そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『ストライキングガール!』について

 さて、今回紹介する作品はこちら、『ストライキングガール!』です。

あらすじ
田舎の荒っぽい空手道場の家に生まれたせいで、喧嘩三昧の散々な毎日を送ってきたレオナ。そんな生活とはオサラバし、華やかな高校生活を!と東京のお嬢様校に転入した彼女だったが、奇妙なクラスメイトに目を付けられ、半強制的に連れて行かれた先は…なぜか格闘ジム!?平穏を求める彼女の願いも空しく、ジムに入門することになってしまい、さらには覆面をして試合出場まで。喧嘩負けナシの女子高生は、格闘技界のトップを獲れるか!?

 面白いですよ。MMAって格闘技は初めて知ったんですけどね。アクション描写が上手いんで引き込まれましたよ。
 心情とアクションの両立。一人の女の子の心情の変化のうまさ。この二つを語りましょう。

心情とアクションの両立

 これ読んでてビックリしたのがですね。アクション描写と心理描写の両立が上手いですね。
 今までこういうの読んだことなかったなって思いましたよ。
 MMAってさ、ケンカで役に立つ空手を習っていた主人公にとってはさ。かなりルールでがんじがらめにされた競技なんですよ。だからさ、どうやってルールに抵触せずに戦って勝てるかって話だからさ。いろいろ考えながら戦っているんですよ。
 するとさ、どうなるかっていえばさ。普通の場合はですよ。一回の戦闘にかかる地の文が長くてさ。なんでこんな数秒でここまで変わるんだよって思っちゃうじゃないですか。
 これは違うんだな。そこまで戦闘中に思考が流れていることに違和感がない。
 それでいてさ、スポーツの合間に成長する女の子ってのが描けていますよね。
 たくさんある情報の取捨選択ができているんですかね。サクサク読めながらも、重厚な一瞬が描けています。

一人の女の子の心情の変化をきれいに描いている

 あとさ、よかったのが一巻で一人の少女の成長と変化が描けていることですね。
 この主人公はさ。空手の流派の中ではかなり異端で荒っぽいところで習っていました。
 それは自分の意志でなく、そういった空手の道場の家で生まれてしまったからでさ。
 だから彼女は戦うこと自体が嫌だったらしいんですよ。
 でさ、そんな彼女は空手から逃げるように遠くのお嬢様学校に転校してくるんだけどさ。
 そこで出会った隣の席の女の子がMMAを習っててさ。主人公の手を見て、格闘技経験者だと見抜くんですよ。
 でさ、彼女に強引にMMAを参加されてさ。とある事件をきっかけにべつのMMAのチームと戦いますって展開になるんだけどさ。
 その過程で彼女は、格闘技を楽しんでいる同年代の女の子たちと交流することでさ。格闘技を好きになっていってるんですよね。
 心情の変化をさ、ちょっとしたイベントを重ねながら描いていくのはうまかったですね。

 2巻出たら必ず読みますよ。アクションと心理描写の両立は僕も考えていることなんで参考させていただきたい次第です。

ストライキングガール! (カドカワBOOKS)

ストライキングガール! (カドカワBOOKS)