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神島竜のそう、それが言いたかった

twitterでは言えなかった長い話をダラダラ語ろうかと思います。

カクヨム書籍化作品オススメランキングベスト5!

ネット小説 カクヨム まとめ

  この前、近所の本屋で最近大きくなったネット小説の棚を物色していると。一人の女性が隣に来ました。

 

 その女性、髪はしろずみ、肌は雪のように白い。目元には、年輪が重ねられ、本棚に伸ばしたそのきれいな手には太い血管が浮いていた。

 彼女は立ちすくんで悩むように手を迷わせると、ためらいがちにいくつかの本を手にとってレジへと向かうのでした。

 

 私的に詩的で素敵なふうに言ってみたんですが。ようは70歳くらいの人がネット小説を手にとってたんですよ。さいしょは頼まれたのかとも思ったんですけどね。新刊だけでなく、隅の一冊しかない本も持って、合計5冊は買ってたので。たぶん自分で読むものでしょう。

 

 ついさ、ネット小説って考えると、35から14くらいまでだと考えてましたけど。以外と年齢層は幅広いかもしれない。ネット小説が書籍化するとさ。ほとんどがハードカバーでさ。高いわけなんだけどさ。案外、スマホが見づらくなったかたには大きい本がいいかもしれないし。決まった形式のあるネット小説は、新しい文芸として人々に受け入れられてきているのかもしれませんね。

 

 そうあってくれたらいいな。あってほしいな。

 

 ネットには今日もたくさんのネット小説が投稿されている!  だれがネット小説を語るのか! だれがネット小説を読むのか!同じくネットでゾンビ小説を書く男、神島竜が今立ち上がる!

 

 習慣で、週間に、瞬間に更新するブログ。

 

神島竜のそう、それが言いたかったァァァ!

 

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 さて、今日はカクヨム一周年に便乗して、カクヨム書籍化作品を紹介するぞ。

 

 その名はカクヨム書籍化作品ランキング!

 僕が個人的にオススメするカクヨム書籍化作品を5位から1位までピックアップ!

 

5位ガチャに委ねる異世界廃人生活

ガチャにゆだねる異世界廃人生活 (ファンタジア文庫)

ガチャにゆだねる異世界廃人生活 (ファンタジア文庫)

 

 

 かわいい女の子が出て、異世界で、異能を持っていて、ギャグも入っている。最近の流行の要素をしっかり入れた上で面白い。安定している作品です。ガチャを引いてアイテムやスキルを手に入れて、ヒロインたちと事件を起こしたり解決したりする。ラストバトルではギャグ的なかけあいや手に入れたアイテムの伏線を回収してきれいに収束する。ライトノベルらしいライトノベル。

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

 

4位横浜駅SF

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

 

 

 横浜駅が増殖して日本を覆いつくした。日本人は駅の中で暮らすエキナカの人々と駅の外に暮らす人々にわかれた。これだけで読みたくなるでしょ。これを読むと小説家になろうとの差別化を図ろうとするカクヨムの本気度が伝わりますよ。駅に管理された社会で人々がどう生きるのか。そのシュミレーションで描かれる人々や社会の表現には真に迫ったものがあります。

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

 

3位ヒーローは眠らない

ヒーローは眠らない (富士見L文庫)

ヒーローは眠らない (富士見L文庫)

 

 

 お仕事小説の皮をかぶった○○○! 序盤の特撮ヒーロードラマのプロデューサーに任命された主人公が、監督、脚本、スタッフ、役者を集めていって、1羽を完成させるまでの流れとかさ。業界の知識をいれながら人間同士のぶつかり合いも描いてさ。プロジェクトX感があって面白いですよ。ラストの驚愕の事実も必見です。

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

2位平安時代にタイムスリップしたら紫式部になってしまったようです

平安時代にタイムスリップしたら紫式部になってしまったようです (角川ビーンズ文庫)

平安時代にタイムスリップしたら紫式部になってしまったようです (角川ビーンズ文庫)

 

 

 カクヨムで一番、王道でストーリの流れが上手いのがこちらですね。イケメンに囲まれてどうしよ~ってさ。主人公が一番幸せな瞬間を描いた上でさ。こうなったきっかけとなるタイムスリップの場面。王子様との出会い。王子様が抱えている問題を解決しようとしようと頑張ったら、あれ? わたし紫式部じゃんってはなしなわけですよ。ネタバレだって? 大丈夫! 序盤とタイトルでラストのネタバレがしてあるから。だからヒロインのピンチも安心して読めます。平安時代の時代考証も古典作品の愛もある! 時代物が好きな人もラブコメが好きな人にオススメです!

