そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってましたについて

書店に積んであったカクヨム受賞作たち。今朝見たらなくなってました。ネット小説は日々出版され、最近できたネット小説の棚もコロコロ変わります。

 

ゆく棚のながれは絶えずして、かつもとの本にあらず。メインとなった話題の本は、かつ消え、かつ出版され、久しく棚に並ぶ試しなし。

 

出版がはじまった時、嫌でも本は場所を取る。

カルマだね。

 

消えてしまう本があるのなら、

だれかが話さなきゃいけないよね。

おもに俺がさ。

 

さて、カクヨム受賞作紹介はいったんおやすみ。第5回目、ネット小説紹介、次の作品はなろう出身のこの作品、『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』。

 

あらすじ

現世で過労死した反省から、不老不死の魔女になって、スローライフを300年続けてたら、いつの間にかレベル99=世界最強になってました。生活費を稼ぐためにこつこつ倒してたスライムの経験値が蓄積しすぎたせいみたいです…。そんな噂はすぐに広まり、興味本位の冒険者や、決闘を挑んでくるドラゴン、果ては私を母と呼ぶモンスター娘まで押し掛けて来るのですが―。冒険に出たことないのに最強…って、どうなる私のスローライフ!?

 

読んでいて、焦ったり、不安になったりしないストレスを感じないんですよね。

 

それでいて、話の方向性とテーマがブレないんですよね。

 

主人公は転生前に過労で倒れている。だから今度は頑張りすぎない。自分のためのことをする。その考えでスライムを倒し続けた結果、レベルがMAXになり、周囲にはそんな彼女を慕ってひとがやってきて。彼女は家族をふやしていく。

 

この作品が伝えたいことって、だれが読んでもわかるんですよ。特別ななにかを目指した努力より、ふつうだと思うような努力を継続しておこなう。そっちのほうが大事だよってはなし。

 

じつはこの話、ワンパンマンに似てるんですよね。

 

ワンパンマンとは、WEB発のヒーロー漫画です。主人公のサイタマはヒーローを志し、修行し続けた結果、ワンパンで敵を倒せるようになる。ある日、サイボーグのジェノスから自分を弟子にしてくれと言われ……ってはなしですね。

 

あの漫画で、サイタマは悪い科学者にどうやってその力を手に入れたって言われるんですけど。彼、メッチャ深刻そうな顔で言うんですよ。

 

「腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回、ランニング10km、これを毎日やる‼︎!」

 

ワンパンマンもスライム倒して300年も同じテーマをそれぞれ方向性を変えていってるんですよね。ふつうの努力を継続してやるのが大切なんだよっていうね。

 

そんな単純なことって思うんだけどさ。これは今の時代、そろそろいろんなひとが言ったほうがいいんだよ。

 

むかしはさ、ジャンプがさ、努力、友情、勝利って標語を掲げてさ。みるからにキツイ修行をしないとさ。友情や勝利は得れないって展開を、僕らにとことん叩きこんだわけだ。

 

ジャンプ読んでなくても一緒だよ。

 

ドラゴン桜の時期さ。頑張るんだ、頑張ったらなんでもできる。お前がダメなのは頑張っでないからだってさ。漫画やアニメは言ってたし、ドラマも言ってたんだよ。

 

そんなふうに言われたらさ、僕らもさ、どーせ俺はダメなんだってさ。ふてくされるじゃない。だからめだかボックスの時期に修行シーンってのがなくなってさ。主人公が主人公なのは才能あるからだよねってはなしになってきちゃった。

 

そういうさ、努力の正しさってのが言葉の表面だけ社会に浸透しちゃってるからこそ。ブラックによる過労死が起きちゃうわけだ。

 

この作品はさ。そういう努力、頑張るって言葉の狂いをライトな作風で優しく優しく調整しようとしてるんだよな。

 

たとえばさ、主人公はさ。自分の弟子に対してこう言ってんだよ。

 

 

 

「頑張るって言葉をいい意味で使いすぎちゃダメ ! 」

私は社畜時代のことを思い出していた 。

今日 、無理に残業をすればどうにかなる 。

今日 、徹夜をすれば遅れは取り戻せる 。

そういう考えで何度も強引に物事を進めていた 。結果として 、何が起こるかというと 、常態的に無理を強いるスケジュ ールになってしまったのだ 。

もう結末は見えている 。

最後には私は過労死した 。

あれは一言で言えば頑張りすぎた結果だ 。

なので 、過剰な頑張りはもうやらない 。

日が暮れるまで働いたら 、もう残りは明日でいい 。

 

 

読んだ時さ。上手いな〜って思った。主人公の死んだ理由から話の積み立てかたまで、ぜんぶ一貫したテーマで書ききってだよね。スゴイよ、ホントに。

 

続きが読みたいからさ。みんなぜひ書店で注文して読んでみてよ。

 

WEB版

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