さて、今回紹介する作品はこちら、まさかのアニメ化『異種族レビュアーズ』の3巻です。
漫画家:masha
原作者:天原
レーベル:ドラゴンコミックスエイジ
発売日: 2019/7/9
出版社: KADOKAWA
ISBN-10: 404073257X
ISBN-13: 978-4040732572
あらすじ
ヤりまくれるなら、私は貝になりたい… 絶好調××店レビューコメディ!2020年冬、まさかのTVアニメ化決定!!!!!!!(マジです)
もちろん本編でもフルスロットル!
クリム君を狙う魔女のお姉さんが登場…もなんのその、構わずイきます×××なお店!ケンタウロスやレプラノーム、はたまた魚介類転生専門店まで!?異種族レビュアーズは今日も往く―――。
『異種族レビュアーズ』とは
異種族レビュアーズとは、ファンタジー世界の風俗を面白おかしく考察して描いた作品です。
ファンタジー世界での風俗を描いた作品。ドラゴンクエストだと、パフパフというものがありますし、ゲームの同人誌だと。その世界の風俗で働いてみたいな作品はあります。
ファンタジーで有名なゲームオブスローンにも風俗描写がありましたね。
この作品の面白いのが、異世界にどんな風俗があるのかってのを、魔法があるならこういうことできるよねとか、こういう異種族がいたらこんなお遊びができるよねってことが面白く描写されている。
まず、第一話は次のように始まります。
人間の冒険者、スタンク。風俗好きの彼は今日もお気にいりのエルフと遊んでいた。
満足げに店を出る彼、そんな彼を見て、エルフの冒険者のゼルは引いた表情を見せる。
ゼル曰く、今、スタンクと遊んだエルフは500を過ぎた高齢。
同じエルフのゼルにとってはババアであった。
しかし、そんなゼルは人間のスタンクにとっては50歳過ぎのババアのミツエが働く人間の風俗店の常連であった。
場所は酒場に移り、お互いの選ぶ風俗嬢、通称サキュ嬢に対する価値観の違いでぶつかる二人。
納得のいかないスタンクはたまたま酒場で飲んでいた冒険者、獣人のブルースとハーフリングのカンチャルにも意見を募る。
ここで、500歳のエルフと50歳の人間に対するレビューが描かれたページが1ページまるまるで出ます。
これが完全にファミ通のレビュー記事みたいになっているとこも面白いんですね。
結果はなんと500歳の人間の圧勝で唖然とするスタンクであった。
ここまでが本作の第1話。じつはこの1話がもともとは読みきりでさ。あとから連載として2話、3話と描かれるようになります。
この連載に移行するにあたっての2話、3話が上手いんですよ。
まず、2話。1話の時に冒険者を集めて比較レビューの紙を描いたスタンク。
2話になると、そのレビューが酒場の冒険者にとって人気の記事となります。
それにより、冒険者以外の臨時収入を得たスタンクはそのお金で新たなサキュパス店へと赴くのでした。
さらに、ここで酒場で働く翼人種のメイドリーが主人公たちを傍観者視点でみつめるヒロインとして出している。
この2話で、この話は異世界の、いろんな種族の風俗をレビューしていく話だよって方向付けをしているんですね。
さらに、3話。ここで、第2の主人公、天使のクリムが登場します。
彼は両性具有。男の子でもあり、女の子でもある存在です。
クリムはひょんなことから天使のわっかが壊れてしまい、地上に落ちてしまう。
落ちた先でモンスターに襲われ、あわや殺されかねないところをスタンクに助けられます。
彼の戦う姿を見て、裏の顔を知らないクリムは腕利きの冒険者である彼らに自分の身を守ってほしいとお願いします。
しかし、彼らは異種族レビュアーズ。冒険の帰りに風俗による予定だった彼らはそのままクリムをお店に連れていきます。
これにより、制の喜びを知ってしまったクリム。その後もなし崩しにレビューに協力することに。
彼の立ち位置はシリーズでの第2の主人公。当ブログで何度も言っている”新参者”に当たるキャラです。
”新参者”とは、ある一定の決まったルールが存在する集団の中に外からやってくるキャラクターのことです。
”新参者”はその集団の中ですでにできているルールをおかしいと指摘します。
それは今、この漫画を読んでいる読者が思っていることである場合が多く、読者に一番近いキャラなんです。
