そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』について

さて、今回紹介する作品はこちら、『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』です。


ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)
著者:しめさば
イラストレーター:ぶーた
レーベル:角川スニーカー文庫
出版社: KADOKAWA (2018/2/1)
ISBN-10: 4041064759
ISBN-13: 978-4041064757
発売日: 2018/2/1

あらすじ
5年片想いした相手にバッサリ振られたサラリーマンの吉田。ヤケ酒の帰り道、路上に蹲る女子高生を見つけて――「ヤらせてあげるから泊めて」「そういうことを冗談でも言うんじゃねえ」「じゃあ、タダで泊めて」なし崩し的に始まった、少女・沙優との同居生活。『おはよう』『味噌汁美味しい?』『遅ぉいぃぃぃぃぃ』『元気出た?』『一緒に寝よ』『……早く帰って来て』家出JKと26歳サラリーマン。微妙な距離の二人が紡ぐ、日常ラブコメディ

家出女子高生とサラリーマンの奇妙な共同生活

路上でみつけた女子高生との奇妙な共同生活。予想以上に面白いですね。暗い欲望を誘うようなドキッとするシチュテーションがありながらも男性主人公の後藤さんの誠実さがそれを爽やかなものに変えている。
ヒロインの沙優ちゃんも儚げで惹かれるんですけども、じつは一番の魅力は普通のいい人であることが普通でない後藤さんにあるな、と思います。

価値観の違うキャラクターたち

さらに、この二人の周囲のキャラクターたちも魅力的だ。彼女たち、彼らのセリフってわかる〜って共感できるんだけど、それは僕らに近いからというよりも、同じ空間に生きている一個人の意見としての共感が得られるキャラづくりになっています。
「このキャラの気持ちがわかる」という共感が、教室やカフェで友達と話すときに言う、「キミの気持ち、わかるよ」なんですよね。
同じ空気を共有してるけど、しっかりとその子なりの価値観がある。それが作中の登場人物、全員にあるんですね。

変わっていく二人

さらに引き込まれるのが二人の変化。お互いがお互いと関わっていくことで変化していく二人。
この変化がさ、劇的なものでなく、小さなことの積み重ねによる変化だからさ。変わったんだなと意識した瞬間、少し嬉しくなるんですよね。
友達の吉報を聞いたような。長年、関わってきた親しい人の幸せの瞬間に立ち会えたような気持ちになる。
なかなかいい作品です。

では、続きも追って報告いたします。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)