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

 

1位 うさぎ強盗には死んでもらう

うさぎ強盗には死んでもらう (角川スニーカー文庫)

うさぎ強盗には死んでもらう (角川スニーカー文庫)

 

 

  2度読んでも面白い! 複数の視点が交差する群像劇。カクヨムネット小説大賞ミステリー部門受賞作です。基本、スマホで読み、1話1話ちょっとずつ更新されるネット小説でこれが大賞の一つとして選ばれるってすごいですよ。濃いキャラクター、コミカルな会話劇。明らかになるなぞに驚き、思わず二度読み返す。絶対読むべき作品です!

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

 

 オープンされて1周年たった小説投稿サイト、カクヨム。

 大賞作を見ていくと。選ばれた作品からはなろうからの脱却、革命の兆しを感じます。これからもぜひウォッチしていきたいです!

 

 カクヨムに投稿されている俺の作品もぜひ読んでね!

kakuyomu.jp

私、能力は平均値でって言ったよね! 4巻について

小説家になろう ネット小説 カクヨム まとめ

 この前、『私、能力は平均値でって言ったよね!』の4巻をよみました。

 

 この作品はこんな話です。

 

 アデルって貴族の女の子がさ。10歳のある日、頭痛とともに転生者としての記憶を取り戻す。そうだ、わたしはアデルとして生まれる前は海里って名前の女の子で、まわりから天才と呼ばれていたのが嫌だった。だから神様に次に生まれ変わるとしたら普通の女の子にすべて平均値の女の子に生まれ変わらせてほしいって願ったんだと。だけど、なにかおかしい。魔法は得意だし、成績はトップ。力もコインを片手で曲げれるくらい。そっか平均値ってことはエルフやドラゴンを含めての平均なんだ! ってそんなのわたしの求める平均じゃないよ!

 

 1巻から3巻の流れがさ。ふつうの女の子になりたい少女がさ。チートを持ちつつもそれを隠そうと考え、隠せてたと思っていたんだけど、周囲から見たらバレバレだよってはなしだったんですよ。この辺の話もさ。可愛いし、面白いから是非読んでほしい。主人公の希望と周囲の流れの認識のズレとさ。目立ちたくない、評価されたくないのにしてしまうってのがさ。彼女の天然さとにじみ出てしまう人柄の良さ、かわいげみたいなとこがさ。語らずとも読み取れてしまうからさ、読んでてニヤニヤしちゃうんだよね。

 

 4巻からさ。そのふつうであろうとする少女の話ってのがさ。ある強敵との戦い。この世界に隠された秘密に触れたことでさ。一区切りついてさ、新しいテーマ、ストーリーに移行している巻だと思うんですよ。

 

 彼女さ。今回、こういうこと考えるんですよね。

 

引用

……自分は、普通の幸せが欲しかった。

でも、よく考えてみれば、自分が考える『普通』は、この世界の者にとっての『普通』なのだろうか。

 

 彼女が自分が転生前に思い描いた「ふつう」という幸せ。それを自分の能力が他の人と同じ平均値であれば手に入るはずだと考えていた。だけど、すべての平均値の結果、手に入れたのは普通ではない自分だった。だからこそ、彼女は自分の求める普通の少女を演じようとするも。周囲からは自分が望んだようなふつうの評価が得られない。

 

 この作品はさ、ふつうであることとふつうになりたいは違うっていうさ。モブサイコとかで触れているテーマを。ギャグ全開でやってる作品なんですよ。

 

 僕らはさ。子供の頃にさ。ふつうの人になりたいっておもうじゃん。ふつうに生きて、ふつうに勉強して、ふつうの大学にはいって、ふつうに結婚したいって。だけどさ、そのふつうってじつは難しい。なぜなら、僕らが思春期に考えるふつうってのはさ。けっして、ふつうじゃないんだよ。

 

