そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~』1巻について


天才王子の赤字国家再生術 ?そうだ、売国しよう? (GA文庫)
著者:鳥羽徹
イラストレーター:ファルまろ
レーベル:GA文庫
発売日: 2018/5/12
出版社: SBクリエイティブ
ISBN-10: 4797397039
ISBN-13: 978-4797397031

あらすじ
【「このライトノベルがすごい! 2019 文庫新作ランキング4位!】

「こんな国、さっさと売って隠居生活だ! 」

完全に詰んでる国家の運営、無茶ブリされました!

「さすが殿下! これが狙いとは! 」
「どこまでもついて参ります! 」
「殿下! 」「殿下! 」「殿下! 」「殿下! 」
『(一体どうしてこうなった!?)』
資源も人材も兵力もない弱小国家を背負うことになった若き王子ウェイン。

文武に秀で、臣下からの信頼も厚い彼にはひそかな願いがあった。
「国売ってトンズラしてえええ! 」
そう、王子の本性は悠々自適の隠居生活を目論む売国奴だったのだ!
だが、大国に媚びを売ろうと外交すれば予期せず一方的に利益を手にし
隣国との戦争で程よく勝とうとすれば大勝利。名声は上がるが売国は遠のき、
臣民はイケイケ状態で退くに退けない!?
天才王子による予想外だらけの弱小国家運営譚、開幕!

崖っぷちの状態

この作品、まず導入がいいんですよね。
国の未来を憂う家臣たちの会話から始まって、多数からの現在の客観的な状況が語られる。
そこから主人公がやってきて、さすがは王子頼りになると言う家臣たち。彼らがいなくなったところで、「国売ってトンズラしてえええ! 」
と叫んで、現在の国の状態がどれだけヤバいかが主人公とヒロインの視点で語られる。

そっから、主人公の守るべき存在となる妹が出て、彼を慕う優秀な家臣が出て。この国がヤバくなってほしくないと思わせたとこで、とある事件が起きる。

このあたりの最初のシェイクスピアの舞台のような。全体像と物語の目的が最初の数分のセリフ劇でわかるすごい上手い導入になってるんですよ。

だからこそ、そっからのドタバタ劇が映えるんですよね。

魅力的なキャラクター

この作品、キャラクターも魅力的ですよね。内容がヤバい状況を頭のいい主人公が解決しますよって話だからさ。
主人公の内面が深いとこまで描かれないんだけどさ。彼とヒロインをそばで見ていた素直な妹の問いかけや。優秀な家臣による説明でさ。主人公とヒロインのことを、僕らは表向きでしかまだよく知らないんだけどもっと知りたいと思わせてくれるんですよ。

爽快感のあるストーリー

ストーリーも爽快感があります。最初にヤバいんじゃねっていう国の状況があってさ。でも、それをマシにする真っ当な外交なり政治なりをさ主人公がするんですよね。
そしたらさ、マジかっ! こんなことが起きるのかってなって! ラスト近くではどうするこれって問題が複数出る。
どうすんだよこれって、僕らも思ってページをめくるんだよね。
そんな問題を主人公がどう切り抜けるかってとこはワクワクするし、爽快感がありますよ。オススメです。

では、次巻も追って報告いたします。