『妹さえいればいい』11巻について - そう、それが言いたかった

さて、今回紹介する作品はこちら、『妹さえいればいい』の11巻です。

著者:平坂読
イラストレーター：カントク
レーベル:ガガガ文庫
発売日: 2018／12／23
出版社: 小学館
ASIN: B07LF1MY46

あらすじ
１０巻の続き！！！！！！！！！！！！！！
小説がまったく書けないという大スランプに苦しむ伊月を、恋人の那由多は優しく見守る。土岐や京は伊月を復活させるための方法を模索するのだが、結果は芳しくない。一方、女の子であることを隠さなくなった千尋にも、大きな変化が訪れるのだが……。そんななか、第１６回ＧＦ文庫新人賞の授賞式が開催される。青葉や木曽たちが受賞してから、はやくも一年の月日が経っていたのだ。怒濤の流れに翻弄されながらも、主人公たちは足掻き続ける――。大人気青春ラブコメ群像劇、衝撃の第１１弾登場！！

書けなくなった伊月

今巻はスランプに陥った伊月をメインに据えた巻。前巻の引きにやられていっきに読んじゃいましたよ。
10巻、9巻、８巻では妹の千尋をメインにしながら、じつは影で今回のような問題が明らかになりました。この流れがじつに上手い。いっきに僕の関心が千尋から伊月に変わりました。
スランプ中の彼の心理の変化には共感できました。僕も小説をはじめて書いていた時には、ある種の全能感があって。ある日、なにかのきっかけでそれが消えちゃうってのがあるんですよね。
でっ、日々を重ねていくうちに悟りを得て、筆も早くなったりするんですけど。これがいいことってわけじゃないんだよな〜。
伊月の気持ちにはすごい共感できるし、だからこそ、ラストに胸が締め付けられるんですよね。

彼の周囲

一方、今巻では彼の周囲にも大きな変化がある。妹であることを明かし、女の子として生きるようになった千尋。
彼女は不破に対する好意を自覚し、告白します。これにより、不破の周囲にも変化が起きそうですね。
それと、京ちゃんと伊月の編集、新人作家さんとの帯の話し合いも面白かった。編集さんも頭を丸めてからキャラが立ってきましたね。今後の活躍が気になります。

しかし可児那由多は

スランプに悩む伊月の前に、彼の人生の先輩にあたる人々が己が背中で道を示す。読んでる時はそういうストーリーラインなのかなって、思ってたけどさ。
読んでいくと、この流れマズイなって漠然とした不安を感じる。これはクリエイターなら誰もが気づきましたよね。
そして、可児ちゃんがそれを指摘する。あの辺は驚いたと同時に言ってくれて安心した自分もいましたよ。
ライトノベル作家はどうあるべきか、伊月はどうあるべきか、彼の悩みもつきません。今後とも、応援させていただきます。