちを観察して。その死に際の行動から死を理解しようとする作品。
つまりは余命もの。
石田衣良さんの『約束』とか、携帯iランドの『恋空』、片山恭一さんの『世界の中心で愛を叫ぶ』、伊坂幸太郎の『死神の精度』、漫画だと『イキガミ』、映画だと黒澤明の『生きる』も有名です。
いずれも人生に向き合い、蝋燭の火が消える瞬間の強いまたたきを捉えた、読者を泣かせるためのストーリーが多い。
そのイメージから私は序盤で、ようはこういう作品だろうな、と予想しながら読み進めました。
ただ、予想とは大きく外れていて面白かったです。
誰かが近々死ぬという前提で読み進めるミステリー?
ヒロインの相棒が相手の余命を見ることができる。それにより、だれがいつ死ぬかを知っている。
その死ぬだれかはだれなのか、という緊張感があります。
そのギミックがある上で、けっこう変化球が多い。1回目で、典型的な余命ものをやったので。
2回目もそれ系の話になるかな、と思ったら予想を裏切る話になりました。
この設定でどうやって話を回すんだろうと思いながらページをめくったのですが、意外と作者の引き出しが広くて驚きます。
今後の展開
1巻で話としては完成しています。しかし、続巻が出る余白はたくさんあるようにも思います。
今巻ではいろんな引き出しが見えたので、もっといろんなパターンが見れるだろうな、と思います。
また、異世界の設定も掘り下げられそうな部分がまだまだありそうです。
『男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと』1~4巻について
こんにちは、神島竜です
今回紹介する作品は『男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと』についてです。
あらすじ
絶対に百合にはなり得ない新感覚の学園バトル&ラブコメ!
男子禁制のゲーム世界に、どんなルートでも破滅確定のお邪魔キャラとして転生してしまった俺、ヒイロ。迫りくる死亡フラグを回避するには強くなるしかない。そんな必死の努力を重ねた影響か、エルフの姫ラピス、メイドのスノウ、妹のレイ、主人公キャラの桜など、ゲームのヒロインたちから好意を寄せられることに……。このままでは「百合の間に挟まる男」認定されて抹殺されてしまう! やっぱり死ぬの? どうする俺!? さらに、俺というイレギュラーをめぐって彼女たちが争いはじめて……って、女の子同士が仲良くなる設定はどこいったんだよ。百合の間に挟まる男は●ね!
タイトル:『男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと』
著者:端桜 了(https://x.com/YR_HASAMARU)
イラスト:hai(https://x.com/hai_hyu)
ASIN : B0C22LKQ2Z
出版社 : KADOKAWA (2023/4/25)
発売日 : 2023/4/25
舞台は百合ゲー
面白い作品です。舞台は百合ゲー。女性同士で子供をつくることが当たり前の世界。主人公は百合の邪魔をする破滅確定の男性キャラ。
この時点で珍しいアプローチの作品だと感じました。最初は乙女ゲーとファンタジーRPG転生のいいとこどりのように考えました。
破滅するという自身の運命を変えるカタルシス、それでありながら、ゲーム世界でルールの裏を突いて強くなっていく効率化の追求による爽快な読後感。
実際、1巻はこの要素の強い作品となっている。
強くなっていく過程が早い
読んでいて、展開の速さと主人公がどんどん強くなっていく勢いのある展開に惹かれました。
文章自体が端的で事実を短くしっかりと伝えていくような文章で、それを矢継ぎ早に畳みかけている。それでいて、ライトノベル特有のその時の流行りのアニメネタを意識した主人公視点のユーモラスな語り口をカッコつけずにちゃんとやりきっている。読んでいて、展開の速さが他の作品にはない魅力としてあります。
