そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『なぜかS級美女達の話題に俺があがる件』について

今回紹介する作品は、『なぜかS級美女達の話題に俺があがる件』です。

なぜかS級美女達の話題に俺があがる件 (角川スニーカー文庫)

不思議なすれ違いの恋愛

 読み味が普段読むラブコメと違ってて楽しめました。

 主人公の晴也はふだんはクラスの影に隠れた地味な人間。休日はオシャレをして出かける。自己肯定感が低い。
 休日にナンパに絡まれた少女を助ける。休日明け、クラスのS級美女達の一人、小日向凛が休日に素敵な男性に助けられたことを語る。
 教室にいる誰もが、S級美女たちに直接話しかけはしないまでも、気になって聞き耳を立てる。
 晴也は凛の話に既視感を覚える。なんと、彼女は休日に助けた少女だった。
 彼女のなかで、自分が過剰に評価されていると感じた主人公。彼なりに、評価を下げる行動を取るも、教室で語る彼女の晴也像は変わらず、むしろ高くなっていた。

 すれ違い系のラブコメ。最初に立てた計画は崩壊し、予想外の結果を得る。
 ラブコメの日常パートは読んでて楽しかったです。主人公にとっては放課後や休日の一場面なのですが。オシャレで変身をしているという要素は非日常感があり、読んでてワクワクしました。
 また、主人公だけでなく、ヒロインも服装や帽子、アクセサリーで見た目が変わる世界観で。それぞれの正体がいつキャラクターどうしでバレるのかが、話の展開を読めなくしており、日常パートでもワクワクして読めました。
 この作品、晴也と凛の恋愛パートの振り返りが教室でのS級美女たちの会話でされています。
 これにより、フィードバックを主人公も知るのが面白い。リアクションが読んでて楽しく。主人公のコミカルさと、ヒロインの魅力を引き立ててる。

登場人物たちの秘密が気になる

 本作品はライトノベルの1巻です。
 つまりは2巻、3巻と続きを見据えた作品であるということです。
 その上で、1巻で一人のヒロインとの交流を描いた作品です。
 でありながら、主人公は教室と教室の外で別の見た目を持っている。また、読者にだけわかる形で、S級美女と評されるヒロインたちも教室での姿と外での姿が違う。
 両親、人間関係、なにかしらの理由で構築された社会性。社会的ペルソナと、その内面に閉じられた心理的ペルソナ。
 その二つの境目を行き来しながら、ペルソナが分裂したトラウマと向き合い融和する。
 ある種の二重人格もののようなストーリーラインになっている。
 と、なると他のヒロインや主人公にも同じ側面があるのは想像に難くない。
 他のキャラクターたちや主人公も魅力的なので、どんな秘密があるのかが気になります。

 オススメの作品なので、ぜひ読んでみてください。

『男嫌いな美人姉妹を名前を告げずに助けたら一体どうなる?』1巻と2巻について

 今回紹介する作品は、『男嫌いな美人姉妹を名前を告げずに助けたら一体どうなる?』の1巻と2巻です。

男嫌いな美人姉妹を名前も告げずに助けたら一体どうなる? (角川スニーカー文庫)

男嫌いな美人姉妹を名前も告げずに助けたら一体どうなる?  ライトノベル 1-2巻セット

 


**美人姉妹から溺愛

 美〇女文庫かってくらいエロい展開のあるラブコメです。主人公の堂本隼人は、ハロウィンの日に、強盗に襲われた隣家の新条姉妹とその母を助ける。

 その時にカボチャの被り物をしていた堂本は、名前も名乗らずに去っていった。

 その後、妹の藍那と姉の亜利沙に正体がバレ、交流を深めていく。

 

 美人姉妹と主人公の交流は、パンパンに膨らんだ風船がさらに空気が入れられていくのを眺めているかのよう。

 主人公の視点からは美人姉妹とのドギマギとした触れ合い。美人姉妹の視点からは腹を空かせた熊の巣に蜂蜜が塗られた鹿がやってきたかのよう。主人公に対する恋の熱量がすごい。

