そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『恋する奴隷エルフちゃんは絶対に解放されたくない』について

今回は『恋する奴隷エルフちゃんは絶対に解放されたくない』について紹介します。

恋する奴隷エルフちゃんは絶対に解放されたくない (美少女文庫)

ガレイとエルフィーナ

どんな話か

 エルフィーナは幸せだった。彼女はガレイの家に仕える奴隷である。
 魔術師としての才を持っていた彼女は白狼騎士団の団長であるガレイをサポートしていた。
 騎士団は人々からの依頼を受けて、魔物たちと戦っている。
 ガレイは部下から尊敬され、周囲に対して優しく接している。
 彼の奴隷であるエルフィーナは騎士団に欠かせない高待遇で迎えられていた。
 階級としては奴隷であっても自由があり、お給料も出ている。魔物を討伐後はガレイとおいしいものを食べている。
 主人であるガレイとの関係も良好だ。彼女は今の暮らしに満足していた。
 そんななか、ガレイから告げられる事実。エルフィーナはもうすぐ借金を返済する予定であり、彼女は奴隷から解放されて、もうすぐ自由人となるのだ。
 奴隷でなくなってもガレイのもとにいたいと考えている彼女。しかし、プライドの高い彼女はそのことをガレイに打ち明けられずにいた。
 ガレイの奴隷解放を食い止めるために、えっちな誘惑でガレイを自分に依存させることを思いつく。

どこが面白いか

 ヒロインのエルフィーナがとてもかわいく、主人公のガレイも好感がもてる人物です。
 だからこそ、このじれったい関係性はどうなるのだろうと思いながら読み進めました。
 また、舞台はファンタジーで、彼らは魔物たちと戦う合間の日常パートでセックスしています。
 その魔物の特性と性行為につなげる導入の練具合もとてもよかった。
 エルフィーナとガレイは互いが互いを悪く思ってはいないのですが、どちらも性格的な理由で恋愛に発展しない。
 しかし、外部からの圧力で二人の関係性は急激に進んでいく。
 その動かない山がついに動いたかのような展開は読んでいてカタルシスを感じました。
 

キャラクターの魅力

 ヒロインも主人公もどちらも魅力的な人物として描かれています。
 騎士団長のガレイの評価と魔術師のエルフィーナの評価。そんな二人は一緒に食事に出かけるほど仲がいい。
 階級上は奴隷とはいえ、エルフィーナは今の生活に満足している。そういった前提を描写した上で、その均衡を崩すのが彼女の奴隷解放だ。その事件が起点となって物語が動く点がとてもいい。
 そのうえでガレイをおとしたいエルフィーナと、彼女の思いに気づかない真面目なガレイとの噛み合わない会話はとても面白い。
 今までなんで恋愛関係にならなかったのがわかります。日常パートがとてもコミカルに描かれていて読んでいて楽しいです。
 

どこがエロいか

 この話は自身の奴隷解放を阻止したいと考えるエルフィーナが、自身に依存させるためにエッチなことで主人公を誘惑する。真面目で朴念仁な主人公はエルフィーナのおもいどおりにいかない。
 それでも諦めない彼女の機転や偶然により、ついに性行為にいたり、ズルズルと回数を重ねていく。
 エルフィーナが主人公を誘惑するためにあれやこれやを行おうとする思考自体が既にエロい。
 性行為シーンにいってからの、エルフィーナの態度もいい。
 周囲からは奴隷であってもプライドの高いエルフのお姫様として映る彼女。
 そんな彼女は、主人であるガレイに対して、自分は奴隷なのだからガレイの好きなように使っていい、と誘惑する流れはとてもエロいです。エロ描写をはさみながらも、真面目にファンタジー世界の騎士団としての活動も描かれていたので、この事件がどうエロシーンにつながるのか、というワクワク感がありました。

 オススメの作品です。ぜひ読んでみてください。