そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『スコップ無双2』について

さて、今回紹介する作品はこちら、『スコップ無双2』です。


スコップ無双2 「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ (MF文庫J)
著者:つちせ八十八
イラストレーター:憂姫はぐれ
レーベル:MF文庫J
発売日: 2019/5/25
出版社: KADOKAWA/メディアファクトリー
ASIN: B07QZC8DKW

あらすじ
砂漠のドラゴンをスコップ波動砲で撃墜したアラン達は水の巫女改めすこ巫女・ユリアの温泉スコップ(えろい)を満喫しつつ、オーブ探索の旅を続けていた。
次に訪れた氷の国では古代の賢者・リーズフェルトの記憶を鉱夫禁忌教典で掘り起こし、敵を鉱夫隕石招来で一撃粉砕。オーブも楽勝入手。
とてつもないスコップ無双で旅は順調そのものだがリティシア姫はふと不安を覚える。
オーブが集まれば旅は終わり、鉱夫様ともお別れ。
それでもお傍にいたい姫は、なぜか世界征服の決意を固めてしまう。
「私は人を超えます――すこぷりんせすですこっぷ!」
震えよ人類、これが究極のヒロインだ。

オーブを集めるロードムービー

スコップ無双はストーリーラインとしては、いわゆるドラゴンボールの形式を取っている。
旅の目的として、ゴールを読者にわかるようにしたほうが達成感があってですね。オーブという目に見える物質にすることで一つずつ集めていくことでゴールに近づいていることが可視化されているんです。
今回は旅が始まったばかりによくある、主人公はどういうやつか、主人公の旅の同行者たちの決断により、今後の旅の期待感が高まるという構成になっている。

旅の中でのそれぞれの決意

一巻からずっと続くスコップ無双。
能力としては、掘る、埋めるの概念が通じるものにはすべて干渉することができるジョジョじみた能力であることがわかってきましたね。
そんな中、主人公の旅の同行者たちも、それぞれの旅の目的を決意します。
この辺が面白いんですね。今回はお姫さまがクローズアップされましたが、じつはカティアやアリスなども旅での目的が読者に明らかになるように描写されています。
ギャグにしながらもキャラクター一人一人の心理の変化が丁寧に描かれていますから。彼女たちを応援したいと思わせてくれるとこがいいです。

姫はどうなるのか

今回、スゴイのはお姫さまのリティシアですね。一巻の時から、精神的に追いつめられた状態から主人公のアランから助けられる。
白馬の王子さま効果で、彼に心酔するのはわかっていたんですが。その好意が尊敬に変わり、徐々に狂気に陥っているさまはギャグでありながらホラーですね。
この作品、コメディなのにキャラの心理の変化が上手いので先がすごい気になります。

では、次巻も楽しみにしてます。

スコップ無双 「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ (MF文庫J)

スコップ無双 「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ (MF文庫J)

スコップ無双2 「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ (MF文庫J)

スコップ無双2 「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ (MF文庫J)

Vtuberが小説を出版!?『仮想美少女シンギュラリティ』について

 さて、今回紹介する作品はこちら、『仮想美少女シンギュラリティ』です。


仮想美少女シンギュラリティ (VTuber文庫)

著者:バーチャル美少女ねむ
イラストレーター:ホタテユウキ
レーベル:Vtuber文庫
発売日: 2019/4/29
ASIN: B07RB3XV55

あらすじ
脳と機械を繋ぐ「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)」研究者の「私」は、実験中に意識を失っている間に、自分がバーチャルYouTuberとしてアイドルデビューしたことに気づく。YouTubeに残されていたのは謎の仮想美少女「ねむ」が「お前は誰だ」と自問自答する奇妙な動画だった…
ねむの目的は何なのか? 人類はついに現実の肉体のくびきから開放され、新人類へと進化するのか? 進化を目前とした人類の葛藤と恐怖を鮮やかに描く黙示録。

バーチャル美少女ねむとは

 Vtuberによって出版された本というのは、企業勢ではピノ様がいますが。個人勢ではたぶん初。さらに、自身がVtuberであることを前面に押し出したうえでの小説の出版は初です。
 まず、バーチャル美少女ねむさんについて紹介します。
 バーチャル美少女ねむ、2017年9月から活動を開始。2016年から活動していたキズナアイがようやく僕を含めたYoutubeよりニコニコ動画を利用する一般のネットユーザーからも認知されるようになったころ。
 Vtuberってどんな子がいるんだろう、と思う人が多くてですね。そういった人たちのために、ニコニコ動画であげられた『バーチャルユーチューバー欲張りセット』をきっかけに、その存在が認知されるようになりました。

 自己紹介動画として、紹介されたその動画はとても奇妙なものでした。

 雷鳴の響く館をバックにして「お前は誰だ、お前は誰だ」とつぶやきながら、「私の名前はねむ……私はすべてを××する……」と言って動画が終わる。

 可愛い女の子が、自分がどういった子であるのかを語るのが多い中で、この意味深な自己紹介動画は異質なものとして扱われ、周囲から「お前こそ誰だ」「Vtuber界のラスボス」と呼ばれるようになります。

 そこから、再度、自己紹介動画を挙げるも、仮想通貨の投資家としての姿や、すべての人類をバーチャルの世界に引きずり込んで美少女に変える、人類美少女計画という野望はリスナーから奇天烈な印象を与えました。