 挿絵を担当するぎうにうさんの肉感のある絵の雰囲気も相まってかなりエロい。

 

 1巻は、どういう話かまだわかってなかったので、次の瞬間には主人公が押し倒されているんじゃないか、というスリルがありました。

 

**交差する心理描写による盛り上がり

 ちゃんとエッチなラブコメをやりながら、心理描写を密に描くことができてるとこがすごいです。

 主人公の視点があって、姉妹たちの視点がある。それぞれの心理が熱量を持ちだして、交わった瞬間にカタルシスがある。

 描かれているのは3人の日常であり、その積み重ねによる収束は予想の範疇なんですが、過程の熱量が私をワクワクさせました。

 

 近々、みょんさんの別の作品も読みます。

 また、続きや新作も楽しみに待っています。

『好きな子に告ったら、双子の妹がオマケでついてきた』

 今回紹介する作品は、『好きな子に告ったら、双子の妹がオマケでついてきた』です。

 

好きな子に告ったら、双子の妹がオマケでついてきた(ブレイブ文庫)1【電子版特典SS付き】

 

 タイトル通り、双子とのラブコメです。

 主人公は告白した好きな子から、私の妹とも付き合ってほしいと言われ、2人と同時に付き合います。

 すごいのは最後から最後まで予想よりも双子要素が強いことなんですよ。

 読み終えた気分は次郎に来て、軽い気持ちでニンニクヤサイマシマシと唱えたら予想以上の量が出た気分です。

 序盤から高級マンションで双子を侍らす主人公。俺がまわりが羨むような状況になったのは、と回想シーン。告白したら相手は双子だった。

 そこから、双子との同棲、イチャラブと進んでいくスムーズな展開は王道をしっかりやっててよかった。タイトルで期待してたものが出たぞとワクワクして読み進めました。

 ライトノベルでありながら、エッチな場面が多かったのも期待以上でした。

 で、ありながら後半の急展開には驚きました。物語に隠されていた新事実の提示、ストーリーに緊張感がもたらされたのはワクワクしました。それでいて急展開に冷や水を浴びせられたような気分にはならなかった。

 それは後半の展開に双子という要素がかなり深く絡まったもので、タイトルと表紙で期待した方向性のまま突き進んでくれたからですね。

 だからこそ、問題と向き合う主人公に深みが増しつつ、展開は序盤のエロ展開を後半もやってくれてたのが良かったです。

 ヒロインの双子姉妹以外にも魅力的なキャラクターの存在が匂わされており、2巻が楽しみです。

 

 

 

 

『歴史に残る悪女になるぞ』4巻について

 今回紹介する作品は『歴史に残る悪女になるぞ』の4巻です。

 

歴史に残る悪女になるぞ 4 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!【電子特典付き】 (ビーズログ文庫)

 乙女ゲームの悪役令嬢転生ものの4巻。

 とても面白い。幼い時に前世の記憶を取り戻した主人公が悪役令嬢の運命を覆すどころか、むしろ悪女として歴史に名を残そうとする話。

 チート要素のある作品で、幼い頃からさまざまな経験を積んで周りを驚かせる描写が読んでいて心地いい。

 話が進むにつれて、ヒロインが世界の中心になっていくような感じがあり、どうなっていくんだろうと続きを気にならせます。

 4巻では、本来の乙女ゲームのメインヒロインの無自覚な魅力魔法によって国外追放されてしまった主人公。

 主人公が追放先の国の闘技場で活躍し、王子の騎士となっている。国には二人の王子がいて、玉座を狙っている。

 その王子たちの問題を部下として解決していき、関係を深めている。主人公を国外追放した国では、主人公がいなくても自分たちができることをしようと仲間たちが頑張っている。

 主人公がチートで問題を解決していくところには王道な爽快感があります。また、主人公は人誑しなところがあるので、それによって周囲が変わっていくところは読んでいて気分がいい。

