さて、今回紹介する作品はこちら、『七つの魔剣が支配する』です。
あらすじ
春――。名門キンバリー魔法学校に、今年も新入生がやってくる。黒いローブを身に纏い、腰に白杖と杖剣を一振りずつ。胸には誇りと使命を秘めて。魔法使いの卵たちを迎えるのは、満開の桜と魔法生物のパレード。喧噪の中、周囲の新入生たちと交誼を結ぶオリバーは、一人の少女に目を留める。腰に日本刀を提げたサムライ少女、ナナオ。二人の魔剣を巡る物語が、今始まる──。
もくじ
世界観とキャラクターの見せ方
まず、世界観とキャラクターの見せ方が上手いですね。本作の舞台はキンバリーという魔法学園。ハリーポッターのホグワーツを彷彿とさせるような雰囲気です。
そんななか、入学式で出会う五人の新入生の何気ない会話から物語がはじまる。話の内容は、入学式のパレードでトロールが行進しててさ。そうしたトロールを動物園の象みたいに扱うのはどうなのか、亜人にも人権があるのではって話でさ。
そこでわかりやすい対立軸として田舎でトロールに困らされていたガイと、トロールと心を通わせていたカティのそれぞれの経験からくるトロール観がぶつかります。
そこから、パレードである事件が起きて、ナナオというサムライの姿をした女の子がって流れがあってさ。
この辺の第1章で、6人がどんな子なのかってのが読者に印象づけられる。しかも、自己紹介はパレードの後に行っているからさ。名前より先にキャラを印象づけさせているから、感情移入しやすくなっている。
さらに、この会話で、今回の話の中心は亜人種の差別で、カティをメインにした話ですよってのがわかるんですね。
七つの魔剣
1巻では驚愕のラストで驚かされましたね。
本作でのタイトルが、七つの魔剣でしたので。最初にパレードに集まった6人とプラスアルファがなにかをする話ではないか。ではそのプラスアルファは誰だろうって思いながらついつい読んじゃうんですよね。
特に最初の印象がハリーポッターでしたから。勧善懲悪的な世界観かと思ってしまった。
だからこそ、ラストに驚きました。
なるほど、そういう話だったのかと感心しましたね。
W主人公
全体としては、オリバーとナナオのW主人公の作品なんですね。君の名は、とか、デスノートとか。男性と女性、洋風と和風。一見、正反対な二人。
しかし、物語が進むにつれて立場の正反対さはあっても、境遇や内面に似通ったものがある。だからこそ、この二人が今後、なんらかの関係性を築いてしまうんだろうなと思いました。
では、2巻もすぐ読みます。
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