 この人類美少女計画、いろいろな動画を見たうえで僕の解釈を話すと、文字通り全人類を美少女に変えるための計画。
 ブロックチェーンやAIによるシンギュラリティ、将来、技術革新が起きることを確信しているねむちゃんは、バーチャル空間では、人々がそれぞれが美少女のアイコンをかぶって生きていくことができる可能性に、人種差別、わずらわしい現実社会を変えられる希望を見出している。んで、その可能性を人々に喧伝するために、彼女はデビュー当初、かなりスペックの低いPCでカクつきながらもFACE RIGの美少女絵からデビューすることで、バーチャル美少女が、一部の企業や能力のある人だけでなく、一般の人でもできるのだという可能性の幅を広げることに挑戦していました。

 さらに、さきほど言ったようなシンギュラリティやブロックチェーン、仮想通貨の解説もすることで、自身の考える未来の提示もしました。
 また、こうしたVtuberの姿で知識を語るというスタイルは、まだ当時は主流になっていなかったので、そういう解説系のVtuberができるまでの源流にあたるVtuberno一人。
 他にも、現在DWUがやっているような人前には出れない特殊な身の上との対談をバーチャル美少女のガワを用意することで実現するという対談も初期の段階からやっており、当時マスコミ関係者もインタビューできなかったホワイトハッカーみなりんとも対談している。

 本作はそんな彼女が書いたSF小説です。

Vtuberデビューした彼女の自伝とフィクションの中間

 本作の魅力は、主人公が作者であるバーチャル美少女ねむ自身であるというもの。
 脳について研究している研究者の「私」がある日、意識を失い、その間にバーチャルユーチューバーとしてデビューしていたことに気づく。
 主人公の中に眠っている「ねむ」の目的はなんなのか、というのが本作の謎となります。
 面白いのが、Vtuberとしての彼女の今まで出した動画の話が作中に出てきましてね。
 バーチャル美少女ねむちゃんはどういう子でどんな動画がオススメかってのがこの本を読めばわかるんですね。
 僕自身、時々追ってましたから、懐かしいな~と思いながら読みました。

VR空間、オルタナの世界観

 本作の最大の謎に迫る中盤、そこでオルタナというVR CHATみたいなとこに潜るんだけどさ。
 そこのVR空間の表現がかなり上手かったですね。VRCHATはVRではやってないけど、PCで時々やってるんですよ。
 その時のはじめてその世界にやってきたときの感覚がそのまま小説になっているん感じがしてリアルでよかったです。
 作者のバーチャルにはまっていくまでの過程を追体験しているかのような感覚が読んでいてありました。

 では、次の作品も追って報告いたします。

 下に作中に話に出たねむちゃんのオススメ動画、チャンネル画面、本作のアマゾンリンクを張っておきます。
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com
www.youtube.com


仮想美少女シンギュラリティ (VTuber文庫)

仮想美少女シンギュラリティ (VTuber文庫)

『七つの魔剣が支配する』1巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『七つの魔剣が支配する』です。


七つの魔剣が支配する (電撃文庫)
著者:宇野朴人
イラストレーター:ミユキルリア
レーベル:電撃文庫
発売日: 2018/10/7
出版社: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
ASIN: B07GZCDZ45

あらすじ
春――。名門キンバリー魔法学校に、今年も新入生がやってくる。黒いローブを身に纏い、腰に白杖と杖剣を一振りずつ。胸には誇りと使命を秘めて。魔法使いの卵たちを迎えるのは、満開の桜と魔法生物のパレード。喧噪の中、周囲の新入生たちと交誼を結ぶオリバーは、一人の少女に目を留める。腰に日本刀を提げたサムライ少女、ナナオ。二人の魔剣を巡る物語が、今始まる──。

世界観とキャラクターの見せ方

まず、世界観とキャラクターの見せ方が上手いですね。本作の舞台はキンバリーという魔法学園。ハリーポッターのホグワーツを彷彿とさせるような雰囲気です。
そんななか、入学式で出会う五人の新入生の何気ない会話から物語がはじまる。話の内容は、入学式のパレードでトロールが行進しててさ。そうしたトロールを動物園の象みたいに扱うのはどうなのか、亜人にも人権があるのではって話でさ。
そこでわかりやすい対立軸として田舎でトロールに困らされていたガイと、トロールと心を通わせていたカティのそれぞれの経験からくるトロール観がぶつかります。
そこから、パレードである事件が起きて、ナナオというサムライの姿をした女の子がって流れがあってさ。
この辺の第1章で、6人がどんな子なのかってのが読者に印象づけられる。しかも、自己紹介はパレードの後に行っているからさ。名前より先にキャラを印象づけさせているから、感情移入しやすくなっている。
さらに、この会話で、今回の話の中心は亜人種の差別で、カティをメインにした話ですよってのがわかるんですね。

七つの魔剣

1巻では驚愕のラストで驚かされましたね。
本作でのタイトルが、七つの魔剣でしたので。最初にパレードに集まった6人とプラスアルファがなにかをする話ではないか。ではそのプラスアルファは誰だろうって思いながらついつい読んじゃうんですよね。
特に最初の印象がハリーポッターでしたから。勧善懲悪的な世界観かと思ってしまった。
だからこそ、ラストに驚きました。
なるほど、そういう話だったのかと感心しましたね。

W主人公

全体としては、オリバーとナナオのW主人公の作品なんですね。君の名は、とか、デスノートとか。男性と女性、洋風と和風。一見、正反対な二人。
しかし、物語が進むにつれて立場の正反対さはあっても、境遇や内面に似通ったものがある。だからこそ、この二人が今後、なんらかの関係性を築いてしまうんだろうなと思いました。

