そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

算数で読み解く異世界魔法について

 

 さて、今日紹介するのはこちら、『算数で読み解く異世界魔法』

 

あらすじ

落ちこぼれフリーターのタカハが転生したのは魔法の詠唱に数字を用いる世界だった! 彼は転生特典『対訳』の力で全ての魔法言語を瞬時に理解し、持ち前の数学知識を駆使した大魔法使いを目指す。
──が、まさかの大問題は転生先の家族にあった!
頑固な父親、のんびり屋の姉と築く生活は、喧嘩ばかりで修行もままならない。
おまけに、タカハの前には前世からの因縁を持った宿敵まで出現。異世界では最強の魔法使いとして成り上がるはずだったのに……。

家族の絆と自身の誇りを胸に、今、タカハのかつてない戦いが始まる!
完璧な計算を越えた想いが絆を繋ぐスイートホーム・ファンタジー!

 

 算数で読み解くってタイトルがいいですよね。なんだこれ?っておもうじゃないですか。でっ、この設定が面白いんですよ。この世界では、17よりさきの数が言語として存在しないらしい。なぜなら、魔法を発動させるための限界が17までだから。

 たとえばですね、作中の呪文ってのがこの呪文自体は12マナ、この操作を命令したらプラス1マナ、合計で対価として10マナ使いますって意味でそれが算数なんですよ。

 で文章にするとこうなる。

 

「水--十二の法--一つーー今--眼前に ゆえに対価は10」

 

 魔法の発想としては目新しいし、ほかの魔法ものと比べて呪文のつくり方が理にかなっているんですよね。しかもかっこいい。

 しかも、この縛りがあるから主人公の成長や戦い方がなんでもアリってかんじにならず。ほんとに努力をしたうえで得た勝利って感じで読めるのがいいですね。

 

 俺がすごいと思うのが、この話読んでてちょっとストレスがかかるんですよ。このストレスってのがですね。主人公にむかついてイライラするとか。そういう悪い意味じゃないんですよ。この物語が最終的に爽快感のある展開に持っていくために、ラストの開放を印象付けるための序盤の抑圧の描き方が上手いんです。

 

 主人公は両親に恵まれていないフリーターで、周囲の人間を数字で当てはめて評価する。そんな彼がある日、自分がずっと欲していた大きな才能を手に入れて転生する。だけど、転生したんだけども。師匠からは9歳まで魔法の修行を禁止されている。しかも主人公もいい感じに性格が悪くてですね。ヒロインにも冷たく接している。

 

 見てて、イライラするんですよ。するんですけど、この作品の端々にある世界観ってのがしっかりつくりこまれているのがわかるからですね。これが後々の主人公の成長によって得られるカタルシスの前フリだってのがわかるんですよ。

 

 理不尽なこといくつも起きるんですけど。その理不尽なできことの中で主人公が気づくのが。才能よりもそれを伸ばすための努力が大事で。転生前に自分がもっていなかった大事な家族というのがじつは自分の周りにいるってのが主人公が気づいていき、成長していき、最終的にライバルとの戦いで開放するカタルシスってのが面白いんですよね。

 

 続きが読みたい作品です。

 

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