 クレヨンしんちゃんのさ。野原ひろしとかマスオさんとかいるけどさ。大人になったら、ああいうふつうの大人になるのは難しいんだってわかるじゃん。

 

 僕らが痛みを伴って知っていく思春期に憧れた「ふつう」のスゴさを彼女はギャグ空間で知っていった。そのうえで、彼女は自分がふつうに生きたいと考えていた時に思っていた。その言葉の裏を知っていくんだよな。

 

 自分はふつうに友達と仲良くしたい。

 自分はふつうに冒険したい。

 自分はふつうにおいしいものを食べたい。

 

 じつはふつう、ふつうと言いながら。じつは自分が欲しかったのはべつのもので。それをふつうではない自分でふつうでない方法で手に入れていた。この気づきを何度もしているのが1巻から3巻の流れでさ。今回は仲間が危険にさらされ、世界の危機を知ったことでそれがピークに達した。

 

 今回、主人公がある決断をしてパーティーから離れようとしたけど、ギャグにオチたって展開あるけどさ。その時の彼女の心の流れ。テーマの決着ってのを言語化するとさ。そういうことなんだと思うんだよ。

 

 だからさ、こっからが気になるんだよ。ふつうであることをやめた女の子が、迫ってくるかもしれない危機にどうやって立ち向かうのか。続きが気になる。是非出てほしい。ウェブ版も応援してます!

 

私、能力は平均値でって言ったよね! 4 (アース・スターノベル)

私、能力は平均値でって言ったよね! 4 (アース・スターノベル)

 

 

 

ネタバレ注意!ひるね姫を観ました

 ひるね姫を観ました。

 

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あらすじ

 高校生のココネはある夢を見ていた。それは自分がハートランドのお姫さまになる夢。お姫さまは魔法のタブレットで機械に命を吹きこむことができた。だけど、ハートランドの外から姫の力を狙うオニが現れ、国から危険視されたお姫さまは大臣からタブレットを奪われ、ガラスの塔に幽閉されることに。このままじゃダメだ。わたしが鬼を倒すんだ。そう奮起した彼女は、城の外に飛び出し、魔法の力で鬼を倒そうとするも……

 そこでココネは目を覚ます。最近、同じ夢を見るなと思うココネ。もうすぐ夏休みがはじまる一学期最期の学校の帰り道に、彼女は父が逮捕されたことを知る。そんななか、父がココネのスマホに残したメッセージは、タブレットを守れ。夢の中でみたタブレットと同じだと驚くココネに、一人の怪しげな男がタブレットを奪おうとする。その男の顔はお姫さまからタブレットを奪おうとした大臣その人だった。

 ココネの夢と現実がシンクロする時、父と母の隠された思い出が明らかになる!?

 

 まず絵がきれいなんですよ。けっこう複雑な話しだからラストまでちゃんとみないとよくわからなくなるんですけどね。

 

 女の子の動きだったり。ロボットの動き。ハートランドの描写。車の描きこみ。すべてが丁寧なので、話の中身を推測したり、読み取るまでかなり時間がかかるのに面白くみることができました。

 

 特にさ、ココネちゃんがメッチャ可愛いんだよね。目鼻立ちの整った美人さんでさ。でも、眠そうな時はキツネのように鋭くなる。顔立ちがお母さん似で目元はお父さん似なの。

 

 このへん、今回のはなしでは重要なんですよ。なんてったって、今回のはなしはココネちゃんのお父さんとお母さんの出会いの話ですからね。

 

 今回はネタバレしなきゃ話せない話ですから注意してくださいね。

 

 簡単に言うと思い出のマーニーだったんですよ。ココネが寝るたびに見る夢、それは幼い頃、お父さんが何度も話してくれたおとぎ話の内容だった。タイトルはエンシェンとハートランド、ココネはずっとその物語の主人公は自分だと思っていた。しかし、騒動の最中、現実とシンクロしつつある夢を通して、それがお母さんとお母さんの会社の話を寓話化したものであることを知るんです。

 

 ココネのお母さんは、ある自動車会社の娘さんでさ。ココネのおじいちゃんの跡を継ぐためにさ。アメリカの大学も出てるんだよ。んでさ、娘さんはさ。会社の未来のために自動運転技術を研究しようとしてたんだよ。だけど、おじいちゃんは大反対。ソフト屋に頭を下げるなど日本の自動車会社の破滅だ! もういい!  お前など会社から出て行けぇ! 