では、2巻もすぐ読みます。

七つの魔剣が支配するII (電撃文庫)

七つの魔剣が支配するII (電撃文庫)

七つの魔剣が支配する (電撃文庫)

七つの魔剣が支配する (電撃文庫)


『食べないお嬢と魔術学園の料理番』について

さて、今回紹介する作品はこちら、『食べないお嬢と魔術学園の料理番』です。
食べないお嬢と魔術学園の料理番 (ファンタジア文庫)

魔術学園にやってきた学食の料理番をやる主人公。学食は生徒から大人気となるが、ヒロインの生徒会長からは反対され、学食を廃止すべく、主人公に決闘を申し込む。しかし、そんなヒロインはある悩みを抱えていた……

美味しんぼのような食べ物で悩みを解決する、教師生徒もの、魔法学園ものの王道であるヒロインとの決闘、ラストでは悪人たちとのバトルがあり、その時、主人公の秘密が明らかになる。

色々な要素をこれでもかと詰め込んでいながら、破綻がない。面白かったです。

では、次巻も追って報告いたします。



食べないお嬢と魔術学園の料理番 (ファンタジア文庫)

食べないお嬢と魔術学園の料理番 (ファンタジア文庫)

『子守男子の日向くんは帰宅が早い』について

さて、今回紹介する作品はこちら、『子守男子日向くんは帰宅が早い』です。


子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

妹ちゃんを優先して放課後はすぐ帰宅する主人公の日向くん。そんな日向くんと妹ちゃんと偶然関わったヒロインとの交流をきっかけに、彼の日常がちょっとずつ変わっていく。

いい作品ですよ。徹頭徹尾、ほんわかとした日常を描くことに集中している。だからこそ、終盤にその日常が壊れるのではないかってとこがさ。いわゆるよくあることだけども、しあわせなひと時に共感した後だと、かなり緊迫感が出てくる。

ラストの膝枕のシーンはよかったですね。
いい話でした。

では、次巻も追って報告いたします。


子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

子守り男子の日向くんは帰宅が早い。 (角川スニーカー文庫)

『女神さま降臨!=非日常だと思った? 1 ~神のお告げで美少女と学園ミッションに挑むことになった~ 』について

さて、今回紹介する作品はこちら、『女神さま降臨!=非日常だと思った? 1 ~神のお告げで美少女と学園ミッションに挑むことになった~ 』です。


女神さま降臨!=非日常だと思った? 1 ?神のお告げで美少女と学園ミッションに挑むことになった? (オーバーラップ文庫)

著者:白河勇人
イラストレーター:小林ちさと
レーベル:オーバーラップ文庫
発売日: 2019/1/24
出版社: オーバーラップ
ISBN-10: 4865544399
ISBN-13: 978-4865544398

あらすじ
運命の出会いを求めて、ミッションスタート!

日々に退屈しながらも「こんなもんだ」と思っていた高校二年生・灯月燈也の前に、ある日女神が現れた。
「救世主さまっ!」
「はい?」
女神曰く、燈也に恋した女悪魔のせいで、彼は【運命の人】と結ばれず、関わった人まで不幸になるという。
未来を修正するための課題を与えられ、サポート役もつくことになったが、現れたのはドSな完璧女王様の水澄紗妃で!?
さっそく水澄と一緒に委員長の手伝いや同級生のスカートめくりに奔走し──って思ってたのと違う!
女神様、いつになったら非日常が始まるんですか!?
日常以上ファンタジー未満の青春ラブコメ、ミッションスタート!!

今回は、女神様から与えられたミッションを解くことで一人の女の子の心理的な謎を解く話です。

毎回、僕がこういうストーリーラインでいつも例に挙げている誰もが知っている代表的な作品が夏目漱石の『こころ』。今度、有名ブロガーの骨しゃぶりっぽく話す予定なんですけどね。
あの作品でライトノベルの王道みたいなストーリーなんですよ。
青春の真っ只中で退屈を感じていた青年が、海で水着姿のヒロインと出会い、別の場所でまた再開し、ヒロインとその周囲と親交を深める。すると、どうやらそのヒロインにはある悩みがあり、それは過去に起因するものらしい。一方、主人公にも人生の転機が訪れ、それを導いてくれるもう一人のヒロインが主人公を誘惑する。
二人の間で揺れ動く主人公。しかし、あるアイテムがきっかけで主人公は正ヒロインの元に向かう。

『涼宮ハルヒの憂鬱』とかも、今言ったようなラインで動いてるでしょう。古今東西のラブコメライトノベルの王道なんですよ。

今回も、主人公は様々な人とミッションを通じて関わっていくうちに。そばでサポートしてくれるヒロインにすべて繋がっていくことがわかる。

でさ、謎解きパートでその謎を解いたことで、彼女と仲良くなり、自身の道を定める。

面白かったですよ。出てくるヒロインも全員かわいかったですから。

では、次も追って報告いたします。


『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~』3巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~』3巻です。


天才王子の赤字国家再生術3 ?そうだ、売国しよう? (GA文庫)
著者:鳥羽徹
イラストレーター:ファルまろ
レーベル:GA文庫
発売日: 2019/1/12
出版社: SBクリエイティブ
ISBN-10: 4815601151
ISBN-13: 978-4815601157

あらすじ
【「このライトノベルがすごい! 2019 文庫新作ランキング4位!】

「宗教勢力を利用して国の価値を爆上げだ!」

 帝国皇女との結婚話に端を発した騒動を切り抜けたウェイン。そんな彼の下に隣国カバリヌより使者が到着する。大陸西側の一大宗教・レベティア教の主催する『聖霊祭』にウェインを招待したいというのだ。
 絶大な影響力を持つ『選聖候』たちが集うイベントということもあり、ろくでもないことに巻き込まれることはほぼ確定。それでも隣国と友好関係を結ぶため、ウェインは渋々西へと向かうのだが――!?
 クセ者だらけの国際舞台に、天才王子が本格デビュー! 大人気の弱小国家運営譚第三章、ここに開幕!

