今回紹介する作品はこちら『てのひら開拓村で異世界建国記』の4巻です。
あらすじ
無事にカエデの父親探しを終え、島の整備を進めるカイたち。開拓村内ではエルフ三姉妹の三女・シエルも加わり、さらにゲームも遊べるように――主食の米や小豆も持ち込んで順調にレベルアップ! そして春を迎えた孤島に、神殿の船から捨てられたのは子供ではなく大人の元神官ローザ!? 務めを終えた彼女の後を継ぐ新人神官はルキアという女性らしく……そう、カイが探し求めていた妹だった。ルキアを助け出すためには、まず事情を知る特級審問官のビーエを見つける必要がある。生き別れた妹のためカイたちは神殿へと乗り込むことに――どこでも生産&交易能力『てのひら開拓村』を駆使して異世界のんびり建国記、第4弾!
シリーズ全体の魅力
最初にシリーズ全体の魅力について語ります。
主人公の名はカイ。彼は現実世界で死後、異世界に転生する。彼が転生する世界では13の神による加護を受けたものを祝福者と呼び、祝福者にはそれぞれ神様ごとの固有の能力が与えられる。
カイとその妹のルキアも祝福者であることが明らかになり、彼らは12歳で神殿で儀式をすることで祝福を受けることになる。その際、カイだけは神殿にとっては邪教の神の祝福を受けていたことが明らかになり、彼は無人島に送られることになる。しかし、じつは主人公は事前に祝福の儀式をすませており、異能を手に入れていた。その異能の名は「てのひら開拓村」。カイはその力で無人島を生き残るのだが、というのが1巻の序盤です。
この作品には物語が進めば進むほど読者に達成感を与えるための仕掛けがふたつあり、それがシリーズ全体の魅力につながっています。
ひとつめが、主人公が大切にしている村、あるいは国が発展していくことによる達成感。
『くま、クマ、熊、ベアー』にもある要素だ。
主人公の住む、村あるいは所有している領地が、主人公の知識や行動によって発展していくことでシムシティのような達成感を味わうことができる。
本作ではその要素に当たる部分が二つある。主人公のもつ異能である「てのひら開拓村」と彼の治める国である。
てのひら開拓村、この能力は主人公の持つべつの村を行き来する能力です。主人公だけの異世界のようなもので、彼が持ち込んだもの、ひと、行動によって村が発展していき、その村にあるものは外に持ち出すことができる。
これによって、村が発展することが主人公のできることとイコールになっているところが面白いですね。
それと、主人公は2巻から無人島を国として発展させていくことになります。ここも主人公の活躍によって人が増えていくため。1巻ごとの達成感がはっきりと形となってわかるようになっていく。
ふたつめが、主人公のハーレムの拡大。この物語はチート能力のもつ主人公の活躍による爽快感を描くとともに、それにより、命の危機から救われたヒロインたちが次々と主人公の国にやってくるハーレムものとしての要素がある。ヒロインは窮地を助けられた存在のため。好きになるまでの過程をあまり割かなくても、彼のことを好きになることがそこまで不自然にならず。事件を重ねるごとに主人公の報酬として増えていくヒロインたちにカタルシスを感じる。
さて、それでは4巻の感想に移りましょう。今回、メインとなるのが妹のルキア。彼女の秘密が明らかになり、主人公たちが彼女を救おうと奮闘します。そして、4巻のラストで驚愕の事実が明らかになり、5巻が気になる引きとなりました。では、準に説明しましょう。
4巻の感想
今巻で隠されていた世界観がじょじょに明らかになっていきました。
今回、主人公は無人島を探索することで、ここで仲間になったアビスの秘密に迫り、神殿が隠していた歴史の裏側を覗き見ることになります。
詳しい説明はなかったですけど。4巻の最後である新キャラが表れて、彼がある驚愕の事実を語りだしたところで物語は5巻に続くって形になりましたので。
次の巻で明らかになるのでしょう。
それと、今回妹のルキアの視点と主人公のカイの視点が交差する形で物語が進みます。
読んでて気になるのがルキアの視点で時折見せる不穏な部分ですね。彼女はどうやらカイに対する独占欲が強く、じつは祝福を三つ持っていてさ。味方になったら頼もしいけど、闇落ちしたら絶対厄介なキャラクターになっているんですよね。
妹のルキアを助けることも、この世界に隠された秘密も5巻に持ち越しですから、これがどうなるかが、目が離せませんね。
では、次巻も追って報告いたします。