そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『東京ダンジョンマスター』2巻について

さて、今回紹介する作品はこちら、『東京ダンジョンマスター』の2巻です。

東京ダンジョンマスター2 ~新宿でも社畜勇者(28)は眠れない~ (ファミ通文庫)

あらすじ
異世界ダンジョンから秋葉原駅を守った元勇者の上総は、紅の元で退魔業を請け負っていた。そんな彼が降り立ったのは、欲望渦巻く新宿駅は歌舞伎町!聖剣を家に置いてきてしまった上総は、突如魔物が現れピンチに陥るが、持ち前の超人的な身体能力と機転の良さで危機を脱する。しかしそれは、やがて新宿を揺るがす新たなダンジョン発生の、ほんの始まりに過ぎず…。おっさん勇者と愉快な仲間達の異世界ダンジョン攻略記、息もつかせぬ急展開の第2弾!

小説家になろうのURL
http://ncode.syosetu.com/n1491ea/

カクヨムのURL
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882291537

東京ダンジョンマスターとは

 東京ダンジョンマスターとは、ざっくり言うと、中年男性が主人公の俺TUEEものです。最近、多いんですよね『異世界に転生したら全裸にされた (マッグガーデンノベルズ)』とか、『
デーモンルーラー 定時に帰りたい男のやりすぎレベリング (カドカワBOOKS)』とか、『週末冒険者 (カドカワBOOKS)』とか。ラノベのメインターゲットの年齢が上がっていくことに合わせて。とりあえず主人公を読者の年齢層に合わせてみようって流れがあるんですよね。
 主人公の雪村上総は28歳の会社員。でっ、じつは異世界転移をしたことのある元勇者。彼は異世界から現実世界に戻った後、学校を中退した状態になっていた上総は、しかたなくブラック会社で働いてました。そんななか、異世界で助けた姫、リリアーヌとメイドのクリスが異世界にやってきて、同棲することになる。さらに、東京に異世界のダンジョンが出現する。こうして、上総の日常は変化していくのであったって話です。
 1巻のテーマは変化でしたね。前半部分が上総の日常がリリアーヌとクリスによって変化する。中盤で東京がダンジョンによって変化する。さらに、主人公をダンジョンに導く形となった紅が3人との交流によって内面的な問題を解決して変化するってのもありました。

変化から日常へ

 今回、気になったのはこの変化の中心となる異世界のキャラクター。リリアーヌとクリスのそれぞれが上総のいる世界で仕事をみつけ、この世界になじんでいっていることですね。前巻で紅に雇われる形で多額のお金が上総たちのものになっていたはずなんですけどね。どうもリリアーヌが振り込み詐欺にあってしまい。これにより、前巻での資金はいったんリセットされました。これに責任を感じたリリアーヌは自分でみつけたバイトの募集でスナックで働くことにして。メイドのクリスもメイド喫茶に。
 これ、さらっと書いてましたけど。わりと重要な変化ですよね。
 異世界からこっちの世界にやってきたリリアーヌたちはダンジョンの戦闘以外では上総に依存する形になっていたけど。今巻では自立している姿。こっちの世界になじんでいっているんだなってのがわかります。
 それと、1巻とくらべると2巻って話の雰囲気がちょっと違うんですよね。それの代表的なのが黒瀬龍です。 

黒瀬龍について

 黒瀬龍、歌舞伎町のヤクザの若頭。今回、冒頭を読んでおって驚いたのがさ。この黒瀬ってヤクザの視点で物語がはじまっているってことなんですよね。なんでも、新宿の歌舞伎町で怪しいドラックが流行っているらしく。そのドラックを飲んだ人間はモンスターに姿を変えてしまう。でさ、黒瀬の組にいた桑原って男がその薬に手を出し、モンスターと化して組の仲間に襲い掛かったため。ケジメをつけさせるために黒瀬は桑原を探す。そんななか、主人公の上総もクリスを迎えにメイド喫茶に行くと。そこにはクリスのストーカーがドラックでモンスターに姿を変えて主人公に襲い掛かってって展開になります。
 この黒瀬ってのがじつは今巻では第二の主人公になるんですよ。読んでてビックリしましたよ。表紙にメイドさんがいるんだけどさ。この子、今回そんなに活躍しなくてさ。全体を通して読むと、オッサンが活躍する都会のミステリーみたいな。池袋ウェストゲートパークみたいな話になってるんですよ。
 あらすじにも、表紙にも、カラー挿絵にも描かれていないから、けっこうあっけにとられたけどさ。最後まで読んでみたら面白かった。
 1巻では突如東京に現れた異世界ってのを強調してさ。2巻ではそれでもここは東京なんだってのを強調した巻だったんですね。3巻も追って報告します。