たとえるなら、知らないゲームのRTAを見ているような気分です。作中のフラグを踏みながら、レベル上げていくのは、RTA実況特有のこんな方法があったのか!と目から鱗が落ちる感覚に似ています。
さらに、うまくいっている要素を出しながら、主人公の欲求である百合を大事にしたいという目標を、意図せずヒロインとフラグが立ってしまうでままならぬトホホ要素として出してきているのが面白いです。
バトル展開が熱い
敵と戦うバトル描写が熱いです。
なろう作品特有のRTAレベリング要素をしっかりと描写されていることで、バトル描写の作中世界のルールに基づいておこるバトルに読みごたえを感じます。
物語の展開が早く、主人公と敵が矢継ぎ早にいろんなことをしている場面展開はどうなるかがわからず読んでいてハラハラさせられます。
敵役がかなり強者としての描写が丁寧でとても良いです。例えるなら、本来なら10巻以降に出るはずの温めておいた秘蔵の強キャラが雑誌の都合で3巻で出てきて、それがライブ感のある作品ですごい盛り上がっているような作品を読んでいる気分です。
主人公がカッコよく、ヒロインの心理描写が濃い
また、本作は主人公も魅力的に書かれている。主人公は転生した百合ゲーの信者で、作中でも重度の百合信仰を見せます。
1巻では、なにがなんでも強くならなくてはいけないという目標で行動しています。読者はなろうのテンプレだと思い、RTA要素として楽しむ。しかし、1巻の終盤でそれが作中で起きる悲劇を避けるための行動で、主人公本人はその悲劇を避けるために死にたくないと考えているのであって、百合を守るためなら死んでもいいと考えている。
レベリング描写を重ねながら、百合を大事にする主人公の要素が丁寧に描かれており、それがヒロインを守るために戦わなければいけないという状況で、すぐに迷わずに危機につっこむことのできる主人公のカッコよさを引き立てます。しかも、普段はギャグとして扱われる向こう見ずな態度が、シリアスな場面ではカッコいいヒーローな姿になるというのが、二面性があっていいです。
また、作中ではヒロインの心理描写も濃い。主人公がヒロインのために立ち上がり強大な障害に立ち向かう場面で、ヒロインの心理描写が描かれます。そのときに、なぜ彼女はふだんこんな態度をとっているのか。なぜこんなことをしているのか。今何を考え、迷っているのかという情報が矢継ぎ早に開示され、濁流のような心理の流れに圧倒されます。
そのうえで、この娘が助かってほしいという強い想いが湧いてきたところで主人公が逆転の一手を打つという展開に手に汗を握るのです。
とても面白い作品です。オススメですので、ぜひ読んでみてください。
『家で知らない娘が家事をしているっぽい。でも可愛かったから様子を見てる』について
こんにちは、神島竜です。
今回は、『家で知らない娘が家事をしているっぽい。でも可愛かったから様子を見てる』について紹介します。

タイトル:『家で知らない娘が家事をしているっぽい。でも可愛かったから様子を見てる』
著者:モノクロウサギ(https://twitter.com/monokakiusagi)
イラスト:あゆま紗由(https://twitter.com/ayumasayun)
ASIN : B0CW1B9ZXV
出版社 : KADOKAWA (2024/5/1)
発売日 : 2024/5/1
あらすじ
とんでもない美女が家事を完璧にやってくれて最高!……でもこいつ誰だ!?
どうやら俺にはストーカーがいるらしい。頻繁に自宅に不法侵入してなぜか家事をして帰っているようだ。被害らしい被害もないので様子を見ていたらある日自宅で出くわしてしまう。そのストーカーがとんでもなく美人だったこともあってつい無視し続けたんだけどどうやら受け入れられたと勘違いしたのかそれ以降俺が在宅でも構わず通ってくるし、なんなら事あるごとに話しかけてくるようになった。美人が通って好意を向けてきてるのに未だ会話ゼロ。……なぁ、どうしてこうなった?めちゃくちゃ今更だと思われるかもしれないけど、言わせてほしい。──こいつ本当誰なんだ?