 って話になって、出ていったお母さんは一人で自動運転技術を研究しようとしたお父さんと出会い、仲間を得て、ココネを産んだ後で自動運転技術の実験中に死んじゃいましたって話らしいんだよ。

 

 自動車に命を吹きこむ魔法ってのがこの自動運転技術でさ。大臣はさ、この魔法を使ってさ。王座に、つまり社長の椅子に座ろうとしたってのが今回のはなしなんだよね。

 

 面白かったですよね。魔法だと思えたひとつひとつの出来事に理由があってさ。一人の少女が真実を知って大人になる。

 

 素晴らしい映画でした。

 

 

小説 ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ (角川文庫)

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「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」公式ガイドブック

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ひるね姫 オリジナルサウンドトラック

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  • アーティスト: サントラ,ジョン・スチュワート,ZERRY,下村陽子
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異空菓子処「ノンシュガー」について

ネット小説 カクヨム 小説家になろう

 さて、今回紹介する作品はこちら、『異空菓子処「ノンシュガー」』です。

 

あらすじ(アマゾンから引用)

目が覚めると、知らない場所でした。いいえ、それどころか、私には一切の記憶がありません。覚えているのは、お菓子を作ることだけ。目の前に現れた案内人(?)は、悩みを抱えた人だけが迷い込むという、この不思議なお菓子屋さんで働くことで、記憶が戻るというのですが…。日常から少し外れた菓子処で、人とお菓子が紡ぐ物語。―さて、本日のお客様はどんな方でしょう?

 

 一つの舞台、一人の少女を中心とした短編集ですね。ほぼ同じ形式で書かれています。

 

 まず、一人の登場人物が現れる。その人はなにか悩んでいる。するとある日、その人は謎のお菓子屋の前に立っている。はて、こんなところに菓子屋があっただろうかと思うも、せっかくだからと店に入ると、一人の少女が。

 彼女は無料で一品、お菓子を振る舞う。食べたお客さんは少女と会話が弾み、つい自分の悩みを少女に喋る。

 すると少女はお客さんに出したお菓子になぞらえてお客さんの悩みを解決する手立てを語る。

 

 これ、何かと言えばさ。美味しんぼなんだよな。あれもさ、この〇〇みたいに俺も頑張るゼみたいな話、ときどきあるんですよね。

 

 ひとというのはさ。なにか悩みだったり、問題だったりをたとえ話にして語るってのはよくあるし、したがるもんなんだけどさ。この作品はそのたとえが上手いんだよね。

 

 それとさ、この話さ。お客さんの悩みを解決すればするほどさ。お店に材料が追加される仕組みになってるの。最初は卵と牛乳と砂糖しかなかったんですよ。そこから、バター、生クリーム、フルーツと話を追うごとに増えてくの。ネット小説特有のさ。積み重なっていく成果の可視化ってのもおさえているんですよね。

 

 材料が限られていて。お客さんの悩みを菓子で解決する。これさ、作者に豊富なお菓子の知識がないとなかなかできないんだよ。そこがさ、すごいんだよね。

 

 お菓子で人の悩みを解決する。その流れを繰り返しながら。明らかになっていくのが、少女は記憶をなくす前、なにをしていたのか。この謎の一本の軸にしている。

 

 甘いスィーツで心を溶かす人情話でありながら、自分とはなにかを問い続ける思春期の悩みをテーマにしている。そして、それの答えがさ。わたしのやりたいことってなにか。それは自分のお店でお客さんにお菓子を出すことにつながる。自分とはなにかを問い続けると、自分の好きなものに行き当たり、その好きなものを通しての人間関係で自分を知る。これ、僕らにもよくあることです。

 

 これはそういう話でさ。綺麗にまとまったいい作品でした。読んでて甘いもん食べたくなったもん。

 

 

 

異空菓子処「ノン・シュガー」 (カドカワBOOKS)

異空菓子処「ノン・シュガー」 (カドカワBOOKS)

 

 

 

重装令嬢モアネットについて

ネット小説 小説家になろう

 

 さて、今回紹介する作品はこちら、『重装令嬢モアネット』です。

 

あらすじ

「お前みたいな醜い女と結婚するもんか!」幼い頃の婚約者の言葉がトラウマとなり、全身に鎧をまとった令嬢・モアネット。年頃になっても一人(と一匹)で暮らしていた。そんな時、元婚約者の王子とその護衛騎士・パーシヴァルがやって来る。なんでも、王子が不幸に見舞われ過ぎており、原因はモアネットの呪いだと告げられて…!?「素顔は見せません!」「この鉄塊が!」心は乙女の鉄塊が魅せる、究極のラブ・コメディ!

