そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』について

今回紹介する作品はこちら、カクヨム第一回WEB小説大賞受賞、2017年6月20日富士見書房から出版、『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』を紹介します。

あらすじ
迷宮都市の一角にある異世界でただひとつの喫茶店。女騎士にエルフやドワーフ、そして街の有力者までもが密かに通うこの店に、魔術学園に通う少女リナリアが現れたことで、店主ユウの異世界生活は色めき立ち始め?

面白いですよ。出てくるキャラクターが魅力的だし。他の異世界グルメと比べると、料理をしている時の描写が細かい。異世界グルメのお約束であるお店のなかで完結する物語の構造をさ。主人公の成長ストーリーの仕掛けとして仕組んでいるのも上手いです。

それでは、今回も順に説明します。

目次

料理描写

読んでてスゴイなって思ったのはさ。料理描写のこまかさなんですよね。

パンの上に清潔な布巾をかぶせる。小ぶりの鍋を取り出して、底でぐっと押さえつけた。パンの底がじゅうじゅうと、胃袋を刺激する音色をあげる。
そのまま待っていると、ふっと、パン生地の香ばしさが鼻をくすぐる。それがひっくり返す合図だ。
パンを押さえていた鍋を離し、布巾を取ると、閉じ込められていた香りが一気に広がった。パンは平べったくなっていて、パンの間から黄色いチーズがとろりと溶けだしていた。
木べらでひっくり返すとパンの裏面にはこんがりと焼き色がついていて、それは額に入れて飾りたいほどの美しさだった

映像的でさ。資料をもとにしてるんじゃなくて。実際につくってみたんだろうなってことがわかりますよね。
普通の異世界グルメものだとさ。異世界の住人のさ。テルマエロマエ的なリアクションによってさ。食べてみたいなって思うんだけどさ。
これはさ、読んでると。厨房で主人公がつくっているのを待っているキャラクターの気分になってさ。
他の異世界グルメものよりもさ。お腹が空くんですよね。

魅力的なキャラクターの人間関係

後、キャラクターもいいんですよ。それはさ、可愛いとか。キャラが立ってるってのもあるんだけどさ。読んでいくとさ。この喫茶店内でできているクローズドな人間関係が形成されている過程が読めるのがいいんですよ。
居酒屋のぶや異世界食堂でもさ。キャラクターの人間関係ってのはあるんだけどさ。どちらかというと、客と店主の人間関係である場合が多いですよね。
これはさ、話が進むにつれて。お客さんどうしが友達になっていくシーンが意識的に書かれててさ。それがさ、ラストの感動に繋がってるんですよね。

店から出ない主人公

でさ、上手いなって思ったのがさ。異世界グルメものの典型的なお約束。異世界でお店をやってその店のなかで話が進むっていうさ。王道のストーリーラインを逆手にとって。
主人公の成長ストーリーを描いているのが上手いんですよね。この作品さ、主人公が店をなぜ出ないのかってのにさ。ある心理的な理由があってさ。
そこから抜け出して、成長し、あることを成し遂げたことによってカタルシスを得る流れがさ。かなり綺麗なストーリーラインでさ。思わず上手いなぁ〜って唸りましたよ。

2巻出たら買いますので、また追って報告いたします。

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