もくじ
ストーカーのいる日常系
今まで読んだことのない読み味の作品です。主人公の水月は大学生。飲食店でアルバイトしている。彼は大学生になってからは一人暮らし、のはずだった。自分しかいない家で、なぜか掃除と洗濯等の家事がされた形跡がある。自分の下着がいつの間にか新品のものに変わっている。しかし、そうしたことに無頓着な彼は、実害がないため様子を見ていると、ある日自宅で彼女と出くわしてしまう。
ストーカーがとんでもない美人であったため、無視をすることに決めると、次の日から、彼女は主人公が自宅にいる時にも通うように。さらに、無視を続ける主人公に対して話しかけるようになった。
今までにない展開の作品のため、新鮮な気持ちで読みました。ヒロインがとても可愛いです。
奇妙な同居生活(?)はどうなるかわからない緊張感があり、ページをめくる手が止まりませんでした。
主人公の視点だと、彼女の正体はすぐには明らかにならないのですが、中盤で彼女の友達の視点に移り、事態の概要がつかめてくるとラブコメとして面白くなってきます。
ヒロインはガールズバンドのボーカル、中盤の展開は必見
ヒロインの名前は千秋蘭、主人公と同じく大学生。ガールズバンドのボーカル。抜けたところがあり、思い込みが激しい。水月がアルバイトしている飲食店の常連。
千秋はナンパをされているところを彼に助けられたことをきっかけに好意を抱くようになり、ひょんなことから彼の自宅のカギを入手する。
そこから彼女のストーカー行為がはじまり、水月との奇妙な関係につながる。
バンドメンバーからの詰問により、自身のストーカーの経緯と行為を暴露した彼女。
ちなみにこのバンドはメジャーデビューが決まっている。ボーカルの犯罪行為が表ざたにならないように、メンバーたちは千秋に謝罪と自己紹介をするように促した。
ここから、千秋は大学から帰ってきた水月に自己紹介し、無視し続けていた彼ははじめて彼女と会話し、勝手にやっていた家事が公認になる。
進展した関係? 続きはどうなるのか?
そして、何気ない(?)日常がつづられ、会話をするようになった彼女から自身のバンドのイベントに誘われ、見に行った主人公。
そこから関係の進展したかのような異常が日常となった緩やかな描写で終わる。
話の展開や主人公の行動には緩急はないけども、設定はどうなるかわからないものがあり、目の離せない作品でした。
ライトノベルでよくあるヒロインに悩みがあって、主人公がそれを解決するみたいな展開がなく、本当に日常を観察し続ける読書体験だったのがよかったです。
ヒロインのガールズバンドが今後どうなるのか。主人公の趣味として明かされていたイラストを描くというのが、伏線のようで伏線じゃなかったので今後関わるのかが気になります。
『小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている』について(ネタバレ注意!)
こんにちは、神島竜です。
今回は『小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている』を紹介します。
書籍情報
タイトル:小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画えお愛しすぎている
著者:望公太(https://twitter.com/nozomikota)
イラスト:桶乃かもく(https://twitter.com/k_okeno)
出版社 : KADOKAWA (2024/4/25)
発売日 : 2024/4/25
ISBN-10 : 4046835400
ISBN-13 : 978-4046835406
あらすじ:
放課後、部室で密かに行われるのは……打ち切り漫画批評!?
俺、月見里司は高校生で漫画家志望。大人気の漫画誌、週刊コメットの漫画賞で最終選考まで残った経験もあり、今日も今日とて漫画部部室で、デビューを目指してネームを悶々と考える日々……なのだが、異様なまでに打ち切り漫画を愛好している部の後輩の小鳥遊がいつもちょっかいを出してくる。「お前……結局趣味が悪いだけじゃねえか。デスゲームやってる貧乏人を、金持ちが安全圏から見て楽しんでる感覚かよ」「ち、違いますよ! 私が求めてるのは散り際の美しさです! 土俵際の美学です! 敗者の生き様です!」「ただただ人間として面倒くさいな!」漫画同好会部室は、相も変わらず他愛のない会話で溢れている。
もくじ
主人公は漫画家志望、ヒロインは打ち切り漫画を偏愛する女の子。
舞台は高校の漫画部の部室。そこに集まるのは、漫画家志望の月見と1年生の小鳥です。基本的に、二人の漫画トークが中心となる作品です。
ヒロインである小鳥遊(ことり ゆう)は、毎週コメットで連載されている打ち切り漫画を愛しており、家にはその漫画の単行本が5巻まで揃っています。
月見はデビューの準備をしながら、ヒロインと漫画の話をするという内容です。読んでいて面白かったです。会話の内容はTwitterでのジャンプの打ち切りレースに対する反応を思い起こさせます。
会話の内容が上手い作品です。作中に登場する作品は架空の作品なのですが、読んでいると今まで読んできた打ち切り漫画の記憶がよみがえってくる。それでありながら、その作品とは似通らない内容で、かすりそうでかすらないラインで話すのが上手いなと感じました。
まさかのSF,つづきはどうなるのか!?
