そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『蜘蛛ですが、なにか』7巻について

 さて、今回紹介する作品はこちら、小説家になろうで連載、馬場翁さんの著作、『蜘蛛ですが、なにか』の7巻です。

小説家になろうのURL
ncode.syosetu.com

あらすじ
「私」一行は途上で突然、蟻のモンスターに襲われるが、当然らくらく撃破。だが、衝撃で古代の無人殺戮兵器群を目覚めさせてしまう!大量のロボや戦車って反則だろ!!だがそこに龍の眷属、神言教、ポティマスが集結。星が丸ごと壊れる危険があるから、全員で団結して戦う―だと!?そして昨日まで憎みあっていた連中がしぶしぶ手を組み始まったのは、もはや戦争と呼ぶしかない大戦闘で…。おまけに本体の兵器殲滅は「私」が担当―ってマジ!?

 チートとチートが協力し合う大乱戦、魔王とシロとの間のわだかまりの解消、シロがついに神となるを順に語っていきます。それと、ステータスチートから魔族やヒトと協力してなにか大きな問題を解決するっていうさ。ジャンプの封神演義の終盤やヴァルキリープロファイルみたいな神々の戦いルートに入っていってるよねみたいな話をします。

目次

チートとチートが協力し合う大乱戦

 今回、面白いのが。今までの巻で互いに反目しあっていた魔王と機械の身体を持つポティマス、ドラゴン、神様、蜘蛛のシロちゃんたちがひとつの大きな敵と戦うために協力し合うところですね。初見で思ったのが、まるでアヴェンジャーズのウルトロンだなって感じですね。作ってしまった兵器が敵になるポティマスとかアイアンマンっぽいですしね。
 そんなわけなんで、戦闘シーンが今までで一番派手ですよ。
 この作品って、巻が進むごとにスキルが増えていく蜘蛛のシロちゃんに合わせて、敵もどんどんチートさを増していってさ。いくとこまでいってる状態でさ。今までは上手いこと1対1の状況で書いてきたスキル合戦を今回は乱戦で一斉にやっていくもんですから。派手さが違いますよ。
 そして、戦闘シーンをやりながらも。今のチームが一枚岩でないことを強調することで、不安感もあおってましたよね。

魔王とシロとの間のわだかまりの解消

 それと重要なのが、魔王とシロとのあいだのわだかまりの解消ですね。今まではシリーズの序盤で、シロちゃんが自分の母親であり、ダンジョン内での一番強いであろうマザーを倒してしまったことによって。部下を殺された魔王とシロはたがいに殺し合いみたいな流れがあってさ。そのときにいろいろあってしかたなく協力し合うって流れがあったわけじゃん。それが今回のある事件を境に互いを認め合う。仲間と認識する瞬間があって。これであの時の話のケリがついたんだなって思いましたよ。 

シロがついに神となる

 それと、今回気になるのが。蜘蛛のシロが進化して、上半身が人間で下半身が蜘蛛のアラクネでようやく会話できますよって状態から。今度は完全なヒトになりましたね。それでいて神の領域に達していると。
 今巻はいくとこまでいったスキルチートをいったん仕切りなおすために。ステータスという概念が通じない存在にしたって感じですね。ドラゴンボールのゴットとか、ワンピースの覇気とか、ハンターハンターの念、ジョジョのスタンドとか。天井までいったバトルをさらに続けていくために大幅にルール変更を行った気がします。この作品の場合は吸血鬼娘ちゃんの育成もまだ残っているから。ルール変更というより、ボクシングでヘビー級とミドル級をわけるみたいなものかもですけども。
 とにかく、シロちゃんの戦いが今巻を起点に変わっていくんでしょう。

