そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)』1、2巻について


世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1 (オーバーラップ文庫)
著者:黒留ハガネ
イラストレーター:カット
レーベル:オーバーラップ文庫
文庫: 316ページ
出版社: オーバーラップ (2019/2/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4865544496
ISBN-13: 978-4865544497
発売日: 2019/2/22

あらすじ
ある日突然、超能力に目覚めた佐護杵光(さごきねみつ)。
そしてその力を狙う悪の組織が、突如彼の前に現れ――なかった。隣の家の幼馴染が実は退魔師の子孫だと発覚し――なかった! 謎の美少女が転入し――なかった!!
平和過ぎる日常に逆ギレした佐護は、自分自身が秘密結社になる事を決意する。
日本中を探して見つけた有能美女・鏑木栞(かぶらぎしおり)を副官に引き入れ秘密結社「天照」を創設、資金調達事業も成功。
蓮見燈華(はすみとうか)、高橋翔太(たかはししょうた)という新メンバーも加えたところ、ついに世界を滅ぼす魔王が現れ――なかった!
そこで佐護は、とある計画を思いつくことになり……?
ひとりの最強能力者が紡ぐ、圧倒的マッチポンプギャグコメディ、開幕!!


世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 2 (オーバーラップ文庫)
著者:黒留ハガネ
イラストレーター:カット
レーベル:オーバーラップ文庫
文庫: 317ページ
出版社: オーバーラップ (2019/8/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4865545336
ISBN-13: 978-4865545333
発売日: 2019/8/22

あらすじ
異世界人(ババァニャン)――襲来!

平和すぎる日常に逆ギレし、世界の闇と戦う秘密結社・天照を作った佐護杵光(さごきねみつ)。
東京を救う自作自演イベントを終えた佐護のもとに異世界からの刺客が現れる。
彼女はロナリア・リナリア・ババァニャン(905歳)。
魔王が絶滅危惧種になり、手厚い保護を受けるほのぼの世界から、胸躍る巨悪との戦いを求めやってきた。
ところが佐護の世界にも巨悪は存在せず、巻き起こる「世界の闇」と秘密結社の戦いは全て自作自演。
世界が違っても平和すぎる日常は何一つ変わらなかった。
そこでババァニャンは、秘密結社の根本を揺るがす、ある極秘計画を企て……?
最強の超能力者が紡ぐ、圧倒的マッチポンプギャグコメディ、第2幕!!

涼宮ハルヒ+キックアス

 主人公は脱サラの成人男性、佐藤杵光(さとう きねみつ)。
 彼は中学生で超能力に目覚める。
 超能力者となった彼は、いつか悪の組織と戦う瞬間を夢見たが、そんな日は来ず、そのまま大人となった。
 平凡な日常に逆ギレした彼は、自分で世界の闇と秘密結社をつくることを決意する。
 初見で読んだ印象はキックアスですね。

 キックアス、アメコミヒーローに憧れる大学生が、ある日、事故をきっかけに全身に鉄のはいった無痛症の無敵の身体を手に入れる。それをきっかけに、彼はヒーローの姿でコスプレをして日夜活動するようになる。
 コミックの実写映画化ですね。この映画は2まであります。2では、マフィアの息子がヴィランチームをつくり、ヒーローのコスプレとヴィランのコスプレのぶつかり合いがはじまる。

 キックアスをライトノベルの枠組みで翻訳したらこうなるだろうなってのが読んでいた時の印象でした。

 主人公は退屈な日常を生きていた。そんな彼が超能力に目覚める。彼はなんらかの事件に巻き込まれることを望んだが、時計の針は平坦な波の中で進んでいき、社会人となる。
 だからこそ、彼は幼い頃から望んだ秘密結社をつくることにした。
 日常を非日常に変えるために組織をつくる。この辺、涼宮ハルヒの頃からはじまった系譜ですよね。面白いのが、ハルヒの立ち位置が男性の主人公で超能力に自覚的な大人。キョンの立ち位置にヒロインを置いている。
 ライトノベルは主体的なキャラを女性にして、サポートの受動的なキャラを男性にしていることが多い。本作では、受動的だからこそ巻き込まれなかった青春を大人になって主体的にさせることで事件を起こそうとする。
 つまり、今までのライトノベルのアンチテーゼになっているんです。

 しかも、彼らは青春をやり直すんでなく。悪の組織と正義の組織の両方をやりながら、自分たちが経験できなかった青春を子供たちに送らせようとする。

 この試行錯誤が面白い。

 そして、この選択が、現在の異世界転生もののアンチテーゼになっている。だからこそ、2巻からの異世界からやってきた新キャラ、ババアニャンもさもありなんなんですよね。

 この世界で面白い事件を起こそうとする主人公と面白い世界に行こうとしたババアニャン。この対比がワクワクします。二人が関わり合うとどういう化学反応が起きるのかは面白かったです。

 こちら、2巻で一区切りつきましたので、本シリーズの続きか作者の黒留ハガネさんの別作品はぜひ読みたいと考えています。

 では、また次回。

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1 (オーバーラップ文庫)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:黒留ハガネ
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/02/25
  • メディア: Kindle版
世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 2 (オーバーラップ文庫)

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 2 (オーバーラップ文庫)

  • 作者:黒留ハガネ
  • 出版社/メーカー: オーバーラップ
  • 発売日: 2019/08/22
  • メディア: 文庫