今回読んでいて驚いたのが、最後に明かされたループ設定です。小鳥遊は月見との青春をループしていることが終盤に明らかになります。
それは、彼女の意思によって行われるループです。
一応、会話の節々に伏線は貼ってあったのですが、実際に明らかになったら驚きました。
読み返してみると、時間の進みが一般の日常系ライトノベルよりも早く。テキストゲームのノーマルエンドのような、ここで何もしなかったからこのエンディングになった感が強いんですよね。
次巻では、別のルートが見れると思うので、この辺がどうなるかが気になります。
『双子まとめて『カノジョ』にしない?』の1と2巻について
今回紹介する作品は『双子まとめて『カノジョ』にしない?』です。

書籍情報
著者:白井 ムク(twitter:https://twitter.com/ShiraiMuku)
イラストレーター:千種 みのり(twitter:https://twitter.com/minori_chigusa)
ASIN : B0CTZGTCNW
出版社 : KADOKAWA (2024/2/20)
発売日 : 2024/2/20
もくじ
読み味が爽やかな双子もの
タイトル通り、双子をヒロインとした作品です。最近、数が少しずつ増えています。たぶん、disiteのASMRがきっかけになっているのではないか、というのが私の予想です。もしかしたら、他の因果関係があるのかもしれません。
双子ものの魅力としては約束されたハーレムルートでしょう。双子のタイトルで二人の美少女が表紙を飾る時点で、彼女たち二人と付き合うことになるのが明白ですから。既存のハーレムものと違って、最後に一人の女性を選んでお茶を濁す形にならないだろうな、という安心感があります。
本作が既存の双子ものと比べて、新鮮に感じた点は読み味が爽やかな点です。
双子ものって、可愛い女の子二人と付き合いたいというストレートな欲望がメインの要素になるので、インモラルな雰囲気が出てしまうものです。
しかし、本作は若者たちの青春として爽やかな読み味があるような気がします。
これは日常描写、キャラクターたちの心理描写がとても繊細で、土台がしっかり作られているうえで、双子とのハーレムが描かれているのがそう読ませてくれるのかもしれません。
1巻で、主人公は双子の妹の千影と学校で、クラス内でのテストの成績で争い、交流を深める。さらに、放課後に姉の光莉とゲーセンで知り合う。
主人公が二人を同一人物と勘違いして、二面性に振り回されながらもどちらの彼女のことも好きになる。そのうえで、誤解が進んだまま二人に同時に告白したかのような形になる。
その流れはとても緊迫しており、かつ楽しんで読むことができた。二人が双子であるということを読者だけが知っている状況で、進んでいく状況と個々のキャラクターの葛藤。
そこからの急展開からの告白により公になる事実と混とんを極めた状況。そこでの問いに対する答えはどちらを選ぶかというのになるものですが。ここで出る第3の問いの「双子まとめて『カノジョ』にしない」という第3の選択。
文殊の知恵、第3の選択肢
読んでいて思うのは、この作品はキャラクターの葛藤が丁寧に描かれています。それはどの道を行くべきか、という青春のさなかで問われる選択肢であることが多い。もちろん、往々にして葛藤は選択であるものなのだけれども。そのうえで、AかBかという二項対立にとらわれているけども、Cという考えもあるんじゃない? というのが出てきて、解決していく流れがあります。
双子をまとめてカノジョにするという展開もその第三の選択肢という流れで出てきているため、退廃的な空気があまりなく。爽やかなラブコメとして読むことができました。
2巻は新聞部を中心とした話