そんな”新参者”は2種類の行動をとります。その2種類を、僕の場合はキムタク主演の『HERO』に出てくる久利生公平と、『けいおん』の中野梓ことあずにゃんで説明しています。
久利生公平とは、キムタク主演の人気ドラマ、『HERO』に出てくる主役キャラです。
このドラマでクローズアップされるのが検事。世間では刑事ドラマではエリートがやるお堅い職業のイメージ。
そんな世界にジャンバーを羽織ったいかにもチャラいキムタクが扮する久利生公平がやってくる。
組織内のキャラクターたちは型破りな彼のことを疎むも、彼の事件に対してまっすぐに向き合う姿勢に感化され、組織が変わっていく。
あずにゃんは、『けいおん』に後から出てくる後輩キャラです。
新入生歓迎会で唯たちの音楽を聴き、そのうまさに驚き、彼女にあこがれを抱いて入部する。
しかし、軽音部では放課後にティータイムを楽しむ部活だった。
真面目に音楽活動をしたいと考える彼女にとっては、唯たちの部活ゆるい空気にいい感情を抱いていなかった。
しかし、彼女たちと時間と空間を共にするうちにその空気感に染まっていく。
今回のクリム君の立ち位置はあずにゃんです。
天使であるクリムも、はじめはスタンクたちに対しては否定的です。
そんな彼がなし崩し的に風俗に連れられる。
しかし、しだいにスタンクたちと苦楽を共にしていくことで、自分の意志で積極的に参加するようになる。
『異種族レビュアーズ』はクリムを出したことで。穢れの知らない男の子がひょんなことから大人の世界に連れてこられちゃうんだけど、それにより彼自身が成長していくというドラマを作っている。
実際、1巻はスタンクたちが風俗レビューに駆り出すときに連れていく仲間たちのキャラ付けを行い。2巻からはクリムの成長を描いているという大筋ができています。
そして、2巻のラストでは、いよいよクリムのかけた天使のわっかに言及するキャラが現れ、キャラクター個人個人の話から世界観を描く大きな物語に変わろうとしています。
では、3巻の感想に移りましょう。
世界観を広げるための短編
今回気になったのが、世界観を広げるための短編が多かったことですね。
3巻では、セリフのなかにできるだけ自然にこの世界でのバックグラウンドを説明しようとする場面が多く、知能指数が高いことがわかりやすい話が多いんですよ。
一応、1巻、2巻でもセリフ量がワンピース並みのページがあるんですけどね、作者の性癖がわかる絵でその先や設定までを想像させるグッとくるコマが多いんですよ。
今回、エロは確かにあるんだけど、このえっちぃシチュを象徴とするような一場面を描いた絵って感じじゃないんですよね。
だから、1巻分かけて、このシリーズの大きな物語を書くための伏線を張るための巻というのが個人的な印象です。
つまり、千と千尋の神隠し
ネットで3巻の続きが読めるんですが。
最新話と、3巻までの流れを見たうえで考えられるのが、たぶんこのはなしって『千と千尋の神隠し』になるんじゃないかなというのがぼくの予測です。
『千と千尋』とは、宮崎駿さんが監督するジブリ映画です。
主人公の千尋は、豚に変えられてしまった両親を元に戻すために、神様が通う遊郭みたいなところで働きます。そこでの経験を経て成長した彼女は、様々な事件の後に父と母親を助けて異世界から現実の世界へと帰っていく。
この千尋がこの物語の第2の主人公であるクリムだと考えられるんです。
彼も自分の親的な立場の人が起こしてしまったある事件によって、天使のわっかをなくしてしまいます。
戻るべき天界が、千尋にとっての帰らなければいけない現実世界と一緒なんですね。
そして、最新話によると、クリムにとっての上司をなんとかしなければいけないらしいんですよね。
たぶん、このへんが終盤でカギになっていてさ。それを何とかするためには、クリムの成長がカギになるってはなしになるんじゃないでしょうか。
あくまで予想ですけどね。あたってても面白いし、外れてても面白い。
では、次巻も追って報告いたします。
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異種族レビュアーズ 2 特装版 (ドラゴンコミックスエイジ ま 7-2-1)
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