そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『異世界(エロ)チート賢者 銀髪の宮廷女魔術師とハーレムを! 』について

 今回紹介する作品は、『異世界(エロ)チート賢者 銀髪の宮廷女魔術師とハーレムを! (美少女文庫)』です。

異世界(エロ)チート賢者 銀髪の宮廷女魔術師とハーレムを! (美少女文庫)

どういう話か

 現世で社畜をしていた伊藤雅貴は車に轢かれて死んでしまった。しかし神により、異世界に転移される。
 転移先のアルスター王国では、伊藤雅貴を賢者として迎えてくれた。彼は王子のライオットに仕える形で、異世界で現世の技術を再現する。
 伊藤雅貴の価値を高く評価したライオットは、雅貴を国にとどめるため女をあてがうことにする。雅貴にそれとなく尋ねると、彼には王宮で気になっている女性がいた。
 彼女の名はエレナ、銀髪の宮廷魔術師。
 エレナは自分の研究資金のため、雅貴の扱う魔術について学ぶため、彼に夜伽を行うようになる。
 エレナと関係を持つようになった後も、精力的に新しい技術の開発を進める雅貴。合間に、風俗嬢で獣人のメイサ、若き女騎士のリア、未亡人でメイドのイリーネとも関係を持つ。

どう面白いか

 莫大な魔力とイメージを具現化する創造魔術を持って異世界に転生。現代の技術を異世界に持ち込むことで、賢者としての地位を築く。その傍ら、主人公は複数の美女と関係を持ちハーレムをつくる。
 典型的ななろうのチートハーレムだが、ただの紋切り型にとどまらない。美少女文庫の作品として、読者にエロを届けるための工夫が込められています。
 なろうといえば、チートをしていくにあたって障害が立ちはだかるものだ。本作もその例に漏れず。
 主人公が転移した王国内には、彼を快く思ってない者や、その力を独占しようと考える者がいる。
 その影が匂わされてはいるものの、それ自体が主人公の前に現れない。
 なぜなら、主人公に王国を去って欲しくないと考える王子のライオットがそれらが近づくのを阻んでいるからだ。
 これにより、男性キャラが作品では主人公とライオットしか出てこない。代わりに、ライオットのセリフで、主人公は自身の障害を間接的に知る。
 これらを意図的にカットしたぶん、スムーズに主人公のハーレムが出来上がっている。
 主人公とヒロインの性描写も、とてもエロく魅力的だ。

キャラクターの魅力

 本作のヒロインたちも、魅力的に描かれている。主人公とヒロインの関係は、最初は半端打算的なものだ。
 しかし、主人公のテクと、彼が作り出した催淫魔術により、ヒロインたちは彼との性行為を強く求めるようになる。
 本作はエロシーンの描写が多い。作中の性行為の本数が多い。回数を重ねるたびにの主人公に対する心理が変化していく描写はとてもいい。
 また、もとからエッチなことに興味のあった初心な女性がエレナと主人公に触発されて、彼に身体を許していく流れもとても良かった。

どこがエロいか

 本作はなろう小説としての話型をとっている。で、ありながら官能小説としての用途をなすための物語のショートカットをするための工夫が丁寧に仕込まれている。
 そのために、なろうとしての立身出世の物語から得られる満足感がありながら、性描写の量の多さが両立している。
 主人公に対して強い関心がない女性が、体を重ねていくうちに、淫なことに適応し、その精神が変化していくまでの心理の変化がとてもエロく、キャラクターどうしの関係性の変化としても魅力的に読めた。
 また、元から性的なことに興味のあった女性が、主人公に流されて好奇心のままに未知の快楽を知ってしまうパターンもあり、それもとてもよかった。
 最後の5Pもエロく、全員の妊娠が示唆された後で、ヒロインから新しい女性が紹介される流れも、開かれた窓から見える景色を想像させるいい終わり方だ。

 オススメの作品です。ぜひ読んでみてください。