2巻は新聞部での騒動が作品の中心となります。学内でのYoutube活動を行う部活の存在により、古くからある新聞部での存続が危ぶまれていた。新聞部での部員は、スキャンダラスな記事を求めて、主人公たちとぶつかる。それにより、主人公たちは新聞部での立て直しに協力することに。
今回は主人公と双子が付き合った後の話で、双子との恋愛関係を秘密にしなければいけないのと、新聞部の立て直しの二つの軸がとても面白かったです。
次巻は旅行回、行くのは山か海か
次の巻では、3人で旅行に行くことが示唆されています。
予想というほどではないですが、山か海かで意見が分かれている以上。このシリーズの場合はどちらも楽しめる選択肢を選ぶのでしょう。
日本には山と海が両方楽しめる場所はありますから。珍しいことではありません。
次巻の旅行はどこでどうなるか、読みごたえがありそうでワクワクします。
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『性別不詳Vtuberたちがオフ会したら俺以外全員女子だった』について
さて、今回紹介する作品はこちら、『性別不詳vtuberたちがオフ会したら俺以外全員女子だった』です。

書籍情報
著者:最宮みはや(twitter:https://twitter.com/mihayasaimiya)
イラストレーター:あやみ(twitter:https://twitter.com/ayamy_garubinu)
ASIN: B0CPDQW2F3
出版社 : KADOKAWA (2023/12/20)
発売日 : 2023/12/20
もくじ
ラブコメたっぷりなvtuberもの
本作はタイトル通り、性別不詳Vtuberがオフ会したら俺以外全員女子の話です。
主人公の栗坂恵は、見た目と声が中性的。幼馴染のイラストレーターのプロデュースでvtuber、甘露ケイになる。彼女の勧めで、性別を明かさずにvtuberをはじめる。活動していくうちに登録者数は安定的に増え、コラボする仲間も増えていく。その中でも、同じように性別不詳のvtuberたちと仲良くなる。そのグループはいつしか、リスナーから「性別不詳組」と呼ばれるように。甘露ケイとして活動する栗坂恵はコラボする藤枝トモから強い友情を感じるようになる。そんなトモから「性別不詳組」でのオフ会を提案される。
藤枝トモは普段から小学生男子のようなセクハラ発言を繰り返すキャラであったため、暗黙のうちに、トモを含めたグループのみんなを男性だと考えていた主人公はそれを了承し、オフ会に参加する。
しかし、オフ会で出会った相手は全員女性であった。
強い友情を感じていたトモも男性でなく、清楚な女性であったことに驚く主人公。出会ったばかりのトモこと、志藤留依は栗坂恵にとって不可解な行動ばかりとるが、彼はそれを女性と勘違いされていて、男性だったことにショックを受けたためだと誤解しながら、女性であった彼女と話し合い、変わらぬ関係を誓う。
しかし、そのやり取りは彼女にとっては告白のようなものと受け取られ、両者すれ違いの関係がはじまった。
ラブコメ要素がたっぷりはいった面白い作品です。Vtuberを扱っていますが、内容としては【オンラインゲームを舞台にしたラブコメ】と【お前女だったのかモノ】のいいとこどりの展開はワクワクさせられました。
ヒロインの志藤留依がかわいい
メインヒロインである志藤留依がとてもかわいい。彼女は日常でのペルソナはおとなしい内気な女の子ですが、vtuberでは下ネタをしがちな性別不詳。栗坂恵とのやり取りでのボタンの掛け違い具合はコミカルで可愛いです。恥じらいながらも主人公にアタックする姿はムッツリ感がありかわいい。1巻のストーリーラインは、性別不詳組のアマネ・エーデライト(入江栞莉)と三宅猫ミイ(西園寺令)のvtuberと日常の兼ね合いの中で起きる悩みを解決する話が展開されるのですが、志藤留依の暴走は彼女たちの悩みでシリアスになりそうな場面を緩くする重くなりすぎないようにしてくれます。
