そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います』について

さて、今回紹介するネット小説はこちら、『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います』です。

タイトル:『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います』
著者:夕蜜柑
出版:カドカワBOOKS
掲載サイト:小説家になろう(http://ncode.syosetu.com/n0358dh/)

あらすじ(アマゾンからの引用)
ゲームなどの知識に乏しく、ステータスポイントを全て防御力に振ってしまったメイプル。動きも遅く、魔法も使えず、挙句の果てには兎にすらどつき回される始末。あれ、でも全然痛くない…っていうか、ダメージゼロ?極振りの結果、手にしたスキルは“絶対防御”。さらには一撃必殺のカウンタースキルまで取得して―!?あらゆる攻撃を無効化し、致死毒スキルで蹂躙していく『移動要塞型』新人、自らの異常さに気づくことなく、出陣!

目次

わらしべ長者としてのスキルチートもの

この作品の魅力はスキルチート。

主人公のメイプルは友人に誘われて。とあるVR MMORPGをはじめます。

彼女は、キャラクターメイキングの段階で防御力にステータスを全振りする選択をして。それをきっかけに彼女は様々なスキルを見つけて。無自覚に強くなっていきます。

一見、無意味に見えた最初の決断によって、ドミノ倒しに事件が起き。最後に大きな成功をなす。

このストーリーラインで身近なのはわらしべ長者ではないでしょうか。

わらしべ長者ってさ。今じゃ物々交換は大事とか。小さな善がとか。適当な理屈がつくんだけどさ。
あれが今もおとぎ話として残ってるのはさ。単に、些細なことから大きな成功を呼び込んでいくっていうストーリーにカタルシスを感じるからなんですよね。

客観性を欠いた上での前半

この作品で上手いのがさ。メイプルをゲームに誘ったサリーって女の子がいるんだけどさ。メイプルがゲームを始める直前、その子は両親のしつけで、ゲームを禁止されちゃうんだよね。
でさ、メイプルはサリーの誘いではじめて見たけど。ゲームの勝手がよくわかってなかったからさ。
最初のキャラクターメイキングで防御力に全振りするという選択をしてしまう。
でさ、ソロプレイをするんだけどさ。それでスキルチートになるとどうなるかと言うとさ。このスキルとあのスキルを手に入れたんだけど自分が強いのに無自覚って王道がさ。鼻につかないんだよ。
周りのプレイヤーがなんて異常なキャラだとか。モンスターの群れに突っ込んでも平然としてるなんてって言われてもさ。えっこれ普通のことじゃないのって言うような展開とかがさ。おばあちゃんがゲームの実況プレイをしているのを見ているみたいで面白いです。

運営による調整、仲間と自身の成長

でさ、サリーが後からメイプルと合理してさ。ようやく、メイプルは自分の異常性に気付くんだよね。でも、その頃には、メイプルは運営主催の大会で優勝しててさ。
運営さんたちもさ。これじゃあ、ゲームバランスが崩れるってことでさ。防御力貫通スキルをゲーム内に実装したってとこが後半の読みどころですね。
異世界転生でなく、架空のオンラインVR MMOを舞台にしたからこそできることですよね。これにより、サリーとコンビ組んでもさ。片方だけが突出にもならないし。次はどうすんだって気になる。

続刊も追って報告します。