そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『錆喰いビスコ』2巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『錆喰いビスコ』の2巻です。


錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ (電撃文庫)
著者:瘤久保 慎司
イラストレーター:赤岸K, mocha
レーベル:電撃文庫
出版社: KADOKAWA (2018/8/10)
ISBN-10: 4048938320
ISBN-13: 978-4048938327
発売日: 2018/8/10

あらすじ
『このライトノベルがすごい!2019』(宝島社)史上初ダブル1位獲得!

最強キノコ守りコンビ、宗教都市・島根でさらに過激に大暴走!

《錆喰い》由来の特殊体質を治すべく、大宗教国家・島根を訪れたビスコたち。
しかし――そんな一行の前に野望の不死僧正・ケルシンハが立ちはだかる。不意打ちで胃を盗まれたビスコの余命は、僅か――五日!?
暴走した《錆喰い》体質で心臓にキノコが咲けば即アウト!
相棒・ミロとともに様々な宗教ひしめく島根の中枢《出雲六塔》に潜入した彼らは、はたして無事、元の身体を取り戻せるのか。そしてかつて立った頂点奪還を目論むケルシンハの暴虐に、相棒の絆は打ち勝てるのか――!?
『このライトノベルがすごい!2019』(宝島社 刊)文庫部門 総合・新作で史上初ダブル1位を獲得した疾風怒涛の冒険譚、再び

このラノで総合・新作部門W1位をとった冒険譚の2巻です。1巻の面白さを引き継ぎ超えた2巻の魅力を順に語っていきます。

錆喰いビスコについて(1巻のネタバレ注意)

 『錆喰いビスコ』とは、東京で起きたある事件により大きく変わってしまった未来を描いたSFです。その事件の全容と変わってしまった世界がこのシリーズを読み進めていくための大きな謎になっています。
 さらに、風景描写、都市描写、食事風景も丁寧でそこで生活している自分が想像できるくらい引き込まれる。
 ビスコを含めた5人のメインキャラクターも魅力的だ。どれも方向性が違って目に焼きつくキャラクター性を持っている。悪役でさえ憎めない血が通っている生きた存在のようにみえる。
 ストーリーも王道だから読んでいてワクワクする。
 ストレートが豪速球すぎて魔球にみえるすごい作品です。

 では、2巻の感想に移りましょう。

ビスコに迫るタイムリミット

 今回、ビスコには死のタイムリミットが与えられます。
 1巻でもラストの黒河との戦いで死のタイムリミットがありましたが、今回は物語の起承転結でいうところの起の部分。
 前巻から何年か経って、偽物を倒す流れでこんなやつですよって強調してから、今回の悪役であるケルシンハの凶悪性を強調する場面でビスコは胃を抜き取られる。
 さらに体内の錆喰いの暴走により余命は5日間となります。
 物語のはじまりで、ビスコを前巻のラストに近い状態にすることで、今度の敵は一味違うぞって感じになるんですね。
 そのうえで、ケルシンハを倒すためにしなければいけないハードルも明確にしていくことで迫りくるタイムリミットと越えなければいけないハードルを見比べることでハラハラします。

悪役ケルシンハ

 やはり悪役のケルシンハがカッコいいですね。1巻の黒河は、街の支配者、権力者ゆえの弱さと強さを併せ持ったキャラでした。
 今回は修行の末に神の領域に至った僧。強大な力を持つゆえの凶悪さ。
 セーブザキャットの逆を行くコイツ悪い奴なんだぜ、とわかりやすく見せている場面の連続にはカッコよさを感じました。
 また、今回は弱い状態から徐々に化け物じみた強さを得ていくモンスター映画的な描かれ方をしているため、ラストバトルに対してのワクワク感もありました。

相棒のミロ

 今巻では、相棒のミロの活躍もよかったですね。
 彼の、優しいだけでなく守りたい人のためなら力を発揮できるとこもいいです。
 敵をだましたり、行って先を言った行動をしたり、彼の頭がいい部分が出た活躍が多かったですね。

 では、次巻も追って報告いたします。