 乙女ゲームのメインヒロインの子が魅力魔法を使っていることが、4巻ではかなりフォーカスが当たっていて、そこが主人公の人格的な魅力を映えさせています。

 悪役をやりたがるヒロインという、珍しいキャラクター性を持ったキャラのやってきたことが周囲に残してきた影響がわかる巻でした。

 国外追放されて主人公がいない学園で彼らはなにをしているかみたいな話が今回は多いです。

 だから、ヒロイン以外のキャラの心理的な深掘りがされていて魅力が上がった気がします。いなくなった空白が明確なので、戻ってきたらどうなるんだろう、とワクワクさせられます。

 

 5巻が今から楽しみです。

 

 

 

 

『悪役令嬢ですが、私をあなたの性奴隷にしてください! (美少女文庫)』について

 今回紹介する作品は、『悪役令嬢ですが、私をあなたの性奴隷にしてください! 』です。

悪役令嬢ですが、私をあなたの性奴隷にしてください! (美少女文庫)

 

 面白かったです。

 乙女ゲームの世界に転生した主人公。名前はカイト。カイトは悪役令嬢の従者として産まれる。

 現世で悪役令嬢であるクリスティーナのファンだったカイト。転生してから、彼女の従者となって悪役令嬢にならないように裏でサポートをする。しかし、悪役令嬢ルートにいってしまい、クリスティーナは国外追放に、もちろんカイトもついていく。

 

国外の宿、クリスティーナに告白されるカイト。しかし、内容はクリスティーナをカイトの奴隷にしてほしいというものだった。

 

お嬢様はドMだった、という展開はよくあるものだが、使い手によって王道は覇道にもなりうる。

 

国外追放という主人公以外によるべのない身の上での告白。だれにも邪魔されない道中だからこそできるプレイはストーリーが進むごとに過激さを極めます。

 

国外追放という、悪役令嬢ものの典型的なイベントが、意中のものとの蜜月のひとときに変わる。ラストには今までのプレイに、逆転の一手が隠され、思わぬ形で一本の線につながる点も面白かった。

 

 

 

『タイツの黒髪同級生・阿津木ダイヤがそのおみ足でグイグイ迫ってくる (美少女文庫)』について

 今回紹介する作品は、『タイツの黒髪同級生・阿津木ダイヤがそのおみ足でグイグイ迫ってくる (美少女文庫)』です。

 

タイツの黒髪同級生・阿津木ダイヤがそのおみ足でグイグイ迫ってくる (美少女文庫)


着衣と裸、どちらがエロいかで男友達と盛り上がる主人公。裸の方がエロいと力説する主人公をヒロインは呼び出した。

なぜ自分だけ呼び出されたのかわからないままついてくると、ヒロインからタイツが好きであることを告白される。

流れでタイツ派と裸派で口論する二人。

ヒロインは一週間かけて主人公をタイツ派にする勝負を持ちかける。

 

読んでてタイツに詳しくなった気がします。

タイツを使ってのプレイを月曜から日曜までの一週間かけて行う。

ヒロインのタイツに対する知識の深さもさることながら、タイツがどうエロいのかの言語化が凄まじかった。

ストーリーも、期限を設けて競い合ううちにお互いのことを好きになるというもので、タイツが絡まなければ王道の恋愛ドラマだ。

相手をタイツ好きにしたいのに、タイツに関わらずに主人公自体を好きになりつつあるヒロインの葛藤は読んでて面白い。

その上で、タイツによって秘めた恋心の出力手段がおかしなことになってるとこがどう転ぶかわからないハラハラ感のある話になっていた。

最終的に全身タイツで主人公にローション奉仕をするまでに至ったところは、これはエロいのか? と困惑したが、そこを含めて面白かった。 

 

 

 

 

『小説が書けないアイツに書かせる方法』について

今回紹介する作品は、『小説が書けないアイツに書かせる方法』です。

 

小説が書けないアイツに書かせる方法 (電撃文庫)

 