今回も主人公の妹さんが家庭教師から国同士の歴史を聴くところから始まる。毎回、巻がでるごとに言ってますけど。妹さんって世界観や人間関係を説明するための聞き手として重要だし、内面が見えない主人公たちと違って、葛藤と成長が描かれているキャラなのが気になりますね。
んで、ウェインたちは聖霊祭に向かうことになる。古今東西、ある場所からある場所に行く時、必ず主人公はそこからなにかを持って帰る、というのが古典から続くお約束なんだけどさ。
ご多聞に漏れず、この話でもこの旅がウェインたちに大きな変化をもたらします。今回の話はその変化に備えるために。このキャラはこういう人ですよってのを改めて強調する回でしたね。
旅先で、主人公はある政治的な理由のため、4人のキャラクターと謁見する。しかし、そのキャラは血の通った人間というよりも。主人公たちの世界に存在する欲望をシンボル化させたような存在。そうした人物に会っていくことで、主人公に内在する正義や大切なものをあぶり出すというストーリーラインは童話的だ。
さらに、主人公の部下にも同じく主人公に対する不信を煽る悪魔のような存在が。
すべてキャラクターの内面や心の中に抱えているものをあぶり出すために現れたようなキャラが今回は多い。
だからこそ、今巻で彼がもっとも大事なものを表に出した上で、ラストの大きな変化に対して主人公はなにを選択するのかが次巻で重要になることだろう。

では、次巻も追って報告いたします。


『妹さえいればいい。』12巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『妹さえいればいい。』の12巻です。


妹さえいればいい。 (12) (ガガガ文庫)
著者:平坂読
イラストレーター:カントク
レーベル:ガガガ文庫
発売日: 2019/4/23
出版社: 小学館
ASIN: B07QQQ9CZC

あらすじ
小説を、書け。

主人公になることを諦め、淡々と機械のように小説を書き続ける羽島伊月。一方、可児那由多は小説を書くことをやめ、部屋に引きこもってひたすらゲームに没頭するようになってしまう。そんな二人を、不破春斗や白川京はどうにか立ち直らせようとするのだが……。主人公達が立ち止まっている間にも、時間は容赦なく流れ、世界は絶えず動き続ける。大野アシュリーや木曽撫子、羽島家にも大きな出来事が訪れて――。大人気青春ラブコメ群像劇、待望の第12弾!!交錯する人間模様の行く先を、刮目して見届けよ!!

可児と羽島がどうなるか

11巻のラストで決定的なすれ違いが起きてしまった可児と羽島。可児は小説を書くのをやめ、羽島は頭を丸める。
二人がどうなるのか、を見どころにおいて、二人の破局に、波紋が広がり周囲にも影響を与える。
この辺が群像劇としての面白さがありましたね。様々なキャラクターがそれぞれの想いを抱いて可児と羽島にぶつかるのは面白いですね。

大事の下にある小事

可児と羽島の破局、この大きな事件を見せつつ、じつはそれをきっかけに小さな事件を起こして確実に起きている変化を描いているのも上手い。
アシュリーとマキナの関係も進展し、イラストレーターの刹那と千尋の話も一区切りつきましたね。ラストに向けて諸々のここ気になってたんだよな〜ってとこが解決していくとこはいいですね。
白川京ちゃんも編集者として心理的な成長をしたところも次巻で活かされるのか気になりますね。

次巻のメインは

次巻で気になるのは白川京ちゃんと不破春斗ですね。今回、二人の心の揺らぎが描かれた場面が多かった印象です。
このへんのうちに秘めた想いが表に出るのかが次の巻で気になるとこですね。
二人の間では不破の片思いからはじまる恋愛関係が宙ぶらりんになってますから気になります。

では、次巻も追って報告いたします。

『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~』2巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~』の2巻です。


天才王子の赤字国家再生術2 ?そうだ、売国しよう? (GA文庫)
著者:鳥羽徹
イラストレーター:ファルまろ
レーベル:GA文庫
発売日: 2018/9/14
出版社: SBクリエイティブ
ISBN-10: 4797399007
ISBN-13: 978-4797399004

あらすじ
【「このライトノベルがすごい! 2019 文庫新作ランキング4位!】

皇女と縁談!? 100%罠じゃん!!

「私と一緒に帝国を奪りませんか?」
次代の名君として臣民に慕われつつ、楽隠居を目指して日々売国を画策する小国ナトラの王太子ウェイン。
僅かな手勢で隣国との戦争に勝利し、その名を内外に響かせた彼のもとに突然舞い込んだのは、後継争い
に揺れる帝国の皇女ロウェルミナとの縁談話だった!?
うますぎる話に警戒するウェインだったが、周囲は帝国との関係が深まるとお祭り騒ぎ。しかも非公式の
お見合いに訪れた皇女から提案されたのは、野望に溢れたもので――。
「超断りてえええええええええ! 」
天才王子による七転八倒な弱小国家運営譚第二章、ここに開幕!

