そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

《このラブコメがすごい‼︎》堂々の三位! について

さて、今回紹介する作品はこちら、『《このラブコメがすごい‼︎》堂々の三位!』です。



《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)
作者:飛田雲之
タイトル: 《このラブコメがすごい‼︎》堂々の三位!
レーベル:ガガガ文庫
出版社:小学館
発売日:2018/5/23
ASIN: B07CZVFJKX

あらすじ
ライトノベル系まとめサイト「ラノベのラ猫」を運営する高校生・姫宮新。彼はとある記事作りをきっかけに、最近行われたネット小説で三位に輝いた作品の著者が意中の少女・京月陽文であると知る。彼女の投稿作品はラブコメではなかったが、ネット民の悪ふざけで炎上気味に盛り上がり三位をとった。そして、新こそがその悪ふざけを煽った張本人。だが、それを知った陽文は怒るワケでもなく、こう言った。「わたしにラブコメの書き方を教えてほしいの」まとめサイト管理人と作家志望の少女が紡ぐ青春サクセスラブコメ!

どんな話か

この作品はクリエイターを主人公にした作品です。『冴えない彼女の育て方』、『妹さえいればいい』、『エロマンガ先生』。
2016年くらいから、創作者を主人公にしたライトノベルは増えている印象です。
これは『バクマン』を皮切りにはじまったブームではないでしょうか。
もちろん、もっと前に島本和彦先生の『吼えろペン』があるんですが。創作者の苦悩にラブコメをプラスしましたって流れは『バクマン』からはじまったように

それを踏まえて、本作はそのクリエイターものなかでもかなり異色な部類です。

主人公の姫宮新はライトノベルを中心にしたまとめサイトの管理人。そんな彼が、好意を寄せている京月陽文にサイトを運営していることがバレ。彼女の次作に協力することになる。

主人公をまとめサイトの管理人にしたところはスゴいですよ。ネットではまとめサイトはあまり良い印象を受けませんからね。そんな彼による創作批評が読んでて面白いんですよ。

タイトルもインパクトがあっていいですね。つい手に取っちゃいます。

主人公について

それと、僕が好きなのが主人公の青さですね。
彼がヒロインに告げる創作者の根幹となるのが、「「面白い=売れる」なんて幻想だ」って言葉なんですけどね。

彼の考え方がバクマンの七峰透っぽいんです。

七峰透とは、バクマンで後半に登場する悪役です。彼は新人賞で特別賞を受賞した作品をわざとネットに流出させて、炎上することで話題になります。さらに、じつはネット上で集めた100人の読者とともに漫画のアイデアを練っている。

僕、バクマンでは彼が大好きなんですよ。

この作品って、その七峰がもし主人公になって恋をしたらって話だと思うんですよ。

でっ、七峰を含めたバクマンに登場するキャラクターのいいところがさ。頭が良さそうに見せかけて、じつは幼少期の経験から形作られた感情的な意見をカッコよく書けてるとこなんですよ。

たとえば、バクマンの高木秋人ってさ。作中では頭いいキャラとして描かれててさ。
序盤でさ、亜豆って女の子が頭がいいことを説明するセリフにさ。親が金持ちなのを指摘してさ。あんなの悪いことでもしてないとあそこまで儲からないって言うじゃん。

あの辺さ、コマ割りとか絵でさ。カッケーなって当時は思ったけどさ。今、読み返すとアイタタタって思うんだよね。

でっ、後からさ。高木くんの両親の話でさ。父親がリストラされたことによる家庭内での不和が原因で、俺は親父のようにはならないぜって過去があったから漫画家目指してるって話があってさ。

そこでようやく、あ〜、だから亜豆の時、あんな話してたのかって腑に落ちるんですよ。

この作品の主人公の姫宮新もさ。頭よさげなセリフがじつは幼少期の経験からくるものだしさ。
頭がいいけど、でもやっぱり子供だよなってところがさ。そんな彼が恋をしてるってとこでわかるからさ。読んでて面白いんだよね。

今後の期待

これは2巻出たら絶対買いますね。
ぜひ、シリーズ化したらアニメ化してほしいと思いますんで。
もし、この作品が人気になればさ。ライトノベルのブログを書こうかなって思うひとも増えるだろうしさ。
そしたら、作家志望が増えるよりも、ラノベ業界が盛り上がってくれそうだしね。
今後とも応援していきたい作品です。