彼女の暴走は可愛くコミカルでありながら、物事の閉塞感を打開する一手につながっている。ここがヘイトを買わずに可愛さだけを摂取できる塩梅でとても推せます。
女の子の悩みを解決していく
1巻は、同じグループのvtuberである入江栞莉と西園寺令の悩みを解決する話となっています。それはvtuberとしてのペルソナと日常を生きる彼女のペルソナ。その間となる内面的な揺れ動きに関わるものです。開示されていく設定はキャラクターたちが地面に立っているように感じさせる重量感がありました。そのぶん場合によっては物語がシリアスになりそうな話を、メインヒロインの暴走がうまくそうならないように動かしているし、主人公のその時その時の機転が、主人公の読者の好感度を上げます。
今後の展開が気になる
読み終わって、とても続きが気になる作品です。始終ライトノベルらしい明るいラブコメとして読めたと同時に、退屈さを感じさせない起伏がありました。vtuberものは、vtuberのもつリアルさに寄り添えば寄り添うほど露悪的な要素が出そうになるものですが、本作はそういったものがなく、最後までラブコメとして楽しむことができたことがとても好感を感じました。
また、ラブコメが進みながらも、主人公の活躍として大きなイベントが起きており、これがこの作品世界での業界にどのような影響が波及し、主人公にどんな試練をもたらすかも気になります。
さらに、存在感の隠しきれない幼馴染のイラストレーターが今後主人公のラブコメにどう関わるかも気になります。
彼女も配信を見ているわけですから、性別不詳組内での主人公とヒロインの関係性の変化に気づいているであろうことは明確で、主人公に好意を抱いているであろう彼女がどんな行動を起こすのかが気になります。
とても面白い作品でした。続きが気になります。
『佐々木とピーちゃん』8巻について。ネタバレ注意!
さて、今回紹介する作品はこちら、『佐々木とピーちゃん』の8巻です。
ASIN: B0CS5XDLCW
出版社:KADOKAWA
発売日:2024年1月25日
もくじ
アニメ化決定! てんこ盛りの鍋料理!
『佐々木とピーちゃん』は次のような話です。
独身サラリーマン、佐々木は中年にさしかかるにつれ、かわいいペットと過ごす日々に憧れていた。
そんななか、ペットショップで出会ったインコのピーちゃんに一目惚れし、彼(?)を購入することに。
さっそく家に連れ帰ると、ピーちゃんは佐々木に語りかけた。彼が言うには、自分は星の賢者、ピエトロであり、異世界からこちらの世界に転生したとのこと。
佐々木はピーちゃんとの出会いをきっかけに、彼の魔法で異世界と現実世界を行き来し、異世界で商人として成功する。さらに、ピーちゃんから魔法を教わるようになる。
そんななか、女性が不思議な力を持った男性に襲われる場面を目撃した佐々木。ピーちゃんから教わった氷柱を飛ばす魔法で女性を助ける。
しかし、助けた女性は異能力に対抗する公安の特殊捜査官だった。助けた佐々木は彼女にスカウトされて捜査官となる。
こうして佐々木は、異世界で商人をやり、現実世界で異能力者としての二足のわらじを履くことになる。
さらにはデスゲーム、魔法少女、宇宙人とさまざまな事件に佐々木は巻き込まれていく。
このシリーズの面白いところが、巻ごとにそれぞれの事件を解決していくのでなく、1 巻のなかに複数の事件が同時進行で進み、時に絡み合う点である。
世界観の違う話が絡み合っているのに、わかりづらさがないのはとても面白い。
話が進むにつれて、キャラクターたちが宇宙人の十二式を中心に擬似家族を作る展開もワイルドスピードを彷彿とさせる。
現在、アニメがはじまっており、二期も楽しみにしている作品だ。
佐々木たちが学校に潜入!?