巧みなストーリー

1巻に引き続き、キャラの立て方、ストーリーの魅せ方が上手いですね。家臣たちの王子である主人公に対する評価を描いて、それを横目で見るニニムの想い。そこから件の王子の元にやってくるニニム。公務中で家臣の前では王子としての姿を見せる主人公を印象づけた後で、彼らがいなくなった後で、「国売ってトンズラしてぇぇぇ!」と言わせる。
これで、この国の世界観、主人公の表向きと裏向きの性格、さらにはその裏向きの性格をヒロインにだけは見せれるんだよという尊さが良きなんだよね。今回、この二人の関係性がピックアップされる巻だからこそ、序盤のこの流れはうまい。

縁談の話が

で、一巻の時に手に入れた鉱山をどうするかって話を置いてから。主人公の縁談の話がやってくる。この作品、主人公の奇想天外な策によって読者や相手が騙されるとこに爽快感を生むストーリーだからさ、主人公やヒロインの心理を極力書いてないんだけど、まわりのモブの心理は細かくてさ。この縁談の流れも自然なんだよね。
今回はこの縁談が物語の起承転結の起に当たるんだけどさ。ここでうまく立ち回ってるのが主人公の妹ですよ。
兄の縁談を知った妹がヒロインに対してさ。彼女がお兄様と結婚するんじゃないのっていうさ。家臣や読者が聞けなかった質問をしちゃうんだよね。
このシリーズは妹がさ。いかにも主人公の庇護下にあるキャラですよ感を出してるんだけどさ。明らかにストーリーを動かすに重要な立場を任されてることが多いんですよね。しかも、じつは毎巻ごとにちょっとずつ成長してるんですよ。
この子、絶対、後々重要なキャラになりますよ。
でっ、この妹さんのおかげでヒロインと主人公の特別な関係性というのが読者に明らかになった上で、縁談の相手が明らかになる。

相手はまさかの

でっ、縁談の相手が明らかになる。
するとじつは主人公とヒロインの昔なじみのキャラであった。1巻で話題に出てた。帝国で学生してたって話がクローズアップされてさ。
その時に、皇女の身分を隠してじつは主人公とヒロインと仲良くしてた子がいてさ。その子が縁談の相手だった。
主人公とヒロインの間にある関係性のアドバンテージを有する第3の存在。恋愛ものだったら盛り上がるパターンなんですけどね。面白いのが、これが政略結婚でさ。どうやら学生時代、縁談の相手さんはキレ者だったらしくさ。そんな子が何の目的で会いに来たんだというところでさ。中盤は夏目漱石の『こころ』のような、キャラ同士の会話に心理的な謎があるミステリーのような雰囲気になるんだよね。
だからこそ、それが明らかになった時が面白いし、終盤にどうしてこうなるんだってドミノ倒しのような展開が待ってる。
面白かったですよ。では、また3巻も追って報告いたします。

『理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?』の2巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?』の2巻です。


理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?2【電子特典付き】 (MF文庫J)
著者:三河ごーすと
イラストレーター:茨乃
レーベル:MF文庫J
発売日: 2019/1/25
出版社: KADOKAWA
ISBN-10: 4040655079
ISBN-13: 978-4040655079

あらすじ
無敵の父親>>>最強の軍団 年の差ラブコメ×魔法学園×父娘ファンタジー

史上最高ステータス値を記録し、最強のSランクとして《第一魔法騎士学園》に入学した白銀雪奈。
その父であり、表向きDランクの専業主夫である冬真は、人知れず陰の特殊部隊のエースとして世界の平和を維持していた。
だが、友を失った雪奈は学園最強の騎士団《ヘヴンリー・ロウズ》への入隊を望み、二人は新たな戦いへと巻き込まれていく――!
「戦争を経験したら……お父様の思う、いい子の雪奈じゃ、いられないかも、しれませんよ?」
「今までも、これからも。雪奈は俺の最高の娘だよ」
自立を望む尊い心につけ込まれ、地獄と化した戦地に向かう娘を救うために、無敵の父が真の実力を発揮する――!

初代ガンダムのブライトが主人公

 この作品は異能学園ものです。『とある魔術の禁書目録』とか『魔法科高校の劣等生』、『インフィニットストラトス』のように異能を鍛える学園を舞台にした作品です。
 時代は未来。この世界では胞子獣という怪物がいて、人々は既存の軍用兵器で彼らと戦ったが、勝つことができなかった。なので、コロニーのようなものを作って生き残った人々は避難し、若者たちは胞子獣対抗できる異能を訓練している。主人公はそんな世界で最強のSランクで周囲からこの世界を救うかもしれない英雄として期待される少女、白銀雪奈、でなく、その子の父親の白銀冬真。しかも彼は周囲からDランクとして扱われていた。しかし、じつは第一線で活躍する特殊部隊のエースで実戦スキルはかなり高かった。
 面白いですよ。異能学園もののいいところがさ。学校で伸ばすスキルを異能に置き換えて大衆向けの話にしながらも、学校の中でどう学んでいくべきか、ということに対していろんな問いを出しているとこがいいんですよね。
 こういった場合、だいたいが学校という狭い範囲内では評価されない人間が社会という実戦ではじつは有用な人間で、学校という箱庭はその枷でしかないという夢物語で終わりがちなんですが、この作品では、世界を変えうる天才がいたとして、そういう子をどう導いていけばこの世界はよくなるのか、という視点で描かれているのが新鮮です。
 人類というある組織が危機的な状況の中で、限られた資源と人材の中で突出した天才と向き合うことで状況を打開する。
 これと似たようなものが、『機動戦士ガンダム』のアムロです。
 この作品の状況って、機動戦士ガンダムでコロニーの襲撃から逃げるように地球を目指して出発した1話の戦艦の状況を惑星単位で大きくさせた話なんですよ。
 アムロが本作で世界最強とされる娘の雪奈。その娘の父である主人公の冬真の立ち位置はなんとそのアムロの上司であるブライトです。
 だから、設定や戦闘描写はライトノベルっぽくて面白いし、作中で語られるテーマは20代後半が読んでも面白いものになっている。
 1巻ではそうした状況の中でじつは父親のチート性を見せつけながら、絶望感のある急展開で世界観と主人公の強さを読者に印象付けました。
 2巻ではヒロインである主人公の娘の心理描写に重きを置くことで、娘との接し方に戸惑う父親としての彼の姿が浮き出た巻でした。
 

