小説版　星のカービィ　ロボボプラネットの大冒険！　について

　さて、今回紹介する作品はこちら、小説版　星のカービィ　ロボボプラネットの大冒険です。

著者:高瀬美恵
イラストレーター：苅野タウ、ぽと
レーベル:角川つばさ文庫
発売日: 2018/3/15
出版社: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
ASIN: B079GV98BQ

あらすじ
カービィたちが住む平和な星・ポップスターに、ハルトマンワークスカンパニーと名乗る、なぞの集団がやってきた。その集団はなんと、住民や植物など星中のすべてをキカイに変えてしまった…!たまたま無事だったカービィとワドルディは、ポップスターを元に戻すため、大冒険を始めることに!カービィたちは、ポップスターの平和を取り戻すことができるの!?カービィが新たな力で大活やくしちゃうよ!小学中級から。

　今回、ついにゲームのノベライズになりましたね。で、ありながらシリーズ全体のテーマを一貫させた作品になっている。５巻の大レースと６巻のマホロア回の話もしながら、結構前からこの話を書く予定だっただろうって話もして、一貫したテーマについても話します。

完全なゲームのノベライズ
変わってしまうプププランド
本来の目的を見失ったラスボス

完全なゲームのノベライズ

　今回は完全なゲームのノベライズでしたね。作品の元ネタは、星のカービィロボボプラネット - 3DS。
　おだやかな昼下がりに将棋をしているワドルディとデデデ大王。
　将棋は、倒した駒を自分のものにできるゲームです。
　ここでデデデ大王に負けるワドルディを描いたことで、今からプププランドの住民たちが敵キャラになるよってのが暗示されるんですね。
　後、昼下がりのコミカルなやり取りから、機械化された惑星の対比は絵的にも映えます。
　絶望感ってのがありますよね。
　今回、明確な敵のいる作品ですので、最初から最後までアクションが多めの作品で、読みごたえもいい。

変わってしまうプププランド

　今回の変わってしまったプププランド。これ、５巻のキザリオによる大レースですでに予期されていたことですね。
　ゲームの世界観を小説にするというのは前々から決まっていて、そこへのスライドをスムーズにするために、キャラ巻を１巻から４巻までやった後はシリアスな要素をにおわせながら、マホロアの巻で今後出てくる敵キャラのスタンダードな姿を提示しました。キザリオっていうテレビプロデューサーによって、プププランドの住民が振り回される構図は今回のハルトマンワークスカンパニーがポップスターの豊かな資源を掘り出すために住民たちを機械化させる流れを小規模にしたものなんですね。

本来の目的を見失ったラスボス

　今回の敵キャラである社長のハルトマンは、手段と目的がごっちゃになって自分の願いがわからなくなっている悪役です。
　わかりやすい要素として、壊れてしまった時計を持っている。これは彼がある出来事で大事なものを失ったときに壊れてしまった時計です。
　しかし、その壊れた時計がなぜ壊れて大事にしていたのかも忘れていた。
　今までの敵キャラの中ですごいわかりやすい闇を抱えたキャラクターです。
　星のカービィは、全体的にこういった自分の本来の願いがわからなくなった悪を純粋においしいものを食べたいことでいっぱいのカービィが倒すっていうのが基本のストーリーラインでさ。
　夢や大義よりも、醜いとか意地汚いとか言われがちな生物の原初的な欲求のが大事だよって話なんですよ。
　その辺は、最新刊のスターライズで話します。