映画館、抱えられるポップコーンを片手に。
アイドルアニメの映画を見ようとしたその時、あの曲は流れた。
一人の女性が、雪の中を歩いている。悲しそうな顔で、悲しそうな曲。
自分は雪原にいることを語りながら、名残惜しそうに振り返る彼女。
なぜここにいるのか、そう思った僕らに対し、彼女は言った。
このままじゃダメなんだ、と。
その彼女のセリフに、ドキリとする。
自分たちの心を言い当てられたようで。
彼女は続ける。
自分は傷ついていた。
それを誰にも打ち明けられずに悩んでいた。
でもそれをもうやめよう。
そして王冠を放り投げる。
せいせいとしたような表情。
そこに僕らもスカっとする。
ありのままのすがたを見せるのよ、
と言いながら魔法を放ち、歩き出す。
道無き道すらも、私にとっては障害でなかった。なぜなら私には魔法が使える。
そういって大きな城を建てた彼女は得意げな笑みで言うのだ。少しも寒くないわ。
扉が大きくしまる。
その音は彼女の大きな拒絶だが、僕らには誇らしく聞こえた。
この後、YouTubeで真似して歌う人も続々と現れた『LET IT GO』、邦題、『ありのままで』のプロモーション映像です。
あれ見たら、ふだんディズニーに興味がない人も観に行っちゃいますよね。僕も行きました。
王子とのラブロマンスの否定、自立した女性の人生を賛歌するようなストーリーライン、なによりも衝撃的だったのが、ノリノリで歌ってた歌の内容にウソがあったとこですね。僕、『とびら開けて』がディズニーぽくって好きだなと思ってたのに、あの展開には驚きましたよ。
そんな『アナと雪の女王』の2を観てきました。順に話します。
もののけ姫
最後までみた感想としては、もののけひめみたいだなと思いました。
一応、衝撃の展開!? と聞いていたので、たぶんアナは国を去って、エルサが女王をやるだろうなとは思ってたんですよ。
でも、まさか、魔法のある国と魔法のない国でお互い離れていきましょう、心はつながってるよみたいなさ。
まんま、もののけ姫みたいなストーリーラインだとは思わなかった。
人々が自分たちの国のなかにはいれなくて、それがある国と自分たちの国の過去の因縁によるものだった。
だからアナとエルサはその国で秘密を解き明かし、奪っていたものを返した。そしてエルサとアナは離れ離れに。
完全にもののけ姫なんだよね。
それ考えてたらさ。これってディズニーと童話の関係の過去と未来を描いたんだなと思いました。
ダムを壊すとは
魔法の国にエルサの国はダムを建てました。
表向きは二つの国の友情の証としてです。
しかし、本当はエルサの国が彼らの魔法の力を弱めるために建てたものでした。
ダムってなにかといえば、資本主義で。
ディズニーは、童話を大衆向けに書き換えてコンテンツとして売り出してきました。
しかし、結果として、それが王子様がやってくる、という呪いを残してしまいました。
ダムによって治水ができたんだけど、それによって水の流れが滞ってしまう。
それは呪いによって社会が停滞し、人々が本当の幸せが手に入らないのではにつながるんです。
だからこそ、エルサはダムを壊すことを決意する。
しかし、その決断は自分たちの国をダムの水で水没させてしまうことでもあった。
アナの本当の姿
真実を知ったアナは自分が第五の精霊であることを知ります。
序盤で本作では4つの精霊がいて、じつは5番目の精霊がいるという話があったんです。
大事なのが、彼女が既存の精霊でなく、その次の数字の精霊であること。
今までのディズニーの世界観や歴史を継いだ上で新たなヒロインが生まれましたよっていう顔見せが今回の映画の目的なんです。
つまり、「祝え! 新たなるディズニープリンセスの誕生を! これぞプリンセスアナ誕生の瞬間であるっ!」ってことですね。
そう、『アナと雪の女王』は『仮面ライダーゼロワン』なんです。
ちょうど今週紹介したSWもそうなんですけどね。過去のコンテンツのこの部分は踏襲しながらも新たにアップデートしていこうってのが三つの映画にはあったんですね。
いやあ、いい映画でした。今後も目が離せません。