そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『家で知らない娘が家事をしているっぽい。でも可愛かったから様子を見てる』について

 こんにちは、神島竜です。
 今回は、『家で知らない娘が家事をしているっぽい。でも可愛かったから様子を見てる』について紹介します。

家で知らない娘が家事をしているっぽい。でも可愛かったから様子を見てる【電子特別版】 (角川スニーカー文庫)
タイトル:『家で知らない娘が家事をしているっぽい。でも可愛かったから様子を見てる』
著者:モノクロウサギ(https://twitter.com/monokakiusagi
イラスト:あゆま紗由(https://twitter.com/ayumasayun)
ASIN ‏ : B0CW1B9ZXV
出版社 ‏ : KADOKAWA (2024/5/1)
発売日 ‏ : 2024/5/1

あらすじ
とんでもない美女が家事を完璧にやってくれて最高!……でもこいつ誰だ!?

どうやら俺にはストーカーがいるらしい。頻繁に自宅に不法侵入してなぜか家事をして帰っているようだ。被害らしい被害もないので様子を見ていたらある日自宅で出くわしてしまう。そのストーカーがとんでもなく美人だったこともあってつい無視し続けたんだけどどうやら受け入れられたと勘違いしたのかそれ以降俺が在宅でも構わず通ってくるし、なんなら事あるごとに話しかけてくるようになった。美人が通って好意を向けてきてるのに未だ会話ゼロ。……なぁ、どうしてこうなった?めちゃくちゃ今更だと思われるかもしれないけど、言わせてほしい。──こいつ本当誰なんだ?

もくじ

ストーカーのいる日常系

 今まで読んだことのない読み味の作品です。主人公の水月は大学生。飲食店でアルバイトしている。彼は大学生になってからは一人暮らし、のはずだった。自分しかいない家で、なぜか掃除と洗濯等の家事がされた形跡がある。自分の下着がいつの間にか新品のものに変わっている。しかし、そうしたことに無頓着な彼は、実害がないため様子を見ていると、ある日自宅で彼女と出くわしてしまう。
 ストーカーがとんでもない美人であったため、無視をすることに決めると、次の日から、彼女は主人公が自宅にいる時にも通うように。さらに、無視を続ける主人公に対して話しかけるようになった。
 今までにない展開の作品のため、新鮮な気持ちで読みました。ヒロインがとても可愛いです。
 奇妙な同居生活(?)はどうなるかわからない緊張感があり、ページをめくる手が止まりませんでした。
 主人公の視点だと、彼女の正体はすぐには明らかにならないのですが、中盤で彼女の友達の視点に移り、事態の概要がつかめてくるとラブコメとして面白くなってきます。

ヒロインはガールズバンドのボーカル、中盤の展開は必見

 ヒロインの名前は千秋蘭、主人公と同じく大学生。ガールズバンドのボーカル。抜けたところがあり、思い込みが激しい。水月がアルバイトしている飲食店の常連。
 千秋はナンパをされているところを彼に助けられたことをきっかけに好意を抱くようになり、ひょんなことから彼の自宅のカギを入手する。
 そこから彼女のストーカー行為がはじまり、水月との奇妙な関係につながる。
 バンドメンバーからの詰問により、自身のストーカーの経緯と行為を暴露した彼女。
 ちなみにこのバンドはメジャーデビューが決まっている。ボーカルの犯罪行為が表ざたにならないように、メンバーたちは千秋に謝罪と自己紹介をするように促した。
 ここから、千秋は大学から帰ってきた水月に自己紹介し、無視し続けていた彼ははじめて彼女と会話し、勝手にやっていた家事が公認になる。

進展した関係? 続きはどうなるのか?

 そして、何気ない(?)日常がつづられ、会話をするようになった彼女から自身のバンドのイベントに誘われ、見に行った主人公。
 そこから関係の進展したかのような異常が日常となった緩やかな描写で終わる。
 話の展開や主人公の行動には緩急はないけども、設定はどうなるかわからないものがあり、目の離せない作品でした。
 ライトノベルでよくあるヒロインに悩みがあって、主人公がそれを解決するみたいな展開がなく、本当に日常を観察し続ける読書体験だったのがよかったです。
 ヒロインのガールズバンドが今後どうなるのか。主人公の趣味として明かされていたイラストを描くというのが、伏線のようで伏線じゃなかったので今後関わるのかが気になります。