敵は身内

 今回の敵は身内。じつは胞子獣を神のように崇拝する組織の存在が1巻の後半で明らかになり、彼らと主人公の在籍する特殊部隊との戦いが今巻の導入でした。
 そこからのニュース報道により、胞子獣という脅威がいるにも関わらず政府は怪物でなく、人に銃を向けている、というのが一般の市民の反応であることがわかる。
 読者は序盤でその組織がどれだけ悪どいことをしているかわかっているから、市民が政府を非難し、敵視している様に憤りを感じるんですが、実際にマスメディアを通してみる1巻の序盤の戦闘の概略みたいなものがそこまでズレたものではないからさ。だれかが悪いと怒りをぶつけられない理不尽な状況に対するむなしさも感じるように描かれています。
 そこから、グランマリアという異能学園の生徒でありながら、学園を牛耳る生徒会長的な立場に立っている女の子が、世界を守るためにヘブンリー・ロウズというその学園の生徒のみで構成された軍隊を作っていて、そこに主人公の娘をスカウトした。1巻では、加入を断っていた雪奈でしたが、1巻の終盤の悲劇により、守れたかもしれないものが守れなかったという体験を経た彼女は加入を決意する。
 さらに、2巻からグランマリアは2巻の序盤での主人公たちの戦闘を世間に対して非難することで、市民から賛同を得ていた。
 いわゆる今のアメリカのトランプみたいな形でさ。政府の大人たちからは思ってもみない形で一人の少女が権力を持っている形となっていました。
 これにより、世間へのアピールとしての存在だったヘブンリー・ロウズがまだ若いのに、胞子獣と戦って世界を救うんだという流れになった。
 自分の娘も、胞子獣と戦う覚悟を固める。
 しかし、父親としても、世界最強の少女を育成する立場のものとしても、才能があるが経験や知識に乏しい若者たちが戦いに出向く形になるのは望ましくなかった。

最強の娘と父のすれ違い

 こういう状況があって、娘と父親がすれ違いだすってのが今巻の話です。
 今巻は各キャラクターの心理描写が上手でしたね。
 冬真と雪奈はもちろんのこと、彼女たちの周囲のキャラクターのなかにある葛藤がなかなかよかったです。
 たくさんのキャラクターの心理描写が重なっていくことで、その裏でかすかに動いていたことが大きな波となり、最終的にヒロインにある決断をとらせたって展開は上手かったです。
 次巻もどうなるのか、今から楽しみです。

『陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ』の2巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ』の2巻です。


陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ……2 (ファンタジア文庫)
著者:佐倉唄
イラストレーター: 桝石きのと
レーベル:ファンタジア文庫
発売日: 2018/10/20
出版社: KADOKAWA
ISBN-10: 4040728327
ISBN-13: 978-4040728322

あらすじ
陰キャラな俺・九条静紀に、林間学校の季節がやってきた。皆でカレー作りだの、テントでお泊まりだの、そんなの楽しむ奴は、陽キャラだけだ。(一応)恋人になった陽キャ度100万%の春日陽奈ときたら、そりゃもうテンションアゲアゲで…「キャンプファイヤーで、静紀くんと絶対キスしてみせるね」うん、絶対回避しよう。いかに地味に忍ぶか考えていたら、「林間学校で、レミを陰キャアイドルに育ててほしいの!」と、マジモードな新宮からも意味不明なお願いを受けてしまう。何か事情がありそうだから“仕方なく”協力するが、なんで陽キャイベントで、俺が頑張ってるんですかね…。

レミがメイン

今回はアイドル志望のレミをメインとした巻でした。彼女はアイドルになりたい女の子。主人公のアドバイスで陰キャラ受けをするアイドルを目指します。
そんななかで前半のテーマとなったのが夢。レミがアイドルを目指すに当たって、障害となったのが彼女の夢を否定する教師の存在。
その教師の考えを変えることができるのか、というのが前半のゴールですよってわかるように何回か彼がレミに突っかかる場面がありましたね。
主人公がレミをサポートしていくうちに彼女の本心、彼女がなぜアイドルをやりたいのかという想いを知っていくことになる。これにより、読者にとっての「応援したいヒロイン」になっていく。そのボルテージが高まったところで、最後のレミの夢に対する熱い叫びは心に響きます。

舞台は林間学校

今回の舞台は林間学校。人と関わりたくない主人公は嫌々林間学校に参加します。また、レミからのお願いや恋人の春日のアプローチにより、林間学校に積極的に参加せざる終えなくなる。
どんな時も陰キャラであろうとする主人公、彼に同調する秋月、彼のことが好きすぎる春日、夢を追いかけるレミ。
林間学校というイベントに対してのそれぞれの掛け合いは面白い。

