今日はFUNAさんが書いた三つの書籍化作品を比較した上での考察を語ります。
FUNAさんとは、小説家になろうランキング二位の作品、『私、能力は平均値でって言ったよね』の作者です。可愛い女の子を主人公にした異世界チートものを描いています。
今年の6月はFUNAさん的にスゴい月でしてね。『私、能力は平均値でって言ったよね』の最新刊である5巻だけでなく、小説家になろうで連載が開始され、既に完結していた2作。『ポーション頼みで生き延びます』と『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を集めます』の第1巻も発売されました。ファンとしてはうれしいですよ。ぜんぶ買っちゃいました。
ちなみにこちらの3冊の感想、考察は記事にしております。
目次
3作のあらすじ、世界観の違い
まずはざっと今回紹介する3作を紹介します。
タイトル:老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます
URL:https://ncode.syosetu.com/n5529cy/
あらすじ
光波は、ある日崖から転落し中世ヨーロッパ程度の文明レベルである異世界へと転移してしまう。しかし、狼との死闘を経て地球との行き来ができることを知った光波は、2つの世界を行き来して生きることを決意する。その理由は老後の安泰のため！老後資金を計算すると、必要な資金は金貨8万枚！ 異世界の文明が歪まない程度に（でも自分が楽できるなら自重はしない）、いろいろなものを持ち込んでお金儲けにまい進します！
タイトル:ポーション頼みで生き延びます
URL:https://ncode.syosetu.com/n6088cy/
あらすじ
長瀬香は、世界のゆがみを調整する管理者の失敗により、肉体を失ってしまう。しかも、元の世界に戻すことはできず、より文明の遅れた世界へと転生することしかできないらしい。 放り出されてはたまらないと香が要求したのは「思った通りの効果のある薬品を、自由に生み出す能力」！ さらにアイテムボックスと言語理解能力と少し若返った身体を手に入れたカオル、生み出した薬品――ポーションを使って安定した生活を目指します！
タイトル:私、能力は平均値でって言ったよね
URL:https://ncode.syosetu.com/n6475db/
あらすじ
私、普通の女の子です!!!
ユーモラスなファンタジーの傑作、登場！私、アスカム子爵家長女、アデル・フォン・アスカムは、１０歳になったある日、強烈な頭痛と共に全てを思い出した。
自分が以前、栗原海里（くりはらみさと）という名の１８歳の日本人であったこと、幼い少女を助けようとして命を落としたこと、そして、神様に出会ったことを……出来が良過ぎたために周りの期待が大きく、思うように生きることができなかった海里は、望みを尋ねる神様にこうお願いしたのであった。
『次の人生、能力は平均値でお願いします！』なのに、何だか話が違うよ！
３つの名前を持つ少女、剣と魔法の世界で、うっかりＳ級ハンターなんかにならないように気を付けて普通に生きて行きます！
だって、私はごく普通の、平凡な女の子なんだから！
でさ、この3つとも微妙に世界観がちがうんですよね。
①異世界金貨
魔法はなく、モンスターはいない世界。しかし、文明は未発達。
②ポーション
モンスターはいるけど、魔法はマジック程度の世界。文明はそこそこ。ギルドはある。
③平均値
魔法もあり、モンスターもいる。異種族もいる。ギルドもあり、ギルド間での連携がある。
こんな感じですね。FUNAさんは3作目の平均値で書籍化が決まり、なろうのランキングで2位を取るようになりました。でさ、じつは平均値は一番異世界転生もので王道のファンタジーの世界に転生してるのがわかりますね。
転移、やや転生、完全なる転生
3人はそれぞれいろんな理由で異世界に来るんですけどね。じつは最初の作品は完全な転生かと言えばそうではないんですよね。
異世界金貨の主人公、山野光波は不良に絡まれ、崖から落ちる直前に死にたくないという意志の強さで異世界にやってくる。
この時点で神様から異世界転移する力を手に入れた。つまり、死んでないので厳密には異世界転移なんですよ。
でさ、この転移能力で商売を始めて金貨8万枚を目指す。
でさ、ポーションの長瀬薫は神様のミスで死んでしまって生き返らせてもらうっていうさ。最近だと、異世界スマホと同じ流れでの転生なんだけどさ。この時、15歳の女の子として異世界に転生する。
つまり、これは赤ん坊の頃からってわけじゃないので。やや転生なんですよ。
でさ、最後の平均値でさ。主人公の栗原海里が女の子をかばってトラックに轢かれてさ。その女の子が世界を変える発明をする子だったらしく。それを身を呈して救ったお礼に異世界に転生してもらえる。
これだと、赤ん坊からのスタートなんだよね。そして、10歳の時に転生前の記憶を思い出し、学園生活をスタートさせる。
ネットでの流行を追うとこうなるのか。それとも徐々に王道の異世界転生を取り入れたのかはわからないですが。こういった違いがあるのは面白いですよね。
3人のヒロインの年齢、性格、行動と役職の違い
でさ、この3人、年齢と性格、行動を見比べてみると面白いんですよ。
まず、山野光波は18歳。
で、栗原海里、転生するとアデル、マイルと名前を変えるのでここではマイルとよびますね。
マイルは、転生する前は17歳。じつは二人は精神年齢は近いはずなんですよ。
しかし、マイルはわりとアホの子ででしてね。一人称の地の文を見ると、肉体に精神が引っ張られているのか。3人の中では一番頭が悪く見える。
主人公の知能順で並べるとこうですね。