ステータスチートから神々の戦いへ

 これから、神の領域に至ったシロちゃんは魔王と協力していくわけで。これから1~4巻でのもう一人の主人公サイドでの暗躍につながっていくんでしょうね。でさ、今までの話がいわゆるステータスチートでさ。これからの話がチートでこの世界をどう変えていくかっていう神々の話になっていくんだろうね。異世界転生物にはよくあるんですよ。ある強い力をもった主人公が、その力をさらに高め、魔王を倒したり、なんらかの強い敵を倒していくと。その国の王や領主としての内政チート、現代知識チートを一通りやっていき、最終的には神的ななにかとしてあがめられたり、承認されたりしてさ。その次は何をするかと言えば、僕の力でこういう事件を起こせばこうなるだろうなっていうシムシティみたいなノリで世界を変えていく話になっていくんですよ。
 これはなにもネット小説だけの話じゃなくてですね。もともと、ある一つの民族の土着的な信仰のはずが。いつのまにか世界を揺り動かす一大宗教になってしまうみたいな話はむかしからあって。短いチート話も、どんどん積み重ねないとさ。ただの人も神様だったり、神様の○○になっちゃうんだよ。
 『蜘蛛ですが、なにか?』のいいところはさ。今までのなろうのチート化していく物語の流れをさ。お決まりとして受け継いだうえで、神の領域に至ったやつを何をしようとしているのかが全体の謎になっているんだよね。
 例えば、1~4巻ではさ。卵から産まれた一匹の蜘蛛が、じつはまるごと死亡して転生してしまった教室にいた一人でさ。その蜘蛛が迷宮内でレベル上げて強くなる話と同時進行でさ。同じく転生した一人の男の子が成長して勇者となり、魔王と戦う典型的な転生物をやる。ここで面白いのが読み進めていくと二人の話の時系列にはズレがあることがわかってさ。今、着々とレベルを上げている蜘蛛が魔王なんじゃないかって思わせる描写もあるんだよね。
 ここが普通のステータスチートものとは違うとこでさ。蜘蛛がどんどん成長していくうちに。爽快感と同時に不安感があるように読めちゃう。今は楽しそうに迷宮内で生きている「私」ちゃんもさ。いつの日か魔王になって残虐なことをしだすようになるんじゃないかって不安になるんですよ。
 この辺はさ、さながらスターウォーズのエピソード4~6を見た後で。1~3でどうみてもダースベーダーになるであろう一人の少年がフォースを使いこなして強くなっているところを見ていくところを想起しますよね。
 しかも、この作品は5巻まで主人公に名前がないからさ。転生したクラスの誰なのかもわからないから。彼女の内面が上手く図れないように書かれている。
 まあ、これもミスリードでさ。じつは「私」ちゃんは魔王でなく、魔王の側近と思われていたシロちゃんでさ。じつは魔族サイドには魔族なりの事情があるんだよとにおわせたのが4巻あたりじゃん。
 でっ、そろそろ時系列的にあと2,3巻くらいで時系列が追い付いてさ。魔族が何をしようとしているか。シロちゃんが何をしようとしているのかがわかるって流れになるんでしょう。
 では、それはなんなのかをぼんやりと考えてみましょう。
 じつはネット小説は今は追ってなくてさ。完全に書籍を追う流れになっているから。ネットでの話を知らない状態で予想しますね。
 たぶんだけどさ、たぶんステータスが関わっててさ。アニメオリジナル展開のハガレンやまどか☆マギカみたいな展開になると思うんですよ。
 つまり、強い力にはそれ相応の代償と理由があるんだよって流れになっていくと思うんですよね。じっさい、スキルを伸ばして、ステータスを強くしていく流れに不安を感じさせるつくりになってたからさ。このスキルってのにも、出所があるよって話だと思うんですよ。
 じっさい、今巻の敵は古代の人が作ったらしいんだけどさ。どうやらそいつらは無限だと思われていたエネルギーで豪勢に暮らしてたんだけど。ある日、それが有限でしかも星の生命力的なものだってに気づいてさ。なんとかするために神様がなんとかしましたみたいな話があるらしいんだよ。でさ、今回、シロちゃんの至った領域がステータスに縛られなくなるってものらしくてさ。つまり、ステータスやスキルはじつはその有限のエネルギーを制限するための縛りらしい。
 で、察するにその有限なエネルギーがそろそろなくなりそうでさ。シロちゃんたちがやろうとしていることはそのエネルギーを回収するためのことでさ。いわゆるインキュベーターみたいなことしたいんじゃねぇかなってのが個人的な予想だよ。

 当たるも八卦だけどね。

 では、また次の巻読んだら報告しますね。おやすみなさい。