さて、今回紹介する作品はこちら、『始まりの魔法使い』です。
著者:石之宮カント
イラストレーター:ファルまろ
レーベル:ファンタジア文庫
発売日: 2018/9/20
出版社: KADOKAWA
ISBN10:4040725883
ISBN13: 978-4040725888
あらすじ
竜歴900年。村では、精霊魔法の発展による弊害として精霊の暴走による事件―精霊災害が頻発していた。その対策として、“私”は、免許制度や対精霊魔法の研究を進めることに。ある日、ヒイロ村は死骸を操る黒い影―屍鬼の襲撃を受ける。その犠牲として残された赤子を拾った事で、“私”は―「クリュセがハイハイしたわよ!」「おつかれさま、おとうさん」ニーナと初めての子育てに挑戦することになり!?魔法の時代が終わる時、幸福な最果ての村に、災いを報せる鐘が鳴り響く。これは、すべての“始まり”を創った竜の魔法使いと、その家族の物語。
シリーズ全体の魅力(3巻までのネタバレあり)
主人公は魔法が未発達の原始時代のような世界に転生する。しかも不死に近い寿命を持つドラゴンとして。
転生前は地球で魔法の存在を研究していた主人公は、この世界でも魔法を研究する。
すると、この世界での科学技術、魔法の発展の歴史に関わるようになって、という話です。
いろんな要素が複雑に絡まる異色作であり、エンタメとしても完成されている。いつかアニメ化すると思いますよ。
まず、魔法の発展。主人公は、転生した当初は一部の種族しか使えない才能の要素が強かった魔法を、学校をつくることで理論化し、技術として解釈することで発展させます。
その理論化された魔法が面白いんですよ。たとえば、ハリポタだと魔法というより、ファンタジーの生態系や魔法使いの生活を細かく設定することでリアル感を出してたんですけどね。こっちは、そもそも魔法ってどんな仕組みで動いているの? なぜ、呪文が必要なの? 魔法の道具はどうやってつくるの?
みたいな、僕らが当たり前に考えている魔法の概念について細かく設定していてさ。しかも、それが1巻ずつちょっとずつしかわからない。
魔法そのものがこのシリーズ全体の謎になってたんですよ。
それと、その発展した魔法プラス主人公の知識による村から国への発展。ここも異世界チートの魅力であるシムシティ的な面白さがいいですね。
しかも、主人公はドラゴンだから、この国の発展がさ。ちゃんと世代を重ねて発展してるからさ。無理矢理感がないんですよね。
さらに、こういった複数の魅力のなかで、一番いいのがさ。主人公はドラゴンだからこそ、寿命の短い種族と死別する運命にあってさ。それが主人公を好きになるヒロインにも適用されるってことなんですよね。
この作品、1巻の山場がそれなんですよ。1人の女の子の一生がさ。毎回一巻ずつ濃縮されててさ。だからこそ、読み終えた後がさ。何巻にも渡った長編を読んだような気分になる。
そして、この一巻ごとのヒロインってさ。じつはアヴェンジャーズ制をとってるんだよね。どういうことかと言えばさ。じつは死んだと思ったヒロインってさ。じつはみんなある方法で生き返ったり、不死になったりするらしくってさ。一巻のはじまりの場面でさ。何万年経った後の未来で主人公がヒロインたちと仲むずましく過ごすなか、あの頃大変だったよね〜って流れで回想する形ではじまってるんですよ。
だから、じつはヒロインの人生が濃縮された一巻って、アメコミヒーローのアヴェンジャーズに入る前にキャラ立てとして映画をつくるみたいな話でさ。じつは、今僕らが読んでいる4巻までの流れは準備段階でさ。ヒロインたちが揃った後でさらに面白い話をやるんじゃないかなと個人的に期待してます。
では、4巻の話に移りましょう。
主人公とニーナが赤ちゃんを拾う!?
今回の新ヒロインはクリュセ。ニーナと主人公が拾った赤ちゃんです。今回はこの新ヒロインと主人公が親子として関係を深めつつ、今まで友達以上恋人未満だったニーナとの話も進めていく巻となっています。
二人の登場人物が保養しなくてはいけない存在を介して仲を深める。今日からこのストーリーラインを「パパママ、仲良くしてよもの」と呼びます。
なかよしで連載されていた「だぁ!だぁ!だぁ!」とか、ラブライブサンシャイン二期の5話とか、ソードアートオンラインとか。同人誌や日常回でも時々使われますね。
恋愛ものってさ、二人が乗り越えるべき共通の課題を持たせることで盛り上がるんだけどさ。子育ては、だれも悪役を作らずにそれができるからいいんですよ。
んで、ようしょようしょでニヤニヤできる場面をした上で、二人の距離感を決定づける事実が明らかになるっていうのが、今回のヒロイン要素でした。この辺、よかったですよ。
魔法の発展
さらに、魔法の設定もだいぶ明らかになりましたね。この作品はバトル要素があるけど、ルールが読者に明らかにされてないって状態でさ。
この世界の魔法がどういう原理なのかってのがシリーズ通して謎だったんですね。
それが、3巻で大学ができて、何百年か経ったことで。だいぶルールがはっきりしてきたんですよね。
もちろん、なぜそれが起きるのかっていう、起源のほうに謎を持っていくことになるんでしょうね。
次なる舞台はなんと!?
じつは、4巻ではある驚愕の事実が明らかになり。主人公の目的が一つ増えるんですよね。それがさ、今後の話に関わるでしょうから、ここも気になります。
それでは、次巻も追って報告いたします。
始まりの魔法使い 1 名前の時代 (富士見ファンタジア文庫)
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- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 富士見書房
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始まりの魔法使い 3 文字の時代 (富士見ファンタジア文庫)
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始まりの魔法使い 2 言葉の時代 (富士見ファンタジア文庫)
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