 

ゼロよりむしろマイナスからのスタート

 ラブコメディとして、かなりうまいつくりになってますよ。まず、「お前みたいな醜いオンナと結婚なんかするもんか!」と王子に言われたから、鎧を着ることにしましたってとこからはじまるんだけどさ。つまり、マイナスからのスタート。だからこそ、護衛騎士のパーシヴァルと関係が進んだ時にカタルシスを感じる。

 

 でさ、話の肝が王子さまにかけられた呪いをだれがかけたのか。その呪いを解こうって話なんですけどね。

 

 でも、それだとこんなこと言う王子なんかっていうヘイトが出る。それをですね。この作品では呪いで不幸に見舞われすぎる王子って属性を足すことで、そのヘイトをギャグに転換している。

 ざまぁって笑っているあいだに、現在の王子のひととなりを知っていき、一人の人間としてコメディの登場人物として楽しめるようになってくるんですよ。

 

 つまり、王子がいい感じに空気になってくれるんですね。

 

 荒木飛呂彦さんの自身の創作術を書いた本。『荒木飛呂彦の漫画術』でさ。マイナスの状態から少しずつステップアップするように書くのが王道的なおもしろさだって、荒木さん言ってるんですけどね。この作品も丁寧なヘイトとギャグのバランス調整で、うまくストーリーを動かしている。

 

呪いをだれがかけたのか

 で、読み進めていくとですね。どうやらモアネットは魔女の家系で一定期間呪いを解く札もつくれる。また、魔女は他にもいて同じ魔女が訪れたら歓迎しなくてはいけないらしいってのが僕らにもわかってきてですね。

 

 王子とパーシヴァルもですね。それじゃあ、隣国に別の魔女がいるからモアネット、俺たちと一緒に来てくれってはなしになるんですよ。

 

 虫がいいじゃねぇかってさ。僕から聞いた話じゃ思うじゃん。違うんですよ。読んでるとですね。こいつじつはいいやつなんじゃねえかなってうすうすおもうんですよ。

 うすうすってのはさ。つまり直接は言っていない。この王子、呪いかなんかで言わされたんだろうなってでっかい釣り針がさ。この作品にはゆらゆらと目の前でぶらさがってんだよ。

 

 そのくらい王子がいい人すぎるんだよな。あらすじを読んだ時はさ。俺様系をイメージしてたからさ。てっきり表紙の右上のヤツが王子かとおもうじゃん。ちがうんだよね、ネコを頭に乗せてるさ。細い目のヤツが王子なんだよ。

 

 だからこそ、違和感が生じる。モアネットの過去の出来事が本当に起きたのか。それはモアネットが感じた通りの出来事なのかって疑っちゃうんですね。

 

呪いを解く話  

 

(引用)

 彼の言わんとしていることは分かる。市街地で見たアレクシスに対する周囲の態度はあからさまを通り越し、なにか尋常ではないものを感じさせた。まるでアレクシスを囲む全ての人間が一晩にして入れ替わったようではないか。

 元々アレクシスに恨みがあったモアネットでさえ、これはおかしいと思えるほどなのだ。

 これも呪いか。だがどこまでが呪いなのか。

 

 誰が、誰を、いつから、どう、呪っていたのか。

 

 

 さいさん、言った通りこの話は呪いの話です。誰が呪いをかけたのか。誰を呪っていたのか。いつからか。どんな呪いか。この作品はそれを問い続けている。

 

 おもしろいのは、この作品で語られている呪いってのがさ。王子の不運の呪いみたいな直接的な意味合いだけでなく、重装令嬢モアネットのような。幼い頃のトラウマによる心理的な呪いも描いていることだ。

 

 モアネットの話は僕らにも身近な話なんですよ。

 

 今からたとえ話をふたつしますね。

 

