そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?』について

さて、今回紹介する作品はこちら、『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?』です。


著者:望公太
レーベル:GA文庫
発売日: 2018/5/11
出版社: SBクリエイティブ
ASIN: B07CNN3387

あらすじ
27歳のお姉さん×男子高校生の甘々ラブコメ、開幕!!

「私とデートしてくれませんか?」
男子高校生・桃田薫はある日、電車で痴漢に遭っていた女子高生・織原姫を助ける。
二人は互いに惹かれあい恋に落ちていくのだが、彼女には人に言えない秘密があった。

「……私、本当は、27歳なの」

好きになったJKの正体はアラサーのOLだった!?

秘密がバレた織原は桃田の元を去ろうとするが――
「――好きです、織原さん。本当のあなたが大好きです」
「いいの……? 本当に、私で」

平日OL→週末JK!?
可愛すぎる奇跡のアラサーとまっすぐな男子高校生による
年の差・純愛・甘々ラブコメディ、堂々開幕! 

どんな話か

27歳のOL、織原姫と男子高校生、桃田薫の年の差ラブコメディです。
ヒロインの歳がちょうど僕と同い年の27歳でさ。その世代の読者から見たらあるあるとわかるネタがいくつか入っているのが魅力ですね。

ヒロインが主人公との年の差の例に挙げたロックマンエクゼとかすごい懐かしいと思いましたね。

「も、もうわかったでしょ? 最初から『DS』で遊んでたきみと、思春期を『ロックマンエクゼ』に捧げた私とじゃ、住む世界が違うの。だからお願い。私のことは、もう忘れて」

バトルネットワーク ロックマンエグゼ

バトルネットワーク ロックマンエグゼ

思春期を『ロックマンエクゼ』に捧げたってセリフはさ。当時の時代の流れを吸ってないとわからない感覚ですし、吸っててもなかなか出てこないセリフですよ。
読んでて懐かしいと思いましたもん。
この作品は、僕らより若い読者は純粋に織原さんを思う桃田くんに感情移入するし、20代後半30代手前は彼女に感情移入して読める。『君の名は』でもあった二人の男女によるダブル主人公制に年の差をプラスしてやっています。

男子高校生の桃田薫について

また、本作の主人公、桃田薫の描き方もうまい。彼は一言で表すと「一途で純粋」。それだけだと、いい人なんだねってだけでさ。印象に残らないかと思いきやさ。
そのキャラクター制だけで魅力を発揮している。それはこの男が、ただ周囲から「一途だね」って言われたり、自分で地の文で言うようなよくあるキャラ作りでなく。
しっかりアクションで読者にキャラクターを印象付けることに成功しているからです。
作中では、女子高生だと思ったらOLであることがバレてしまった後で。それでも好きなんだと言う桃田を、ヒロインは冷たく突き放すんですけどね。
その後で、桃田はある行動を起こす。そこがさ、涙腺にウルっとくるくらいさ。純粋で一途な思いにあふれている。

泣き所としてはさ。そのアクションが入る直前でさ。桃田と織原は、それぞれ仲のいい親友ポジのキャラとさ会話をするんだよ。その時にやっているのがさ。年の差のある二人に共感できるように心情を吐露し、二人に対する世間の客観的な視点の話なんですよね。

そこでさ、僕らは年の差のある二人の恋って難しいよなっていう主人公たちの抱えるマイナスの面に対する共感ラインに乗って行くんだよ。

でさ、この人と僕は似ているかもしれないって思ったとこでさ。僕らができないと思っていた、あるいは想定になかったアクションを主人公たちがすることでさ。

こいつ俺とは違ってこんなことができるんだって感動する。

これがさ、感動ラインの王道でさ。この作品は付き合うまでの流れでそこを綺麗にはめてってるんですね。

今後の期待

今後の期待としてはやはりアニメ化ですね。この作品はキャラを立てるためのアクション。主人公たちの身に起きたことを友人たちとの会話で相対化し、共感ラインを上げて行くっての魅力なんですけどね。
この辺はいわゆる売れるドラマでは必ず入れていく要素でさ。つまり映像化しやすい作品なんですよ。
年の差だからできるラブコメのセリフ劇も面白いですから、ドラマCD出るとしたら、声優誰がやるのかなってとこも楽しみですね。

では、続刊が出たら追って報告いたします。