そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『灼炎のエリス』について

 今回紹介する作品は『灼炎のエリス』です。

灼炎のエリス 私、勇者やめて雌豚になります! (美少女文庫)

もくじ

どんな話か

 勇者エリス、しばらくの休職届を出す。彼女は勇者としてさまざまな任務にあたっていた。周囲に強気に接し、美人ではあるが他者を寄せ付けず、浮いた噂はない。
 大臣であるキリュウは彼女の休職理由を知る。任務先で魔物たちにつかまり、「オークの精子」を塗られた。
 これにより彼女は常時発情する身体になり、一日中チンポのことしか考えられなくなっていた。
 キリュウは、休職中、自分のチンポの世話をすることを彼女に求める。はじめは強気に断る彼女だったが、チンポのことしか考えられなくなっている彼女は、処女を奪わないことを条件に任務を受ける。
 しかし、キリュウに奉仕するうちに身体が疼き、自分から処女を奪ってほしい、とねだってしまう。
 男性器による快感を知ってしまった彼女は、キリュウの性奴隷として淫らに堕ちていく。

どこが面白いか

 本作の構成は、勇者として活躍する彼女の地位や名声が、あることをきっかけに転げ落ちてしまうという流れになっています。
 そこにカタルシスを感じるし、サディズムを刺激させられます。
 しかし、本作の面白いところは、勇者としての誇りと責務と性奴隷であることはイコールでないということだ。
 男性器による快楽を知ってしまった彼女は、大臣のキリュウに命じられるがままに。取引先に対しての性接待、貴族社会のパーティの余興、兵舎での肉便器を行います。
 築き上げてきたイメージが崩れてしまう。しかも、崩されるのでなく、なかば自分の意思でそれを行なっている。
 このまま勇者でないべつのなにかになってしまうのではないか、という不安が渦巻くなかで。
 終盤のバトルシーンは、驚きとともに胸をすくうような爽快感がありました。
 言葉にせずとも、「それはそれ、これはこれ」というのが伝わりました。

キャラクターの魅力

 エリスはとても魅力的な人物として描かれています。英雄として単騎で先陣をきり活躍する。自分にも他人にも厳しく、それを知っている周囲から距離をとっている。
 そうした部分が、彼女の英雄性を引き立てると同時に、単独で任務にあたるからこそ、今回のようなことが起きたのだ、という妥当性を感じる。
 だからこそ、事件後に裏で性奴隷として扱われるようになっていくまでの築き上げてきた誇りの崩壊にカタルシスを感じる。また、ラストにキリュウと協力してのアクションに、キリュウとエリスの両方の成長を感じます。

どうエロいか

 みんな尊敬される勇者の女の子。周囲の男性は彼女を遠巻きに見ていた。
 彼女が大臣に弱みを握られ、みんなの知らないところでいやらしい奉仕をする。最初は嫌がるも、身体の疼きは理性を凌駕し、最後には淫らなおねだりをするようになる。
 心が折れていくまでを丁寧に描いており、とてもゾクゾクしました。
 彼女がキリュウの性奴隷になるまでの過程で、服装はしだいに淫らになっていき、周囲もそれに気づきはじめる。
 そこから、裏では大臣の政治のために性接待に駆り出されている彼女。
 ついには、兵舎の肉便器を行うことになる。
 キリュウの彼女の心を堕とそうする試みは読者の予想を上回り、彼女の変貌に目が離せない。
 その上で、そうした騒乱をぶった切るように現れる魔物と、アクションシーン。
 まさかラストがハッピーエンドになるとは思わなかったので驚きました。