 たとえばさ、政治家がちょっとしたことで炎上してさ。政治家やめるって話あるじゃないですか。でさ、何年かたった後さ。今のやつもそんな大したことないし変えなきゃよかったなとかおもうわけですよ。個人名出すとザワッとするから言わないけどさ。

 

 あるいはさ、クラスでさ。誰かがキミの悪口を言ったとしてさ。それがキミの知らないとこでひろまってさ。キミはそういう人間だったことになる。否定しても、もう遅い。まわりに言われるうちにその言葉はキミの心になじんで、キミ自身をそういう人間に変えてしまった。

 

 そういうことってない? 俺はありましたよ。

 

 この作品は、二つの話がどっちも同じだって言ってるようにみえるんですよね。政治家の噂はさ。じつは僕らの意思でやってるようで、それも権力争いの延長でさ。じつは誰かに動かされた形でその政治家をこき下ろす空気にされている。

 悪口によるクラスヒエラルキーの変化もさ。だれかがキミを悪くいようとしたわけなんだよ。

 この二つの話がさ、個人が、あるいは組織が誰かを貶めようとしているから起きる「呪い」という言葉の上では同じなんだ。そういう話なんですよね。

 

 

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

 

 

 

重装令嬢モアネット (角川ビーンズ文庫)

重装令嬢モアネット (角川ビーンズ文庫)

 

 

 

  

 

この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる

ネット小説 カクヨム

 さて、今回紹介する作品は、『この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる』です。

 

あらすじ

超ハードモードな世界の救済を担当することになった駄女神リスタ。チート級ステータスを持つ勇者・聖哉の召喚に成功したが、彼はありえないほど慎重で…?「鎧を三つ貰おう。着る用。スペア。そしてスペアが無くなった時のスペアだ」異常なストック確保だけに留まらず、レベルMAXになるまで自主トレし、スライム相手に全力で挑むほど用心深かった!そんな勇者と彼に振り回されまくる女神の冒険譚、開幕!

 

 文字通り、スペックが異様に高い俺TUEEEな勇者が、ありえないほどの慎重さで異世界を救う話です。

 『この勇者、俺TUEEEくせに慎重すぎる』で 注目すべき点は二つあります。一つは、女神の一人称によるおれTUEEEもので、二つめは作者が凄惨なグロ描写に重きを置いている点です。

 

女神の一人称による俺TUEEEもの

 この作品、最後まで女神の一人称で話が進むんですよ。他ではあまりみないですよね。

 

 女神のリスタは神でありながらもイケメンの主人公にこころを動かされたり。主人公にいいように使われてしまう。神であるのに人間味のあるいわゆる駄女神の属性を持つキャラクターです。主人公にふりまわされるこの子は読んでてかわいいです。

 

 リスタは、今まで異世界転生した勇者をサポートすることで、何度も世界を救った立場であるため、ふつうはそんなことしないだろっと主人公にツッコむことができる。つまり、異世界転生ものを読み慣れている僕らが乗れるキャラなんですね。

 

  であると同時に、駄女神属性をもつ彼女は。異世界転生もうええねん!って考える俺らが見下せるキャラでもあるんです。異世界転生もうええねんの話は下の記事でしています。

 

kamizimaryu1026.hatenablog.com

 

 異世界転生ものに食傷気味な僕らは、勇者だったらこうあるべきと考える女神のリスタに対して、こう思うんですね。いやいや、そんな上手くいかないって。俺が魔王だったら、スライム狩ってレベルあげるとこなんて待たねぇし。俺TUEEEとかないからと。異世界舐めんじゃねぇよと。

 

 異世界転生慣れしている駄女神と異世界舐めんじゃねぇよと入念に準備する勇者。二人のうちのどっちかに感情移入できるようにしているんですね。

 

作者の凄惨なグロ描写

  この作品でもう一つ目立つのがかなり踏みこんだグロ描写。描写というよりも、発想っと言った方が正しいですね。拷問のため生爪を剥がしたり、逆花火だったり。わりかし人が大量に死んだり、助けられるギリギリまで痛い目みてたりするんですよね。

 もともと、難易度S級の異世界を救わなきゃいけないどうしようってはなしだから、そのための絶望感を煽る演出なんだろうけどさ。このへん、ちょっとモヤっとしました。

 

