そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~』3巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~』3巻です。


天才王子の赤字国家再生術3 ?そうだ、売国しよう? (GA文庫)
著者:鳥羽徹
イラストレーター:ファルまろ
レーベル:GA文庫
発売日: 2019/1/12
出版社: SBクリエイティブ
ISBN-10: 4815601151
ISBN-13: 978-4815601157

あらすじ
【「このライトノベルがすごい! 2019 文庫新作ランキング4位!】

「宗教勢力を利用して国の価値を爆上げだ!」

 帝国皇女との結婚話に端を発した騒動を切り抜けたウェイン。そんな彼の下に隣国カバリヌより使者が到着する。大陸西側の一大宗教・レベティア教の主催する『聖霊祭』にウェインを招待したいというのだ。
 絶大な影響力を持つ『選聖候』たちが集うイベントということもあり、ろくでもないことに巻き込まれることはほぼ確定。それでも隣国と友好関係を結ぶため、ウェインは渋々西へと向かうのだが――!?
 クセ者だらけの国際舞台に、天才王子が本格デビュー! 大人気の弱小国家運営譚第三章、ここに開幕!

今回も主人公の妹さんが家庭教師から国同士の歴史を聴くところから始まる。毎回、巻がでるごとに言ってますけど。妹さんって世界観や人間関係を説明するための聞き手として重要だし、内面が見えない主人公たちと違って、葛藤と成長が描かれているキャラなのが気になりますね。
んで、ウェインたちは聖霊祭に向かうことになる。古今東西、ある場所からある場所に行く時、必ず主人公はそこからなにかを持って帰る、というのが古典から続くお約束なんだけどさ。
ご多聞に漏れず、この話でもこの旅がウェインたちに大きな変化をもたらします。今回の話はその変化に備えるために。このキャラはこういう人ですよってのを改めて強調する回でしたね。
旅先で、主人公はある政治的な理由のため、4人のキャラクターと謁見する。しかし、そのキャラは血の通った人間というよりも。主人公たちの世界に存在する欲望をシンボル化させたような存在。そうした人物に会っていくことで、主人公に内在する正義や大切なものをあぶり出すというストーリーラインは童話的だ。
さらに、主人公の部下にも同じく主人公に対する不信を煽る悪魔のような存在が。
すべてキャラクターの内面や心の中に抱えているものをあぶり出すために現れたようなキャラが今回は多い。
だからこそ、今巻で彼がもっとも大事なものを表に出した上で、ラストの大きな変化に対して主人公はなにを選択するのかが次巻で重要になることだろう。

では、次巻も追って報告いたします。