宇宙人の十二式が学校に行きたいと言ったため、佐々木と二人静は彼女の護衛と監視のために教師をすることに。
十二式が進学した学校にはお隣りさんがおり、5巻から登場のマジカルブルーも十二式の監視のために転校する。
佐々木が教師をするという展開はとても興味深かった。佐々木、二人静、星崎たちを束ねる上司である阿久津との会話が知能指数が高くて好きです。
高校生である星崎が学力の面で今回の潜入で不向きであることは予想できましたが、そこから体育ならできると言った星崎に、体育の問題を出す場面はコミカルで良かったです。
二人静のヒロイン力が強い
今回、佐々木は数学の教師に。二人静は英語の教師になりました。
いわば、職場の同僚としての関係で物語が進んでいく。そのため、二人静の活躍が必然的に増え、ヒロイン力が上がるのを感じます。
現時点で佐々木と一番親密なヒロインのように感じます。
のじゃロリババア、昨今では王道ゆえに独自の味付けを追求する風潮があるため、王道を味わうことが逆に難しい。二人静はそんななかで、目新しさがありながらも古き良き味わいを感じさせる素晴らしいヒロインです。
今後も活躍する場面が見たい。
しかし、今巻でヒロイン力が偏って上がっているのも事実。
今後のヒロインレースで他ヒロインの活躍を見ていきたいところです。
トリックスター、十二式
今回、宇宙人の十二式も魅力的に描かれています。明確にはされていませんが、作中でピーちゃんと競り合う勢いでつよいであろうキャラ。
いわば破壊神ビルスみたいな、機嫌を損ねると地球がヤバいともされている彼女は、物語を動かすトリックスターとしての役割を持ちはじめています。
彼女がいるからこそ、世界観が違うキャラたちが一つのチームとしてまとめられていてこの作品の台風の目となっている。
今後の動きに目が離せません。
9巻では、十二式はyoutuberに興味を持った様子。次巻でどんな展開になるのか、今から続きが楽しみです。
『なぜかS級美女達の話題に俺があがる件』について
今回紹介する作品は、『なぜかS級美女達の話題に俺があがる件』です。
不思議なすれ違いの恋愛
読み味が普段読むラブコメと違ってて楽しめました。
主人公の晴也はふだんはクラスの影に隠れた地味な人間。休日はオシャレをして出かける。自己肯定感が低い。
休日にナンパに絡まれた少女を助ける。休日明け、クラスのS級美女達の一人、小日向凛が休日に素敵な男性に助けられたことを語る。
教室にいる誰もが、S級美女たちに直接話しかけはしないまでも、気になって聞き耳を立てる。
晴也は凛の話に既視感を覚える。なんと、彼女は休日に助けた少女だった。
彼女のなかで、自分が過剰に評価されていると感じた主人公。彼なりに、評価を下げる行動を取るも、教室で語る彼女の晴也像は変わらず、むしろ高くなっていた。
すれ違い系のラブコメ。最初に立てた計画は崩壊し、予想外の結果を得る。
ラブコメの日常パートは読んでて楽しかったです。主人公にとっては放課後や休日の一場面なのですが。オシャレで変身をしているという要素は非日常感があり、読んでてワクワクしました。
また、主人公だけでなく、ヒロインも服装や帽子、アクセサリーで見た目が変わる世界観で。それぞれの正体がいつキャラクターどうしでバレるのかが、話の展開を読めなくしており、日常パートでもワクワクして読めました。
この作品、晴也と凛の恋愛パートの振り返りが教室でのS級美女たちの会話でされています。
これにより、フィードバックを主人公も知るのが面白い。リアクションが読んでて楽しく。主人公のコミカルさと、ヒロインの魅力を引き立ててる。
登場人物たちの秘密が気になる
本作品はライトノベルの1巻です。
つまりは2巻、3巻と続きを見据えた作品であるということです。
その上で、1巻で一人のヒロインとの交流を描いた作品です。
でありながら、主人公は教室と教室の外で別の見た目を持っている。また、読者にだけわかる形で、S級美女と評されるヒロインたちも教室での姿と外での姿が違う。
両親、人間関係、なにかしらの理由で構築された社会性。社会的ペルソナと、その内面に閉じられた心理的ペルソナ。
その二つの境目を行き来しながら、ペルソナが分裂したトラウマと向き合い融和する。
ある種の二重人格もののようなストーリーラインになっている。
と、なると他のヒロインや主人公にも同じ側面があるのは想像に難くない。
他のキャラクターたちや主人公も魅力的なので、どんな秘密があるのかが気になります。
オススメの作品なので、ぜひ読んでみてください。















