そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『殺したいランキング1位の帰国子女クラスメイトが嫁になりました』について

 今回紹介する作品は『殺したいランキング1位の帰国子女クラスメイトが嫁になりました』です。

殺したいランキング1位の帰国子女クラスメイトが嫁になりました (美少女文庫)

どんな作品か

 夜崎景生ことカゲオは頭の中でクラスメイトの殺したいランキングをつくり呪詛を吐くカースト下位の男。
 彼は階段から転びそうになるカースト上位の須藤レイラを助ける。
 次の日に学校を休むカゲオのもとにプリントを届けるレイラ。彼女はそのままカゲオに告白する。
 本気にしないカゲオ。押し問答の末、カゲオのペニスをフェラするレイラ。
 次の日もレイラはカゲオを慕ってともに行動するように。吊り橋効果だと言って、レイラと距離を取ろうとするカゲオに親しげに振る舞い、身体を重ね、恋人同士となる。
 体育祭での二人三脚、映画館へのデート、文化祭。レイラを通じて、カゲオはクラスのみんなとも交流し、成長していく。

どこが面白いか

 頭の中でクラスメイトに呪詛を唱えながら、勉強をするカゲオ。陰気なキャラでありながら、その後の階段から転んだレイラを助けたとっさの瞬間を描くことで、好感をもてるキャラになっている。
 そんなカゲオが、純粋に彼を慕うレイラとの交流で変わっていく流れはとても面白い。
 さっと読めたけれども10巻分の日常系ラブコメを読んだような濃さがあった。
 ヒロインも、性描写があったのにも関わらず、イノセンスな関係であるかのように読めた。
 それはカゲオが一方的にレイラにもたれている関係でなく、カゲオもレイラを支えているんだと思えるからだ。
 本作には、とても眩しい青春が描かれている。

キャラクターの魅力

 主人公のカゲオは魅力的なキャラだ。
 序文でクラスメイトを殺したいランキングでランクづけする場面はギョッとしてしまい、教室にたくさんいるなかで彼だけに色がついたように目を引く。
 その描写は彼のキャラ立てとしてうまくいっているが、嫌いになるほどクドくはない。すぐに物語を大きく動かす事件、レイラが階段で足を滑らせ、それを助けてケガをした場面を目撃することで、彼は悪い人間でないことがわかる。
 そこから、彼の日常に存在感を大きくするレイラ。彼女の存在に動揺しながらも、関わっていき、変わっていく日常に目が離せなくなる。
 タイトルの殺伐さからの予想とは大きく違って読後感の良い作品だった。

どうエロいか

 ヒロインのレイラは、自身を助けたカゲオに惚れる。卑屈な彼が自分を悪く見せるために言った冗談を魔に受けて、彼にフェラをする。
 かといって、レイラが性に奔放なヒロインかといえばそうではなく、そういう偏見なしでフェラを行っているのがいい。
 いわゆる無知な娘が好きな男の子の影響でエロいことを覚えていく話であり、それはとてもいいものだ。
 カゲオとレイラの学園生活を描きながら、レベルを上げると技が増えるようなノリでいろんな性交にチャレンジしていく流れはとてもよかった。

 オススメの作品です。ぜひ読んでみてください。