そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

私、能力は平均値でって言ったよね! 4巻について

 この前、『私、能力は平均値でって言ったよね!』の4巻をよみました。

 

 この作品はこんな話です。

 

 アデルって貴族の女の子がさ。10歳のある日、頭痛とともに転生者としての記憶を取り戻す。そうだ、わたしはアデルとして生まれる前は海里って名前の女の子で、まわりから天才と呼ばれていたのが嫌だった。だから神様に次に生まれ変わるとしたら普通の女の子にすべて平均値の女の子に生まれ変わらせてほしいって願ったんだと。だけど、なにかおかしい。魔法は得意だし、成績はトップ。力もコインを片手で曲げれるくらい。そっか平均値ってことはエルフやドラゴンを含めての平均なんだ! ってそんなのわたしの求める平均じゃないよ!

 

 1巻から3巻の流れがさ。ふつうの女の子になりたい少女がさ。チートを持ちつつもそれを隠そうと考え、隠せてたと思っていたんだけど、周囲から見たらバレバレだよってはなしだったんですよ。この辺の話もさ。可愛いし、面白いから是非読んでほしい。主人公の希望と周囲の流れの認識のズレとさ。目立ちたくない、評価されたくないのにしてしまうってのがさ。彼女の天然さとにじみ出てしまう人柄の良さ、かわいげみたいなとこがさ。語らずとも読み取れてしまうからさ、読んでてニヤニヤしちゃうんだよね。

 

 4巻からさ。そのふつうであろうとする少女の話ってのがさ。ある強敵との戦い。この世界に隠された秘密に触れたことでさ。一区切りついてさ、新しいテーマ、ストーリーに移行している巻だと思うんですよ。

 

 彼女さ。今回、こういうこと考えるんですよね。

 

引用

……自分は、普通の幸せが欲しかった。

でも、よく考えてみれば、自分が考える『普通』は、この世界の者にとっての『普通』なのだろうか。

 

 彼女が自分が転生前に思い描いた「ふつう」という幸せ。それを自分の能力が他の人と同じ平均値であれば手に入るはずだと考えていた。だけど、すべての平均値の結果、手に入れたのは普通ではない自分だった。だからこそ、彼女は自分の求める普通の少女を演じようとするも。周囲からは自分が望んだようなふつうの評価が得られない。

 

 この作品はさ、ふつうであることとふつうになりたいは違うっていうさ。モブサイコとかで触れているテーマを。ギャグ全開でやってる作品なんですよ。

 

 僕らはさ。子供の頃にさ。ふつうの人になりたいっておもうじゃん。ふつうに生きて、ふつうに勉強して、ふつうの大学にはいって、ふつうに結婚したいって。だけどさ、そのふつうってじつは難しい。なぜなら、僕らが思春期に考えるふつうってのはさ。けっして、ふつうじゃないんだよ。

 

 クレヨンしんちゃんのさ。野原ひろしとかマスオさんとかいるけどさ。大人になったら、ああいうふつうの大人になるのは難しいんだってわかるじゃん。

 

 僕らが痛みを伴って知っていく思春期に憧れた「ふつう」のスゴさを彼女はギャグ空間で知っていった。そのうえで、彼女は自分がふつうに生きたいと考えていた時に思っていた。その言葉の裏を知っていくんだよな。

 

 自分はふつうに友達と仲良くしたい。

 自分はふつうに冒険したい。

 自分はふつうにおいしいものを食べたい。

 

 じつはふつう、ふつうと言いながら。じつは自分が欲しかったのはべつのもので。それをふつうではない自分でふつうでない方法で手に入れていた。この気づきを何度もしているのが1巻から3巻の流れでさ。今回は仲間が危険にさらされ、世界の危機を知ったことでそれがピークに達した。

 

 今回、主人公がある決断をしてパーティーから離れようとしたけど、ギャグにオチたって展開あるけどさ。その時の彼女の心の流れ。テーマの決着ってのを言語化するとさ。そういうことなんだと思うんだよ。

 

 だからさ、こっからが気になるんだよ。ふつうであることをやめた女の子が、迫ってくるかもしれない危機にどうやって立ち向かうのか。続きが気になる。是非出てほしい。ウェブ版も応援してます!