『俺もおまえもチョロすぎないか』について

　さて、今回紹介する作品はこちら、『俺もおまえもちょろすぎないか』です。

あらすじ

ちょろいとちょろいが出会ったとき――爆発的な化学反応が起こる!

付き合ってください!――少しでも“いい”と思ったらすぐに告白してしまう少年・星井出功成。そんな彼の前に一人の少女が現れる。初鹿野つぶら――彼女は、超がつくほど生真面目な性格で、どんなことでも真正面から受け止めてしまう子だった。誰にでも告白するナンパ男と思われている功成のことも、何か理由があるのだろうと一つ一つきちんと話を聞いてくれて……「好きだ!」そんな彼女に“俺のことを理解しようとしてくれた”と感動した功成は、すぐに告白! 対するつぶらは「私で喜んでもらえたのが嬉しい……この気持ちを理解したいのでもっと教えてくださいっ!」と、なんと付き合うことに!? 2人の恋路はまるで転がり落ちるように進展して――いく？ 

 この前、ラノベを読みふけってましてね。そのうちの一冊です。作者の保住圭さんは大人向けのゲームのシナリオを書いていたライターさん。最近、多いですよね。前からかな。スゲェ、面白かったですよ。ストーリーラインがきれいだし。二人のキャラの中の光と闇を移したうえでその関係が揺れる事件を２回くらい起こしたうえでしっかり最後には関係の進展を明確に描いていますね。

目次

惚れやすい少年と喜んでしまう少女のハイスピードラブコメ

  上のは帯に書いてあるコメントなんですけどね。2人の濃いキャラクター性とハイテンポに進むラブコメが上手いですね。

 惚れやすく、すぐ告白してしまう星井出功成くんと、どんなこともマジメに捉えてしまう初鹿野つぶらちゃん。

 2人のキャラについて象徴的な場面を二、三挟んだ上でさ。表面上のキャラを知った上で2人が付き合ったよって流れはさ。

 スピーディなのに納得感がある。

 よく過程をすっ飛ばして付き合っちゃいましたってカップルの話だとさ。なんでこんな可愛い子が俺と付き合うのってのが中心になるんだけどさ。

 そうするとさ、ミステリーみたいな読み方をさ。僕らもしちゃうからさ。ラブコメ特有の甘いやりとりを楽しめないんだよね。

 だから、このやり方もありなんですよ。

二人の心に潜む光と闇

  でさ、さらに驚くのがさ。付き合う過程をすっ飛ばして恋愛を描こうとするとさ。2人のキャラがさ。薄っぺらくなるのが普通なんだけどさ。

 この作品では、2人のキャラクターにしっかりと表向きのキャラづけと、その裏に潜む闇みたいなのがさ。しっかりとさ一巻のなかに描かれているんだよね。

 中盤と後半はさ。星井出くんと初鹿野ちゃんのそれぞれの裏が見えてさ。2回ほど関係が解消されかねない危機がおきます。

 それがハラハラする場面として描けててさ。しかも、問題が解決した後は2人の裏の部分が関係性を強めるための要因になっていくんですよね。

 ストーリーラインとキャラがよく練られた作品でした。オススメです。

俺もおまえもちょろすぎないか【電子特典付き】 (MF文庫J)