2幕構成

でっ、これがじつは巻の半分で、後半でメインヒロインと主人公の間で波乱が起きる。
これが前半でのストーリーに関わっていることで、寝耳に水だったのでヒヤっとしました。
正反対の2人がお互いとどう向き合っていくか。2人の恋はまだまだ続くが今後も波乱もありそう。

では、次巻も追って報告いたします。

陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ……2 (ファンタジア文庫)

陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ……2 (ファンタジア文庫)

陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ…… (ファンタジア文庫)

陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ…… (ファンタジア文庫)

『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』の1巻について


悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました【電子特典付き】 (角川ビーンズ文庫)
著者:永瀬さらさ
イラストレーター:紫真衣
レーベル:角川ビーンズ文庫
発売日: 2017/9/1
出版社: KADOKAWA
ISBN-10: 4041060362
ISBN-13: 978-4041060360

あらすじ
乙女ゲーム世界に、悪役令嬢転生したアイリーン。前世の記憶だと、この先は破滅ルートだけ。破滅フラグの起点、ラスボス・クロードを攻略して恋人になれば、新しい展開があるかも!? 一発逆転で幸せになれるか!?
電子特典は、クロードがアイリーンに「君は僕を愛しているのか?」と迫る、書き下ろしショートストーリーを収録!

悪役令嬢もの

異世界転生ものと同じくらい悪役令嬢ものも数を増やしています。来年には『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』もアニメ化しますので、その勢いはさらに強くなるでしょう。
しかし、悪役令嬢ものといえば、数が増えるに従い、最初の頃に決まった王道からの脱却を目指し始めるのが世のコンテンツの宿命ですので。わりと異端なものが増えてくる。
その中で久々に既存の枠組みからの外しをやりながらもストーリーは王道でキュンキュンできる悪役令嬢ものがこちらです。

セーブザキャット

物語の始まりは婚約破棄直後、主人公は前世の記憶を取り戻し、自分は前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢になっていることに気づきます。
自分がしていない正ヒロインのいじめの首謀者に祭り上げられ、学園からの悪い噂は絶えない、主人公が手がけた事業も振った王子のものに。
まさしく、ドン底からのスタート。記憶を取り戻したばかりの混乱を沈めるため、自分の周辺で起きたことについての説明がなされた上で、彼女が訪れたのが物語のラスボス、魔王クロードのもと。
配下に毒入りのお菓子を渡したり、人質にしたり、クロード視点から見たら、「なんだこの女は」ってなるところで、なんと彼女は魔王に求婚しにきたらしいということを知る。
少女漫画の王道である第一印象最悪ってとこから、彼女はクロードの周辺で起きる問題を解決していく。
この問題の解決の仕方が序盤で描かれた王子に奪われた事業でできた人脈でさ。ヒロインの視点ではなんてことのないように書かれてたけど。事業の関係でヒロインと関わっていた人は彼女の本当の良さみたいなのを知っててさ。
なんだこの人いい人じゃんっていう気分にさ。読者もクロードも思うんだよね。その辺のセーブザキャットがよかったですよ。

本当の恋に気づく瞬間

そして、クロードの周辺がよくなると思われた最中。主人公がある事件に巻き込まれる。ここで、物語のなかで謎とされていたクロードがなぜラスボスとなったのかも明らかになり。
離れ離れとなったヒロインとクロードがそれぞれの心の中で互いが互いを大切に思うことに気づく。
その心の中での気づきが、本来乙女ゲームでは敵役としての設定だったものが互いが秘めていた想いを気付かせる仕掛けになっているってのがなかなかよかったです。

では、次巻も追って報告いたします。

『異世界召喚された俺がHできない理由』について

さて、今回紹介する作品がこちら、『異世界召喚された俺がHできない理由』です。


異世界召喚された俺がHできない理由 Answer.1 全部MPチートのせい (オーバーラップ文庫)
著者:大城功太
イラストレーター:sune
レーベル:オーバーラップ文庫
発売日: 2019/1/24
出版社: オーバーラップ
ISBN-10: 4865544372
ISBN-13: 978-4865544374

あらすじ
美少女冒険者と淫蕩生活!

隠れオタクの高校生・守口悠人(もりぐちゆうと)は、美少女冒険者ミリアの魔法により憧れの異世界に召喚される。
ミリアに誘われるまま冒険者として過ごすことになった悠人は、魔法を使うと消費する【МP】のステータスが規格外と判明。
魔法チートで一流冒険者を目指すと張り切る悠人だが、この異世界には問題があった。
МPがいわゆる【マジックポイント】ではなく【ムラムラパワー】――つまり性欲で!?
性欲が溜まるほどМPが溜まり、強力な魔法が使えるこの世界。
悠人を強くするため、ミリアがえっちなサービスでMPを高めようと迫ってきて!?
悠人の理性が試される冒険者生活が始まる――!えっちでイケない異世界ファンタジー!