インポテンツの主人公が、自身の体験をもとにした官能小説を書いて新人賞を受賞。

しかし、彼は次の作品を書けないでいた。

そんななか、現れたヒロインに私の考えたストーリーで小説を書いてほしい、書かないと周囲にあなたが官能小説の作者であることをバラすと脅迫される。

 

面白かったです。

タイトルと表紙で殺伐とした作品かと思って読みました。意外とヒロインと主人公のやりとりはコミカルです。冒頭で姉と弟の情事が描かれていたため、主人公に家族関係の凄惨な過去があるのかと思いきや、姉と妹は頭がおかしいだけでほのぼのとさせられる日常シーンが多かったのが印象的だ。

 

主人公の姉と妹がかわいいので、この二人の活躍が読みたくなりました。これからの続巻に期待したいです。

 

メインヒロインもかわいい。ヒロインが大学生で、主人公が高校生。歳の差がいいですね。ヒロインがモデル体型なとこも主人公との背の高さの違いがありそうでよかったです。

 

だからこその、関係の逆転にはトキメキを覚えざるおえない。

 

大人っぽいヒロインの妙にザコいところがよいです。お互いが何かしらの傷を抱えていて、それを舐め合うのではなく弄り合うような関係性はこの2人だからこその関係性な気がします。

 

二人の執筆ネタも、単純に共感を求めるあるあるネタに留まってなかったのがよかったです。作者の考えてることをキャラに喋らせてる感じがなかったです。二人のそれぞれの考えって感じがしてよかったです。

 

恋愛要素がよかった。終盤の主人公とヒロインの焦ってぇぇなっ!て言いたくなるようなやりとりが良かったです。二人とも根がコミュ障だからですかね。通じてる部分があるんだけど踏み込めてないかんじがよかったです。そこがあるから関係が進んだ時に気持ちが盛り上がりました。

 

キスしたことがないからわからないって、ヒロインが言い出した時。「言うと思った!」って思いながら読んでたんですけど。二人ともしないって結論が出て、ラップ取り出したあたりで、「あ〜あ、はいはいそういうことね」て思いながら読んでたんですけどね。

ギャグを読む体勢で読んでたらガチな感じになったんで油断したとこにボディーブローが来ました。いい感じに手のひらの上で転がされたな〜と思いました。

 

挿絵もよかったです。

効果的な場面でタイミングよく主人公の表情がわかる絵が出た時が心をグワっと掴まれた感じがしてよかったです。

 

面白かったです。続きが読みたいです。

 

 

 

『となりの悪の大幹部!』について

 今回紹介する作品は、『となりの悪の大幹部!』です。

となりの悪の大幹部! (電撃文庫)

 

 面白かったです。

 

 本作は次のような話です。

 主人公の草間ミドリは世界史を担当する教師。フィギュアを集めるのが好き。しかし、それは仮の姿。

 彼は戦隊組織、バンショクジャーのバンショクグリーンだった。

 悪の秘密組織、クリアードとの決戦を終えた彼の隣室に褐色の未亡人、アシェラーがやってくる。

 ミドリは彼女が以前の決戦で倒したはずの大幹部アイルシェラッドに酷似していることに驚く。

 人間として普通に生活している彼女との交流に戸惑うミドリ。そんななか、次第にミドリとアシェラーは深い仲に発展していく。

 そんな日常の裏で、バンショクジャーは新たな敵組織との戦いをはじめる。

 

 

 タイトルと表紙で特撮要素のあるほのぼの日常系かな、と思って読みはじめました。その予想を超え、特撮系のバトル要素がしっかりいれた上で、ヒロインとの恋愛要素、日常要素もしっかり調和されている作品であったので、驚きつつも引き込まれました。

 

 世界観がよかったです。この作品世界の成り立ちに悪の組織と思われたクリアードが深く関わっていて、単純な勧善懲悪にできない、という点が、どう話をまとめるのか、とページをめくる手を早めさせました。

 

 ヒロインと主人公の恋愛関係も良い。お互い大人だからか。結婚した後が想像できそうなやりとりがとても見ていたくなる関係性でした。この関係が続けばいいのに、と思うほど敵対関係であった過去と不明瞭な未来が不安を煽っていたのがよかったです。

