そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『時々、守護(まも)らなければいけない軍事国家のお姫様転校生サーシャさん』について

 今回紹介する作品は、『時々、守護(まも)らなければいけない軍事国家のお姫様転校生サーシャさん』です。

時々、守護(まも)らなければいけない軍事国家のお姫様転校生サーシャさん (美少女文庫)

 本作は次のような話だ。
 ヒロインのサーシャは、軍事国家のお姫様。
 主人公のマモルの父は海外を股にかけてボディーガードをしている。
 父と離れ、日本で一人暮らしをしていたマモルのもとにサーシャがやってくる。
 サーシャの国でクーデターが起きたため、彼女はボディーガードの息子であるマモルを頼って逃げてきた。
 そこから二人の同棲生活が始まる。
 異国でひとりぼっちとなったサーシャは、マモルと身体を重ね、恋仲になっていく。

 恋愛要素がしっかり描かれている。
 強そうな見た目のサーシャがみせる弱い面のギャップがいい。主人公だけがたよりのシチュエーションで精神的な弱さを見せているところに庇護欲がそそられる。

 お姫様と従者の関係も、主人公側の優越感よりも身分違いの恋という要素が強い。クーデターの期間中匿うというシチュエーションは、いつ事態が急変するのかわからないというハラハラ感があった。

 性行為を通して、ヒロインとの関係が変わっていくという感じがすごいい。ゆきずりの関係というのがとても官能的だ。

 いつ終わるのかわからない。だからそれまでの間、恋人らしいことがしたい。二人が駆け足で進めていく恋愛はとてもロマンチックだ。

 現代でこういった国があり、そこから逃げてきたお姫様と一般男性が恋に落ちたらどうなるのか。という世界観の構築も丁寧だった。
 読んでて、この作品はフィクションだもんな、と思うような魔法が解ける瞬間が最後までなかった。

 そのため、いつ爆発するかわからない爆弾のようなハラハラを味わいつつ、二人のおぼつかない恋人どうしの恋愛。終盤の激化する事態に合わせるようにハードになっていくプレイに興奮した。