そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『破滅フラグしかない悪役令嬢は土下座M奴隷没落をご所望です』について R18注意

 さて、本日紹介する作品はこちら、『破滅フラグしかない悪役令嬢は土下座M奴隷没落をご所望です』です。

 鷹羽シンさんの作品は今回がはじめてです。美少女文庫で出す悪役令嬢もの、という題材に惹かれて購入。
 最初は、表紙から悪役令嬢の設定を土台にした、高飛車なお嬢様のわからせものかと思って読みました。
 これがかなり面白い。乙女ゲームの悪役令嬢という設定がうまいこと、性行為までの導入のフックとして機能していると感じました。
 主人公と悪役令嬢は前世での知り合い。主人公は前世で彼女にほのかに恋心があるも、思いを伝えることができなかったもどかしい過去があります。そのうえで、悪役令嬢の呪いを解くためには、主人公とのSMがプレイが必要だという。必然性の重ねがけが物語として面白い。
 呪いを解くために、性行為が必要。本筋へのラインとして話が早いし、どうやるか、というワクワク感があります。
 主人公と悪役令嬢がSMプレイを通じて、お互いに憎いと思っていた相手が前世での関係を思い出していき、だんだんと関係性が変わっていくのもカタルシスを感じます。それでいて、関係が進めば進むほど、今の貴族の立場を捨て、主人公とともに生きるべきかという葛藤が強くなっていくところも面白い。
 本作は、話が進めば進むほど、悪役令嬢の思惑と、なぜこういった変態行為をしなければいけないのかが明らかになっていく構成になっている。その点が、ある種のミステリー的な面白さがあり、ページをめくらせていきます。
 鷹羽シンさんの悪役令嬢ものが、美少女文庫でもう一作あるようなので、そちらも読んでいく予定です。