 

 新たな敵組織の秘密が明らかになっていくにつれ、戦いに緊張感が走り、その余波が日常を侵食していく雰囲気も良かったです。そこがラストの展開でいろんなのが合流してきた感じにカタルシスがありました。

 

 終盤にかけて激化していくバトル描写もよかったです。ピンチな場面でも悲壮感がなく、アクションがカッコいいという印象で読めました。キャラクターの心理がポジティブに向いているので、キャラに感情移入しすぎてつらい気持ちで読まなきゃいけないとこがなかった。

 

 本作にはなんとかしなきゃいけない問題がはっきりと明示されるのですが、主人公が前のめりに問題に向き合っているのがよかった。

 

 最終曲面で一つに向かってみんなで進んでいくとこがよかったです。

 

 面白い作品でした。続巻が早く読みたいです。

 

 

 

『聖女さま? いいえ、通りすがりの魔物使いです!』3巻について

今回紹介する作品は、『聖女さま? いいえ、通りすがりの魔物使いです!』の3巻です。

 

聖女さま? いいえ、通りすがりの魔物使いです! 3 ~絶対無敵の聖女はモフモフと旅をする~ (カドカワBOOKS)

 剣術も魔法もなんでもできる才色兼備な主人公がなった職業は魔物使いだった。前世でモフモフした動物と触れ合いたいという無念を果たせずに亡くなった彼女は、今世では魔物使いとしてモフモフと囲まれることを目指す。

 

 待望の第3巻。

 序盤で驚きました。この世界の女神と神を名乗る者たちの会議によって明らかになったこの世界の真実。

 1巻、2巻の平穏系チートで描かれた敵との対立。強力な魔物を仲間にしていく過程が、神々に対する明確な対立行動になっていた。

 初っ端から、これはどうなるんだろう、と気持ちが盛り上がりました。

 

 今まで、魔王、フェンリルを仲間にし、モフモフにした主人公。3巻で仲間になるのは吸血鬼。かわいい女の子です。ここにきて、絵がかしましくなりましたね。ふだん、モフモフ以外の姿を許さないヒロインでしたが、3巻は度々人間の姿になる場面が多かったです。

 

 吸血鬼はこの世界を牛耳る神聖教会で独立して動く騎士団に命を狙われていた。主人公は仲間となった吸血鬼を守るために騎士団から逃げていく。

 

 彼らから見つからない場所を探した結果、たどり着いたのは自分の故郷。一巻で出てきた弟含め、父親と母親も本作で初登場。

 予想はしていたが、娘が最強なら親も弟も最強だった。

 吸血鬼を狙って襲いくる騎士団を蹴散らす主人公たちにはカタルシスを感じた。

 

 本作では登場してすぐマスコット化した都合、あまり掘り下げが薄かった魔王、フェンリルの人間体でのキャラクター性がわかる場面が多かったのがよかった。

 

 ラストの4巻に向けた引きも続きを気にならせる。新たな敵はどんな人物なんだろうか。次の巻ではどんな魔物がモフモフになるのか。興味がつきない。

 

 巻末の短編も面白かった。

 ギルドの職員さんのキャラが立っていて面白い。主人公のコミカルな言動がよかった。

 主人公が冒険者として活動するはなしのため、主人公自体の魅力が伝わる話だった。

 

 続巻も今から楽しみだ。

 

 

 

『恋愛初心者センセイと学ぶ初恋の叶え方』について

 今回紹介する作品は、『恋愛初心者センセイと学ぶ初恋の叶え方』です。

面白い。
序盤、教師の綾乃が生徒の前田と関係を持った。そのことを校長に問い詰められる。
緊張感のあるシーンから回想する形ではじまります。
教師を辞めさせられるかもしれない場面。危機的な未来の一コマを見せてからはじめることで、この恋はどうなるのだろう、とハラハラさせられます。

