そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『なんでソープに先生が!?』について

今回紹介する作品は、『なんでソープに先生が!?』です。

なんでソープに先生が!? (美少女文庫)

どんな話か

 学生の乙木葉梨は、夏休みに宝くじを当てて大金を得る。当てた宝くじでソープに行くことを決意する葉梨。
 そこで出会った美女、彼女は今日が初出勤で慣れていない様子。
 話していくうちに、彼女の顔に既視感を覚える。なんと彼女は自分の学校の担任の先生、笛有照羽だったのだ。
 彼女はある事情からお金に困り、ソープでのアルバイトをはじめた。風俗の仕組みに疎い彼女は、アフターの意味を理解しないまま、どんなオプションもできる形で契約していた。
 とはいえ、6万も払い、コースが始まっている以上、童貞を捨てたい主人公はここで何もせずお開きにできない。
 彼は先生と性行為をし、最後まで行う。そして、宝くじの賞金を使って、彼女の出勤日は全て予約してプレイを堪能する。
 そうしていくうちに、互いの関係に変化が生じていく。

どう面白いか

 はなしはとても面白かったです。
 ソープには行ったことがないので、主人公の地の文や何も知らなかった先生との会話から描かれるソープとはなにか、はわかりやすく面白かったです。
 教師がソープをやっているというシチュは背徳的でありながら、サスペンスとしての要素も出ている。つまり、タイトルどおり"なぜ"という疑問が物語を読む原動力になります。
 ヒロインがあるピンチに陥る場面では、主人公はこのピンチをどう解決してくれるのか、とハラハラしました。
 本作で提示された問題に対する主人公が出す解決策は決して白黒つけたというものではなく、どちらかといえば黒寄りのグレーだ。
 しかし、それ自体が主人公とヒロインを特異な存在にすると同時にラストの展開に歪な関係の肯定がテーマとして立ち上がっているように感じる。

キャラクターの魅力

 キャラクターもとても魅力的です。
 教師と生徒という関係性は王道で、ある程度舗装されてきた道だ。しかし、2人は一定のテンプレートに縛られたキャラクターとして描かれていない。
 彼らの内面やその先の道筋を知りたくなるように描かれています。
 主人公のサポート役として描かれるソープ店店長もとても魅力的なキャラクターだ。
 いわゆるミステリアス。ノーネームドキャラでありながら、作中を通じてとても印象に残っている。

どうエロいか

 主人公は『楽して楽しく』がモットーの男の子だ。ゆえに、ソープの相手が先生であってもガツガツいく。
 一方、教師の笛有は奥手で初心な女性だ。そんな人が主人公にいろいろなプレイを仕込まれていく。
 1人の男性により自分のなかの蕾がひらいていく。その変化の過程はとても官能的だ。
 ソープとはどういった仕組みのお店か。という点もわかりやすく描かれている。
 エロが、ただエロいというだけでなくキャラクターとのコミカルな会話の上でのエロとなっていて面白く読めました。

 オススメの作品です。ぜひ読んでみてください。