 ただ、これをやりたいからこそ、慎重に行動する勇者というキャラクターが必要になってくるんだろうなとも考えられますよね。俺TUEEEで先を予測して動く勇者がいるからこそ、敵の残忍さをどんどんインフレさせることができる。ネット小説のセオリーである読者にストレスをかけないってとこと残忍な描写、絶望的状況のバランスってのをうまくギャグや主人公の俺TUEEEで釣り合いをとって描いています。

 

竜宮院聖哉(りゅうぐういん せいや)は何者か

  読んでいて気になるのが、召喚された勇者、竜宮院聖哉が何者かっですね。読んでいると、どうやらリスタの先輩であり、ベテラン女神のアリアドアは彼のことを知っているらしい。

 

 彼女は意味深なこと言ってるんですよね。

 

(引用)

「アリア。いつも本当にありがとう」

「いいのよ。このくらい。私が出来ることは何でもしてあげたいの。それが私のせめてもの……」

「……アリア?」

 真剣な表情で何事かを言いかけていたアリアは、そこで口をつぐんだ。

「いいえ。何でもないわ」

そしてアリアはいつものように優しく微笑んだ。

 

 私のせめてものって言いかけて、続く言葉といえばもちろん罪滅ぼしでしょう。作中でアリアドアは300の世界を救ったけど、一つだけ救えなかった世界があると言っている。このへんから察しがつくように。たぶんその救えなかった世界で召喚された勇者が竜宮院聖哉で、その経験から慎重すぎる異世界俺TUEEEをやっていると考えられますよね。

 

 この過去話がいつ明らかになるのか。これから楽しみです。

 

この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる (カドカワBOOKS)

この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる (カドカワBOOKS)

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ注意! ギャルスレイヤーだけどギャルしかいない世界に来たからギャルサーの王子になることにした


 カクヨムの書籍化ラッシュをきっかけにネット小説の紹介ブログをはじめてからはや2ヶ月。

 今日はネット小説でなく、最近出版されたライトノベルを紹介させてください。

 

 さて、今回紹介する作品はこちら、『ギャルスレイヤーだけどギャルしかいない世界に来たからギャルサーの王子になることにした』です。

 

あらすじ

伝説的カリスマギャルを姉に持つ奈々倉瑠衣。姉への複雑な思いはいつしか怒りに変わり、漆黒の『ギャルスレイヤー』として渋谷・原宿に降臨するようになる。ある日、願いが通じたのか突然渋谷・原宿が滅亡した・・・・・・。1台のプリクラ機を残して。ギャルの聖地化した『神のプリクラ』を破壊すべく三号玉の花火を持ち、原宿に立つギャルスレイヤー。しかし誤って自分に発射してしまい瑠衣は命を落としてしまう。その後転生をした瑠衣が目覚めたのはギャルしかいない異世界「サヴァンギャルド」だった。

 

 この作品の魅力はおもに三つ。

 独自の世界観と卓越した文章力、話の構成力です。

 

独自の世界観について

ギャルのカリスマ、マルコの圧倒的な女子力によってつくられたギャルのための世界、サヴァンギャルド。ファンタジーの世界にいるキャラが全員ギャルだったらって世界なんですけどね。その発想も尊いんだが、それを支える想像力がすごいんです。

 

この話さ。魔法って概念をさ。女子力って言い換えてんだけどさ。これの呪文なり魔法なりがカッコいいんだよ。

 

 たとえばさ、シェリリー・シュシュってキャラがいんだけどさ。その子さ。魔法使う時さ。この子の目の前にクリスタル製のドアが現れるの。そのドアをさ。蹴るように足突っ込むとさ、「膝丈までの長さのあるトップス。レギンスに描かれた、祈りの形に組まれた手が鎖に繋がれたようになっているワンポイント柄」になるんだよ。つまり、足がオシャレな服みたいな装備になってんだな。

 それの名前がさ。「シフォン地ショートトゥニカ。ゆる敬虔ティストなレギンスを添えて」。仮面ライダーとアイカツを混ぜたかのようなアクションに加えてのさ。オシャレなカフェの長いメニューっぽい服の名前を混ぜ合わせた技名!  小学生のころ、ウィンドウブレーカーってかっこいいよなって思ってた俺にとってはさ。マジパネェんだよ。