教師と生徒の恋愛が丁寧に描かれている。授業風景で一目惚れをする。告白をしたら、付き合う条件が次のテストで高得点をとること。そのために親友に勉強を教えてもらう。夜通し一人で勉強して当日のテストで高得点。ご褒美として、綾乃とデートすることに。

このへんの流れの一つ一つの描写が細かい。最初の性交までに段階を踏んで描かれている。

その上で、一回の性交シーンはねっとりと描かれているので、ボリューム感があった。

恋人どおしの関係性の構築が丁寧に描かれている。だからこそ、突然の破綻による緊迫感がある。

起きてしまった問題が周囲と主人公たちの努力によって解決されていく流れにはカタルシスがありました。

とても満足感のある一冊でした。

『妹よりママが好きなの!?』について

 今回紹介する作品は『妹よりママが好きなの⁉︎』です。

妹よりママが好きなの!? (美少女文庫)

 この作品は次のような話だ。
 幼くして両親をなくした二人の兄妹。彼らを引き取った高校生の美咲。
 数年後、兄と妹は高校生になる。
 兄は母親である美咲に欲情するようになる。
 母を想って一人、慰めているところを妹に見られてしまう。妹は兄をからかい、自慰を手伝い、自らの身体を兄に捧げる。
 妹の心愛は兄に対して恋心を秘めていたのだ。
 美咲は二人の歪んだ関係に気づけず、兄と妹は恋人どうしなのかと勘違いしていた。
 二人の関係を祝福しようとする美咲。そんな彼女に対し、兄は秘めた想いを告白する。

 美咲と主人公の恋愛を描くかと思いきや、妹の心愛も絡めた三角関数だった。
 美少女文庫という特性上最終的に3人仲良くするわけだが、どういう形に落ち着くのかとハラハラさせられる場面が多かった。
 
 家族としての日常を丁寧に描き、主人公の性の目覚めを辿りながらも、性行為の描写はねっとりと濃く描かれている。
 そこがある種の背徳感を煽っている。

 オススメの作品です。

『時々、守護(まも)らなければいけない軍事国家のお姫様転校生サーシャさん』について

 今回紹介する作品は、『時々、守護(まも)らなければいけない軍事国家のお姫様転校生サーシャさん』です。

時々、守護(まも)らなければいけない軍事国家のお姫様転校生サーシャさん (美少女文庫)

 本作は次のような話だ。
 ヒロインのサーシャは、軍事国家のお姫様。
 主人公のマモルの父は海外を股にかけてボディーガードをしている。
 父と離れ、日本で一人暮らしをしていたマモルのもとにサーシャがやってくる。
 サーシャの国でクーデターが起きたため、彼女はボディーガードの息子であるマモルを頼って逃げてきた。
 そこから二人の同棲生活が始まる。
 異国でひとりぼっちとなったサーシャは、マモルと身体を重ね、恋仲になっていく。

 恋愛要素がしっかり描かれている。
 強そうな見た目のサーシャがみせる弱い面のギャップがいい。主人公だけがたよりのシチュエーションで精神的な弱さを見せているところに庇護欲がそそられる。

 お姫様と従者の関係も、主人公側の優越感よりも身分違いの恋という要素が強い。クーデターの期間中匿うというシチュエーションは、いつ事態が急変するのかわからないというハラハラ感があった。

 性行為を通して、ヒロインとの関係が変わっていくという感じがすごいい。ゆきずりの関係というのがとても官能的だ。

 いつ終わるのかわからない。だからそれまでの間、恋人らしいことがしたい。二人が駆け足で進めていく恋愛はとてもロマンチックだ。

 現代でこういった国があり、そこから逃げてきたお姫様と一般男性が恋に落ちたらどうなるのか。という世界観の構築も丁寧だった。
 読んでて、この作品はフィクションだもんな、と思うような魔法が解ける瞬間が最後までなかった。

 そのため、いつ爆発するかわからない爆弾のようなハラハラを味わいつつ、二人のおぼつかない恋人どうしの恋愛。終盤の激化する事態に合わせるようにハードになっていくプレイに興奮した。

