そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』の3巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』の3巻です。


放課後は、異世界喫茶でコーヒーを3 (ファンタジア文庫)
著者:風見鶏
レーベル:ファンタジア文庫
発売日: 2018/6/19
出版社: KADOKAWA / 富士見書房
ASIN: B07D2YHK5L


あらすじ
ここは、この異世界でただひとつのコーヒーが飲める場所。現代からやってきた元高校生のユウが切り盛りする喫茶店だ。迷宮街に歌姫がやってくる。街は観光客でごった返してお祭り騒ぎ。ユウの店にも新規客が増えてきて、てんてこ舞いしていたところ、リナリアが悩みを抱えて来店してきた。なんでも、学院の寮が立ち入り禁止になり宿を探しているらしい。「うちに泊まったら?部屋、空いてるけど」「なっ、なななっなにを…変なことしないわよね?」住み込みアルバイトのリナリアと、仕事も食事も寝るときもいつも一緒の夏休み。ドキドキの同居生活が始まります。

リナリアとの同居

今回はとある事故によりリナリアの住む学生寮が爆破。夏休みの間、彼女はユウの喫茶店にしばし居候することに。

リナリアとユウ、二人の間には近づきそうで近づかないもどかしさと、しかし離れないであろう安心感がある。
それでいて、その関係性の間には卒業後、リナリアはどうするかというタイムリミットのありうる不確かさもあるでしょう。

しかも、ユウは不器用だし。リナリアは素直じゃないから。なかなか異性として意識する場面があっても踏み込めない部分に彼らの性格が出てくるもどかしさよ。

そんな二人が外的要因によって急接近することになりました。もちろん、同棲を提案できるのは二人の間に確かな信頼関係があるからなのだけれども。

いつもと違う距離感に二人は互いを意識せざる得ない。今巻だけの、その瞬間にしか味わえないときめきを最近じゃ尊ぇ尊ぇ(てぇてぇ)と言います。

今回はいつも違う、変化が強調されています。

いつもと違う日々

折しも、迷宮街は歌姫の登場でお祭り騒ぎ。ふだんは静かな喫茶店も、歌姫を見に来た観光客の影響で混雑します。

リナリアもアルバイトとして働いてくれます。

すると、店をまわしていくなかでユウたちが図らずもやったあるアイデアが話題を呼び。店はさらに繁盛することに。

しかし、ユウも読者の僕らもある違和感を抱いていました。

読んでればわかるんですけどね。今回、いつも出てくるキャラがいないんですよ。繁盛してるから、喫茶店の時にいつも来てくれる常連さんがいないんですね。

ちょうど二巻は居酒屋のぶのように、店が舞台装置になって客が主役となる人情話が中心だし。序盤にいつものキャラとの賑やかな会話の途中で事件が起きるって導入でしたから、いつもいるあのキャラがいない寂しさが半端ない。

だから、後半に出てくる主人公に選択を迫るあのキャラの気持ちが僕らにもわかるんですね。

主人公に迫られる選択

でっ、今回主人公は選択を迫られる。今の変化の延長を望むか。あの頃と変わらない日常を選ぶか。

難しいのが、どちらを選んでも主人公が損をしないし。どこか後ろめたい選択肢になっている。

店が繁盛するか、いつもの店に戻すかって選択のどちらにも主人公にとって大事なバックエピソードがあるんです。

そんななか、主人公のとる選択とはーー

今後の期待

でっ、ラストはぜひ読んでみてください。

僕としては、この後の展開が気になりますね。主人公は選択してしまったわけで。この選択が後々どう効いてくるか、それともいつものままなのかは気になるかぎりです。

主人公とリナリアの関係も気になる。

4巻が出たら引き続き読ませていただきます。