 他にもさ。ファンタジーをギャルに置きかえたらってのをかなりうまく描いてます。

 

 

卓越した文章力について

 とにかく文章力の高さがすごいですね。

 すべての描写が写真でなく、映像で書かれている。なのに一文一文が短い。すべての地の文がまるで洗練された俳句のようなんですよ。

 

引用その1

ミサが最後に振り返った時、そこに奈々倉瑠衣の姿は無かった。

窓の外へ吹きこぼれていたカーテンが、部屋の中に戻って来るところだった。

 

 ライトな文体で思春期の少年の心の揺れ動きを描く。最近じゃ、それだけがライトノベルの仕事ではないのだけれども。この作品は話と話をつなぐあいだの文もしっかり書いて絞るべきとこは絞り、キャラの動きっていうのもちゃんといれて書いているんですね。しかも、そのライトノベルの枠の中で濃淡を使いわけてきれいな風景描写、心理描写、キャラの関係性の変化を描いている。

 

引用その2

 ミサの瞳が、黄金を溶かすほどの熱さを宿しているように見える。

 金の装飾具達は、桜の花びらが舞う速度で、あるいは泥中に蓮が飲まれていくようにゆっくりと、降り注ぎ続けていた。

 

 一見すると、幻想的なシーン。だけど2回目で読むと。じつはキャラクターの心の闇や。その後の悲劇を予感させるような描写。ギャルスレイヤーは、ここぞって時にライトな文体でたくさんの意味を一つの文に圧縮している。そこがすごい。どこをめくっても名文がある。そこがこの作品のスゴイとこですよ。

 

 

話の構成力

あと、この物語を二度読んでも面白くさせているのが、 二章に書かれているハンバーガーのエピソード。序盤だとさ。一見、ライトノベルの一番シリアスな場面なんだろうなっておもうんですよ。違うんですよね、このエピソードがあることで作品全体をラストまで誤読させてしまい要因になってるんですよね。

 

  しかも、このエピソードが。後々の携帯小説のくだりをギャグとして読めるようにしてしまう。二章で兄弟間の確執の原因がハンバーガーにあると考えてしまうとさ。ついつい、あの時マルコはこう考えていたんだのほうに目がいってさ。後半のじつはもっと大事な部分を見落としてしまう。

 前後の文章で、一つの文章に対する意味合いが180度変わってしまうって手法をさ。あそこまで鮮やかに見せられるとはおもいませんでしたよ。

 

 話の構成、伏線の回収のしかたもきれいなんですよね。このはなしのこれ伏線だったんだうまいなってとこがさ。この5つなんだよ。

 

①自転車  一章

②ユーチューバー 一章

③ハンバーガー屋 二章

④携帯小説  七章

⑤イカスミピザ 八章

 

 これの伏線が回収されるのがさ。⑤が十章、④と③が十一章。②と①が終章。目次を直接書くとこう。

 

 

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 伏線が回収される流れが外側から内側に狭まっているように。入れ子型に回収されていくからさ。頭の中でゴッチャになんないんですよね。そこがさ、きれいなんですよね。

 

カテゴライズされない自分

 この話はさ。テーマもいいんですよね。弟と姉の和解。それがさ、ギャルとオタクとの和解になるかとおもいきや。じつは徹頭徹尾、一人の自意識の暴走。思春期の終わりを描いている。

 姉と弟のあいだで起きたさ。ギャグかと思っていた聖書のくだり。そこがさ、じつはさ主人公の闇の部分につながってんですよね。

 このへんがさ、涼宮ハルヒの一巻でやっていたアプローチをさ。別の形でやったなとおもいました。涼宮ハルヒはさ。特別な人になりたいと願いその延長線上で巨人を使って世界を壊す道を選ぶわけですね。この話の主人公もさ。姉に否定されて傷ついた三年間。それを継続させる形で宿ってしまった憎しみを肯定するために巨人を産んでしまう。じつは自分の闇と向き合う話だったんですよね。

 それで、最終的に主人公はその巨人を受け入れてさ。「女神も追ってこれない休日が、はじまる」。過去との決別ってのを神話で、しかもギャルでやってるってのがスゲーんだよな。

 

 

ギャルスレイヤーだけどギャルしかいない世界に来たからギャルサーの王子になることにした (HJ文庫)