『宝クジで当たった十億円を困っていたオジサンにあげたら金髪清楚なお嬢様が婚約者になりました。』について

今回紹介する作品は、『宝クジで当たった十億円を困っていたオジサンにあげたら金髪清楚なお嬢様が婚約者になりました。』です。

宝クジで当たった十億円を困っていたオジサンにあげたら金髪清楚なお嬢様が婚約者になりました。 (美少女文庫)

主人公のことが大好きなお嬢様が婚約者に

 本作は次のような話だ。
 平凡な一般家庭で生まれた男子高校生が宝くじを当てる。彼は公園で知り合った素性が確かでない男性が会社を運営する資金に困っていることを知り、貸してしまう。
 それから数ヶ月後。お金を貸した男性がお礼を言いに主人公のもとを訪れる。主人公が貸してくれたお金で会社は盛り返し、新製品を開発できたことで急成長していた。
 そのことを感謝していた彼は、主人公を自分の会社の後継者に任命し、自分の娘を貸した10億円の利子として、主人公に嫁入りさせる。
 主人公に恩義を感じているヒロインも、好意を持って接する。
 最初から好感度マックスな金髪清楚なお嬢様とのイチャラブな日々がはじまる。

ヒロインとの同棲生活

 本作のはなしの中心は突如はじまった美少女との同棲生活だ。
 主人公と同じ学校に通うことになった彼女は、氷の美少女の仮面を剥がしてクラスのみんなと仲良くなれるのか、という引きもあるが、中心となるのは主人公との同棲生活となる。
 最初から好感度がマックスな彼女は、主人公に対してさまざまな奉仕を行う。
 突然、押しかけた美少女ものだと、なぜ彼女が僕のことを⁉︎という葛藤が入りがちなんですが、この作品は10億円で手に入れたから、という理由づけがあるので、罪悪感がなく読める。
 エッチの導入も、同棲生活のなかでの延長線上という形も棚ぼた感があってよかったです。
 

イチャラブな毎日

 プレイとしてはそこまで特殊ではありません。主人公側がセックスの超能力に目覚めたり、特殊なサド性を出さず。
 最後まで初々しい童貞みたいなつたなさがわかる描写だったのがよかったです。
 そこが無条件に奉仕してくれるヒロインのかわいさを引き立てていました。

 いい作品でした。ぜひ下のAmazonリンクから買ってみてください。

『衛くんと愛が重たい少女たち』について

 今回紹介する作品は『衛くんと愛が重たい少女たち』です。

 

衛くんと愛が重たい少女たち (ガガガ文庫)

 タイトル通り、愛が重い少女たちの頂上決戦。表紙の左の童顔の男の子をめぐる女性たちの心理戦が読んでて心地いい作品だ。

 序盤、読んでいて驚いた。主人公は姉に歪んだ愛を向けられた弟。彼女に矯正された形で女装させられ、SNSに自撮りを投稿させられる。

 ネグレクトの形として、SNSを使わされる作品は初めて見たので、ウッ……となった。主人公の気持ちを考えたら息がつまるような感覚を抱いた。

 それが彼の家での日常だった。家から学校の場面に移る。

 彼は幼馴染に恋心を抱いている。しかし、その幼馴染は別の人と恋人になっている。

 いろんな日常的なやりとりの後、放課後に彼氏と幼馴染がキスしているところを目撃する。

 姉からのネグレクト、幼馴染への失恋のショックから立ち直るため、自殺するフリをする主人公。そんな彼が本当に自殺しているのでは、と止めたのはアイドルを辞めて田舎から帰ってきた従姉妹の京子だった。