ヒロインとのエッチな日常

エッチなことをしなければ魔法が打てない。仕方ないよねな日常はなかなかいい。ヒロインのミリアと獣人のメイドさんとのイチャイチャな日々はかわいくていいですね。
ムラムラを解消すると、強くなれない、という設定もあるので生殺しになっているとこも初々しさが出ている。

怒涛の下ネタ

日常での軽い触れ合いから、大きなサービスシーンの時に互いの気持ちを確認したことで、読者からもわかる形でヒロインが主人公にとって大事な存在になったというイベント後、中盤では巨大な敵を倒すために打ち立てたコメディ色の強い闘いにより、タガが外れたように下ネタが増えていく。
後半の重要人物である侍キャラは面白かったですね。下ネタは前半にもありましたが、それがジャブであったんだと思わせられるくらいたくさん出てきてつい吹き出してしまいました。

後半の展開

そっから、ラストで密かに貼られていた伏線が明らかになり、主人公は選択を迫られる。この選択もヒロインとの日常を丁寧に描いてからだったんで、彼の気持ちに共感できる。もちろんある決断をして殻を破った主人公は強くなる。そこからのラストバトルの熱さはドラゴンと戦った時のコメディな戦いとのギャップがよかった。
あんな彼も大好きなもののためにこんなに変われるんだぜって感じがよかったです。

では、次巻も追って報告いたします。

『始まりの魔法使い』5巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『始まりの魔法使い』5巻です。


始まりの魔法使い5 始まりの時代 (ファンタジア文庫)
著者:石之宮カント
イラストレーター:ファルまろ
レーベル:ファンタジア文庫
発売日:
出版社: KADOKAWA
ISBN-10: 4040730046
ISBN-13: 978-4040730042
発売日: 2019/1/19

あらすじ
竜歴1150年。村の守備を整えた先生たちは、ついに最初の生徒を探すべく旅に出る。東にある巨大な王国・マシロにたどり着いた彼らの前に現れたのは、純白の鎧に身を包んだ女騎士“竜殺しの英雄”アイシャだった。

旅に出る先生

今回、ついに先生はアイを探しに旅に出ます。この辺は旅に出るための準備にかなりページが割かれてましたね。
大学ができ、先生の代わりができる人が現れる。小さな村が発展して、先生がいなくても自立した存在になりましたよってのが強調されましたね。
これは今まで積み重ねてきたものがようやく形となり、物語は新たな展開を迎えますよってことですね。
今回、全体を通してあるのが色々問題が一区切りつきましたよってとこが多いんですよね。もし、アニメ化するとしたらこの巻が最終回になるだろうなってくらい一区切りついたよって感じがする。
そこからニーナと人魚の子とユウキの祖先で旅に出る。そこでであや別れがありながらも期待感がどんどん膨らんでいく、だからこそ、後半の展開が衝撃的です。

ニーナの想い

5巻では溜まりに溜まったニーナの想いが先生に打ち明けられます。この辺はそりゃそうだ、と思いますし、4巻で終わったかと思ってたんで驚きました。
今巻はアイちゃん回でもあり、ニーナ回でもありました。そして先生を中心にした巻となる。

次々と起きる問題と解決

終盤は次々と問題が起き、先生に決断を迫られる。今回起きる問題の数々が今まで先生が選んだものや選ばなかったものがこの巻に集中して起きてしまうってとこが面白いですね。
だからこその絶望感の重みがある。そして、それに対抗できるのも選択の末に生まれた希望の数々。この物語が何百年と紡がれた一つの世界の物語であることを再認識した瞬間でした。
読了後は多幸感に包まれるいい締め、次巻も楽しみです。

『同棲から始まるオタク彼女の作りかた』について

さて、今回紹介する作品はこちら、『同棲から始まるオタク彼女の作りかた』です。


同棲から始まるオタク彼女の作りかた (ファンタジア文庫)
著者:村上凛
イラストレーター:館川まこ
レーベル:ファンタジア文庫
発売日: 2018/11/20
出版社: KADOKAWA/富士見書房
ISBN-10: 4040729358
ISBN-13: 978-4040729350

あらすじ
理想のオタク彼女を作るため、俺はギャルで隠れオタクの二科心と同棲することに。「私を、オタク男子の理想に育ててくれるんでしょ?」ひとつ屋根の下で繰り広げられるオタクとギャルの新たな協定ラブコメ!

同棲からの主人公の改造計画

面白いですよ。
序盤の数ページがこんなヒロインに萌えてくださいねっていう小話なんだけどさ。主人公の語る理想のオタク彼女になるために、クラスで人気なギャルが頑張ってて可愛いんですよね。
2人はそれぞれ自分の趣味に理解のあるひとを彼氏彼女にするために恋活をしている。
んで、オタクの恋活パーティーで2人は偶然出会ってしまう。そこで二、三衝突を重ねるも互いを認め合うところで、ヒロインが家族の主張が原因で海外に移住しかねないピンチに。
オタ活を続けたいと願うヒロインを主人公が助けようとして2人の同棲がはじまる。
話の起点のため、ここまでの流れがスムーズなんだけど無理矢理くさくない。主人公がヒロインを助けたいと思うようになるまでの思考の流れと、ヒロインが海外に行くくらいなら一人暮らしをするという発想が、2人が出会って会話している中でできたものだから、僕らが応援できるものになってる。
そっからのオタクの恋活をやっていくためのヒロインの主人公に対する見た目の指導はなるほどって思いましたね。
最近のライトノベル読んでて思うけど、今のオタクって大変なんだなって思いましたよ。

ヒロインが可愛い

それと、ヒロインがメチャクチャ可愛いですね。ヒロインの的確なアドバイスに対して、主人公の指摘がさ、オタクの願望というかさ、シンプルに言って気持ち悪いとこがあるんだけどさ。
ケンカしながらも、なんやかんやで次の日には主人公の言う通りに頑張ろうとするとこは可愛い。
最近の時流でもあるvtuber のコスとかもしてくれますからね。

続きが気になる

続きが気になりますね。ラストが2人の間に信頼関係が生まれ、これから話が進展しますよって感じなので。
色々とまだはじまってないとこがあるんですよ。その辺が2巻、3巻で明らかになりそうなので次巻も追って報告いたします。