さて、今回紹介する作品はこちら、『性別不詳vtuberたちがオフ会したら俺以外全員女子だった』です。
書籍情報
著者:最宮みはや(twitter:https://twitter.com/mihayasaimiya)
イラストレーター:あやみ(twitter:https://twitter.com/ayamy_garubinu)
ASIN: B0CPDQW2F3
出版社 : KADOKAWA (2023/12/20)
発売日 : 2023/12/20
もくじ
ラブコメたっぷりなvtuberもの
本作はタイトル通り、性別不詳Vtuberがオフ会したら俺以外全員女子の話です。
主人公の栗坂恵は、見た目と声が中性的。幼馴染のイラストレーターのプロデュースでvtuber、甘露ケイになる。彼女の勧めで、性別を明かさずにvtuberをはじめる。活動していくうちに登録者数は安定的に増え、コラボする仲間も増えていく。その中でも、同じように性別不詳のvtuberたちと仲良くなる。そのグループはいつしか、リスナーから「性別不詳組」と呼ばれるように。甘露ケイとして活動する栗坂恵はコラボする藤枝トモから強い友情を感じるようになる。そんなトモから「性別不詳組」でのオフ会を提案される。
藤枝トモは普段から小学生男子のようなセクハラ発言を繰り返すキャラであったため、暗黙のうちに、トモを含めたグループのみんなを男性だと考えていた主人公はそれを了承し、オフ会に参加する。
しかし、オフ会で出会った相手は全員女性であった。
強い友情を感じていたトモも男性でなく、清楚な女性であったことに驚く主人公。出会ったばかりのトモこと、志藤留依は栗坂恵にとって不可解な行動ばかりとるが、彼はそれを女性と勘違いされていて、男性だったことにショックを受けたためだと誤解しながら、女性であった彼女と話し合い、変わらぬ関係を誓う。
しかし、そのやり取りは彼女にとっては告白のようなものと受け取られ、両者すれ違いの関係がはじまった。
ラブコメ要素がたっぷりはいった面白い作品です。Vtuberを扱っていますが、内容としては【オンラインゲームを舞台にしたラブコメ】と【お前女だったのかモノ】のいいとこどりの展開はワクワクさせられました。
ヒロインの志藤留依がかわいい
メインヒロインである志藤留依がとてもかわいい。彼女は日常でのペルソナはおとなしい内気な女の子ですが、vtuberでは下ネタをしがちな性別不詳。栗坂恵とのやり取りでのボタンの掛け違い具合はコミカルで可愛いです。恥じらいながらも主人公にアタックする姿はムッツリ感がありかわいい。1巻のストーリーラインは、性別不詳組のアマネ・エーデライト(入江栞莉)と三宅猫ミイ(西園寺令)のvtuberと日常の兼ね合いの中で起きる悩みを解決する話が展開されるのですが、志藤留依の暴走は彼女たちの悩みでシリアスになりそうな場面を緩くする重くなりすぎないようにしてくれます。
彼女の暴走は可愛くコミカルでありながら、物事の閉塞感を打開する一手につながっている。ここがヘイトを買わずに可愛さだけを摂取できる塩梅でとても推せます。
女の子の悩みを解決していく
1巻は、同じグループのvtuberである入江栞莉と西園寺令の悩みを解決する話となっています。それはvtuberとしてのペルソナと日常を生きる彼女のペルソナ。その間となる内面的な揺れ動きに関わるものです。開示されていく設定はキャラクターたちが地面に立っているように感じさせる重量感がありました。そのぶん場合によっては物語がシリアスになりそうな話を、メインヒロインの暴走がうまくそうならないように動かしているし、主人公のその時その時の機転が、主人公の読者の好感度を上げます。
今後の展開が気になる
読み終わって、とても続きが気になる作品です。始終ライトノベルらしい明るいラブコメとして読めたと同時に、退屈さを感じさせない起伏がありました。vtuberものは、vtuberのもつリアルさに寄り添えば寄り添うほど露悪的な要素が出そうになるものですが、本作はそういったものがなく、最後までラブコメとして楽しむことができたことがとても好感を感じました。
また、ラブコメが進みながらも、主人公の活躍として大きなイベントが起きており、これがこの作品世界での業界にどのような影響が波及し、主人公にどんな試練をもたらすかも気になります。
さらに、存在感の隠しきれない幼馴染のイラストレーターが今後主人公のラブコメにどう関わるかも気になります。
彼女も配信を見ているわけですから、性別不詳組内での主人公とヒロインの関係性の変化に気づいているであろうことは明確で、主人公に好意を抱いているであろう彼女がどんな行動を起こすのかが気になります。
とても面白い作品でした。続きが気になります。