そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』の1巻について


悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました【電子特典付き】 (角川ビーンズ文庫)
著者:永瀬さらさ
イラストレーター:紫真衣
レーベル:角川ビーンズ文庫
発売日: 2017/9/1
出版社: KADOKAWA
ISBN-10: 4041060362
ISBN-13: 978-4041060360

あらすじ
乙女ゲーム世界に、悪役令嬢転生したアイリーン。前世の記憶だと、この先は破滅ルートだけ。破滅フラグの起点、ラスボス・クロードを攻略して恋人になれば、新しい展開があるかも!? 一発逆転で幸せになれるか!?
電子特典は、クロードがアイリーンに「君は僕を愛しているのか?」と迫る、書き下ろしショートストーリーを収録!

悪役令嬢もの

異世界転生ものと同じくらい悪役令嬢ものも数を増やしています。来年には『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』もアニメ化しますので、その勢いはさらに強くなるでしょう。
しかし、悪役令嬢ものといえば、数が増えるに従い、最初の頃に決まった王道からの脱却を目指し始めるのが世のコンテンツの宿命ですので。わりと異端なものが増えてくる。
その中で久々に既存の枠組みからの外しをやりながらもストーリーは王道でキュンキュンできる悪役令嬢ものがこちらです。

セーブザキャット

物語の始まりは婚約破棄直後、主人公は前世の記憶を取り戻し、自分は前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢になっていることに気づきます。
自分がしていない正ヒロインのいじめの首謀者に祭り上げられ、学園からの悪い噂は絶えない、主人公が手がけた事業も振った王子のものに。
まさしく、ドン底からのスタート。記憶を取り戻したばかりの混乱を沈めるため、自分の周辺で起きたことについての説明がなされた上で、彼女が訪れたのが物語のラスボス、魔王クロードのもと。
配下に毒入りのお菓子を渡したり、人質にしたり、クロード視点から見たら、「なんだこの女は」ってなるところで、なんと彼女は魔王に求婚しにきたらしいということを知る。
少女漫画の王道である第一印象最悪ってとこから、彼女はクロードの周辺で起きる問題を解決していく。
この問題の解決の仕方が序盤で描かれた王子に奪われた事業でできた人脈でさ。ヒロインの視点ではなんてことのないように書かれてたけど。事業の関係でヒロインと関わっていた人は彼女の本当の良さみたいなのを知っててさ。
なんだこの人いい人じゃんっていう気分にさ。読者もクロードも思うんだよね。その辺のセーブザキャットがよかったですよ。

本当の恋に気づく瞬間

そして、クロードの周辺がよくなると思われた最中。主人公がある事件に巻き込まれる。ここで、物語のなかで謎とされていたクロードがなぜラスボスとなったのかも明らかになり。
離れ離れとなったヒロインとクロードがそれぞれの心の中で互いが互いを大切に思うことに気づく。
その心の中での気づきが、本来乙女ゲームでは敵役としての設定だったものが互いが秘めていた想いを気付かせる仕掛けになっているってのがなかなかよかったです。

では、次巻も追って報告いたします。