そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

仏が人々を襲う⁉︎『黄昏のブッシャリオン』について

さて、今回紹介する作品はこちら、『黄昏のブッシャリオン』です。

あらすじ
その日、世界は得度の光に包まれた―。徳なき荒野に変貌したアフター徳カリプス14年。地には無人の得度兵器が闊歩し、人類を強制成仏へと導く。生き残った人々は、僅かな徳エネルギーの残滓を集めて命を繋いでいた。そんな末法の世界で、採掘屋の二人ガンジーとクーカイは莫大なエネルギーを秘めた「仏舎利」を求めて荒野を走る。出会うのは、徳を生む少女、舎利ボーグ、ブッシャリオン…荒唐無稽な事象に満ちた徳パンクSFが、今開幕!!

徳がエネルギーとなる世界。そこで人類の幸せのために働いていたAiが暴走。人類の解脱こそが徳の充足となり幸福であると考えた彼らは人類の大量殺戮をはじめ、それが終わりのはじまり、徳アポカリプスを引き起こし。生き残った人類はAiを徳度兵器と呼び、世界は徳なき荒野へと姿を変えました。

この辺がザックリとした世界観です。

この作品はカクヨムで連載されています。カクヨムでSFといえば、横浜駅SFがありますね。あれも突如、自律的に自己修復、増築を繰り返す横浜駅が日本を飲み込んでしまい人々は駅に支配された話です。

つまり、どっちも人がつくったはずのルール、機械に人が支配された話です。最近、話題に出るブラック企業とかも、資本主義という富を持てば幸せになれるという考えに支配され、すべてのものに値札がついたため、金がなければ生きてけないと考え、資本家は金があればあるほど幸せになれるはずと考え、誰もが不幸になる状態になっている、というのが今の状況で、つまり今のトレンドにあった作品なんですね。

この作品のストーリーラインは行って帰ってくる話です。主人公たちは無限の徳エネルギーをもつと言われる仏舎利を求めて北に向かって旅をでて、北である体験をした後、そこで手に入れたものを持って街に帰ると、街は……みたいな話です。

これは敵が仏様である以上、かなりわかりやすいわけだけどさ。たぶん、ありがたいお経を探しに天竺に行ってさ。帰ってくるっていういわゆる西遊記ですよね。

ストーリーライン自体は複雑でないぶんさ。道中で徳度兵器にあったら死んでしまうっていう危機感もあるしさ。独特の世界観にも圧倒されます。

それとさ、表紙と文章からさ。ニンジャスレイヤーを思い浮かべる人もいるだろうけどさ。ニンジャスレイヤーと比べると、爽快感はないですよ。どちらかというと、一巻は独特兵器という凶悪な敵に対する絶望感。強いやつから逃げるモンスターパニック的な要素が強い。

だけどさ、じつは後半で師匠的な人が現れてさ。もしかしたら主人公がもっと強くなるんじゃないかなって予感はあるんですよね。

この辺、ジョジョの一部を思い出しますよね。

マイナスからのスタートを丁寧に描いた一巻から満を辞して、二巻からはプラスをどんどん重ねて盛り上げていくんでしょうね。

後さ、主人公の探している仏舎利がさ。じつは宇宙にあるんじゃねぇかって話があるんだけどさ。そうなってくるとさ、地球から宇宙へ行って帰ってくるはなしになってさ。それ、宇宙戦艦ヤマトだよなって思いましたよ。

二巻も追って報告します。