 こっから、視点が京子に切り替わる。

 主人公を振り向かせたくて、アイドルになった京子。幼い頃から、主人公のことが好きだったが、振り向かない彼に対して一方的な恨みを抱いていた。

 そして、その恨みは自分に惚れさせた上で振ることで復讐を果たそうとしていた。

 序盤の主人公の鬱鬱とした心理描写を読んだ身としては、中盤の京子のネジの飛んだ心理描写に心が救われた。

 主人公の周囲にめんどくさい女が2人もいて、散々ヘイトを稼いでいたため、京子のめんどくささが萌えキャラとして可愛く読めた。

 京子は自殺しようとする衛くんをみつける。

 彼の自殺を止め、話しているうちに気持ちが盛り上がり、彼に告白する京子。

 友人には復讐のために主人公を振ってやるんだと言っていたのに。実際に会ってしまったらその日のうちに付き合ってしまう。

 衛くん視点でのシリアスな描写と京子ちゃんのコミカルさのギャップがとてもよかった。

 また、今回はヒール役としての立ち回りが目立った幼馴染と姉の今後も気になる。

 彼女たちが衛くんに与えている問題。あるいは彼女たち自身が抱えている問題は、どう解決すればよいのか、と思わせるものばかりで、この点がとても続きを気にならせた。

 続刊も引き続き読みたい。

 

 

 

 

『学生結婚した相手は不器用カワイイ遊牧民の姫でした』について

今回紹介する作品は、『学生結婚した相手は不器用カワイイ遊牧民の姫でした』です。

 

学生結婚した相手は不器用カワイイ遊牧民族の姫でした (オーバーラップ文庫)


**ラブコメでオカルトで異能バトルにした冥婚⁉︎

 現段階で、本作の続きがかなり気になっている。タイトルと表紙からは予想がつかなかったが、本作にはどのジャンルにも横断できる幅の広さがある。

 タイトルを読んで、ラブコメかと思いきや、序盤からかなり斬新なファンタジー要素がある。

 交通事故に巻き込まれた主人公は臨死体験をしており、一緒に死んだ遊牧民の女性と冥界で結婚式を挙げるのだ。

 ヒロインの国ではそういう文化があるらしい。どうせ死んだのだから、と軽い気持ちで結婚式を承諾する主人公。

 しかし、結婚式の最中に2人の意識は回復し、蘇ることになる。これにより、魂だけは冥界での婚姻契約に縛られることになる。

 これにより、2人は100メートル以上離れると片方の魂が引っ張られて抜ける体質になってしまった。

 2人は蘇った後も夫婦として一緒に暮らすことになる。遊牧民族の姫であるヒロインも、主人公の家に住み、同じ学校に通うことになる。

 冥界での結婚という設定がラブコメ展開になると思っていた私の意表をつく形となっていることにより、本作はどうなるのかわからないという困惑を抱えたまま途中までページをめくった。しかし、序盤の急展開とは裏腹にかなり真っ直ぐ恋愛が描かれている。


**爽やか2人の関係

 本作は右葉局説があるにせよ、ストーリーの型としては、一見正反対と思われる2人がある外的な要因から半強制的に恋愛関係になってしまう話だ。

 こういう話って、意外性をだすために2人がどれだけ合わないのかみたいな話をやるために、序盤にひりついた場面が出がちになる。しかし、本作では、2人ともそこまで毒がなく文化の違いだけを差し引けば比較的に普通の人って感じがするところがよかったです。

 ヒロインの遊牧民族設定はかなり詳細に詰めてあり、読んでいくうちにその国で育った女の子なんだなってすごい思いました。

 主人公も、妹思いのいい人だって感じが最初から出ていた。

 そういった2人が夫婦として、お互いのことを知って尊重していく流れがとても良かった。


**これからどうなるかがまだわからない一巻

 本作は一冊の作品として面白くまとまっている。冥婚という特殊な状況に置かれた2人のドタバタは読んでて楽しかった。終盤に明かされた交通事故に隠された民族間の争い、ヒロインが誘拐される急展開にはハラハラしたし、そこに冥婚のギミックを使って立ち向かっていく流れはとても良かった。

 いい意味で、どんなジャンルの話かわからない作品だった。だからこそ、知りたくなった。続きが読みたくなった。

 2巻以降が、ファンタジーになるのか、恋愛になるのか、異能バトルになるのか。今後の展開がとても気になる作品だ。