そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

現代版、千夜一夜物語⁉︎『鹿の子の本棚』について

ふだんはライトノベルの感想記事を書く当ブログですが、今回は久々に漫画の感想記事を書きます。その漫画の名は、『鹿の子の本棚』。


本田鹿の子の本棚 暗黒文学少女篇 (リイドカフェコミックス)
著者:佐藤将
発売日: 2017/11/30
出版社: リイド社
言語: 日本語
ASIN: B077QGMHY3:

「他人の本棚を見るのはプロファイリングになる」思春期真っ盛りの鹿の子ちゃんとの心の距離を如実に感じる今日この頃。父・鳩作は愛娘の心を知るために無断で部屋へ侵入し、無断で本棚の蔵書を手に取る! そこは、思春期という言葉では片づけられない摩訶不思議なワンダーランド! 親の愛か、ただの変態か。父娘をつなぐ読書の冒険!! 『嵐の伝説』『アコヤツタヱ』でカルトな人気を博する佐藤将による超レア・プレミア本!!

父と子のすれ違い

この作品は思春期に入った娘の鹿の子との心の距離に悩む父、鳩作が娘の部屋に忍びこんで彼女の本棚にある本を読むという。少し変わった形式の短編集です。
面白いのが、小説でなく漫画であること。鹿の子の本を読んでいる時に鳩作の中に流れたイメージという体で漫画が展開されます。
そして、毎回すごい面白いんですよ。
SFや文学作品としてありそうで、かつ『ドグラマグラ』みたいにこれを読んでることを知られたら人格を心配されそうなタイプのキテレツな作品。
読み手であるお父さんにある程度、サブカルの素養があるところも、わからないものをわからないなりに頭のいい人が読み解いている感じが『テルマエロマエ』の主人公っぽくていい。
さらに、最後に娘さんがその短編で印象に残ったシーンで栞を描いてるとこもいいですね。
これにより、父と娘で作品の捉え方が違っててさ。だからこそすれ違い続けていることが強調されるんです。

時間が解決する千夜一夜物語

一話の段階で考えたことなんですけどね。たぶん、これ、千夜一夜物語なんですよね。
女性不信となった王が一夜を共にした妻を次々と殺すんだけどさ。ある日、その国の賢い女性が一夜につき一話、物語を語ることで1,000日目で殺す気をなくさせたというはなし。
つまり、この聞き手の王が父で話し手の女性が鹿の子。そして、娘の気持ちがわからない父という悩みはさ。朝日新聞の人生相談とかで何百回もされているベタなはなしでさ。既に決まった解決方があるんですよ。
それは、時間が解決するというもの。父親は無理して娘さんの気持ちを理解する必要がなくてさ。たぶん、娘さんの本棚を覗いてるうちになんだかんだで娘が彼氏つくって、大学卒業して、就職して、結婚してさ。
最後の最後で結婚式の前の夜に栞経由で何かしら悟って終わるんじゃなかろうか。

あくまで予想だけど。

では、また何か読んだら追って報告いたします。

本田鹿の子の本棚 天魔大戦篇 (リイドカフェコミックス)

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本田鹿の子の本棚 暗黒文学少女篇 (リイドカフェコミックス)

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