マイル<長瀬薫<山野光波
ちなみに、3作品の世界の人々の知能指数の低い順もこれと同じです。
3作品はぜんぶコメディ寄りの作品ですけど、しいて並べるならこうなります。
異世界金貨<ポーション<平均値
いつか平均値がアニメ化してさ。ゲーム化したりしたら、ぜひとも隠しコマンドを入力したらこの3作品の主人公がお茶会をするシナリオとか、FUNAさんには書いてほしいですね。もちろん、BDの特典だとしても書いますよ。
3作、全部買うともらえるSSとかもいいですね。
でさ、この3人は最終的にさ。異世界金貨の山野光波は領主に、ポーションの長瀬薫は神様に、平均値のマイルは冒険者となる。
一応、長瀬薫は一度、神的な立ち位置になった後にそこからあるデメリットに気づいて逃げたってのが正しいんだけどさ。わりと、その後も旅先で水戸黄門的に正体をバラすようだからさ。この立ち位置として話すね。
面白いのがさ。じつはこの３つの立場さ。それぞれがさ、じつはなってたかもしれないIFの立場になってるってのが面白い。
長瀬薫はさ、もともと冒険者のギルドでポーションを売ろうとしてたんだけど。そこでポーションのチート性がバレたからそこから逃げている。後、彼女はある戦争の後で、報酬で領主になるはずだったけど断わってるよね。
その領主にさ。山野光波はなってる。
でさ、マイルもさ。冒険者になる前は、アデルとして貴族の学校に通ってたけどさ。そこでお姫様に女神の依り代と偽ってチートを見せたからさ。そこから逃げる形で冒険者になっている。
しかも、彼女はさ。アデルままでいれば領主になってたはずなんだよね。
こういう感じでさ。じつは3人は、どこか抜けてるとこ以外は三者三様。違う考えを持つキャラのようでありながらさ。それぞれが自分がなれなかったこと、しなかったこと、できなかったことを補完する形でやってる。
この辺からさ。FUNAさんが3作品を意識的にさ。共通した作風でストーリー的にもクロスするように書きながらもさ。うまく、キャラの行動変えながらべつべつの道を歩ませているのがわかります。
3人に共通する悩みとFUNAさんの短編、『婚約破棄に絶対記憶で立ち向かう』について
山野光波とマイルと長瀬薫。彼女たちには共通する悩みがあります。これは『くま、クマ、熊、ベアー』や『スライム倒して300年』にもあるさ、いわゆる、男性を読者ターゲットにした女主人公、異世界転生ものに共通する問題なんですけどね。
彼女たちは自立し、立身出世できるだけのチートスキル。女性キャラから慕われる百合的カリスマがあるゆえにさ。彼氏、あるいは夫ができないんですよ。
この辺の問題を深刻に捉えてるのはポーションの長瀬薫ですね。
ポーションではさ。彼女のチート性が最高潮に達する場面があってさ。それによる立場を捨てて旅に出るとこがこの物語が一度終わった場面。いわゆる第1部完、第2部へなんですけどね。
その立場を捨てる理由がさ。結婚できないからなんだよ。
ポーションってさ。一人の女性がさ。いろんな街でさ。普通の少女としてやってくるんだけどさ。徐々にチート性を見せてさ。そのチートを自分のものにしようとする輩を退治した後でさ。
ある大きな奇跡を見せてさ。
彼女が街を去った後で、街の人々が彼女は神様だったんだと気づくっていうさ。
まるで舞台のようにきれいなストーリーラインの話なんだけどさ。
このストーリーがさ。繰り返すうちに、どんどんインフレしてさ。最高潮に達した時に彼女が気づくのがさ。
ヤベエ、いつの間にか、自分のそばにいてくれる男がいない。振った男もみんな誰かと結婚してるわってとこなんだよね。
もともと、彼女は異世界転生する時に、いい人と結婚して幸せな家庭を築きたい的なこと言ってんですよ。でさ、この話は話が進むほど、当初の目的と遠ざかってるってのが面白いんですよね。
でさ、この結婚、彼氏問題はマイルも山野光波も言及しててさ。結婚したい度を図にするとこうなるんですよ。
山野光波<マイル<長瀬薫
でさ、FUNAさんが小説家になろうに公開してる短編にさ。婚約破棄に絶対記憶で立ち向かうってのがあるんだけどさ。これがさ、この問題を明確なテーマにした作品。
ジャンルは悪役令嬢ものだね。婚約者の王子がさ。自分の気に入った女の子と結婚するために主人公を悪役令嬢に仕立てて破滅させようとする。
しかし、じつは主人公は絶対記憶の持ち主で王子の追求に対し、アリバイや事件の経緯を次々と語って。逆に王子を追い詰めるって話です。
この短編読んでて思うのがさ。この人、ホントにイケメン、リア充、王子様として扱われるキャラがさ。チートな女の子に振られる話を書くのが好きだなってとこですね。
3作品は大なり小なりそういう話なんですよ。そこがさ、天乃忍さんのラストゲームが好きな俺としては大好物なんですよね。
この3人の物語はネットでも書籍でも続いてるので是非読んでみてください。
今回紹介した短編、『婚約破棄に絶対記憶で立ち向かう』はこちら↓
http://ncode.syosetu.com/n8814db/
『老後に備えて異世界で八万枚の金貨を貯めます』はこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n5529cy/
『ポーション頼みで生き延びます』はこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n6088cy/
『私、能力は平均値でって言ったよね！』はこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n6475db/
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