そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『会社に行きたくないOLさんが下着メーカーで恋したら』について

 今回紹介する作品はこちら、『会社に行きたくないOLさんが下着メーカーで恋したら』です。

会社に行きたくないOLさんが下着メーカーで恋したら (美少女文庫)

もくじ

どんな話か

 ヒロインの雪優華は、下着会社に広報部として入社する新入社員。入社当初は憧れの会社に入れたと意気込んでいたが、3ヶ月後には現実に打ちのめされ、会社に行きたくなくなっていた。そんななか、ひょんなことから開発部の戸渡涼と知り合う。新人の彼女は彼に仕事の上での悩みを相談するようになる。しだいに仲を深めた二人は恋人関係に。そんななか、戸渡は下着の新商品のアイデアに悩んでおり、そのために雪優華とさまざまな試みを行うようになる。
 作者は肥前文俊先生。一般だと『青雲を駆ける』という鍛冶師が異世界転生して鍛冶技術を広める転生もの。美少女文庫だと、『吸血鬼と学ぶ美味しいコーヒー』などがある。念入りに資料にあたって調べた上で、書いているため、とても情報量が多くどの作品も読みごたえがあります。それでいて硬すぎる文章ではない。誰が読んでもすっとはいる癖のない丁寧な文で書いています。
 ヒロインも魅力的で、読んだ印象だと巨乳のキャラが多い印象です。技術、時代考証の部分と同じくらい、ヒロインや主人公の心情も丁寧に書いています。

ヒロインの魅力

 今回、挿絵を担当されたのが大嘘さん。twitterで会社に行きたくないOLちゃんという絵を上げており、RTであがってきたのを何回か見たことがあります。絵が肉感的でかなりエロい。うつろな目が加虐心をそそります。今回表紙で思わず買っちゃいました。雪優華ちゃんはとてもかわいいです。内向的というよりも受け身な感じで、押しに弱そうな感じがすごいいいです。
 読み勧めていて、頑張りすぎていて、気持ちを表に出せない状態にある感じがあやうさと儚さを感じました。彼女はすぐに戸渡さんに出会えたことで、前向きに考えるようになるんだけど、彼がいなかった場合、twitterのほうのOLちゃんみたくなるんだろうな、と思いました。
 肥前さんの心理描写が、本当に大嘘さんの書くOLさんの心情って感じがしたのがよかったです。

物語の構成

 すごい丁寧な心理描写があり、恋人としてのステップアップを踏みながらもちゃんとエロがあってよかったです。
 会社に行きたくないOLさんの悩みも、深刻すぎないちいさな問題の積み重ねをちゃんと説明してくれているからこそ、共感できるものでした。そこを読んでいくうちに、彼女はどうなるんだろう。自暴自棄になったりしちゃうんじゃないだろうか、と不安になったところで、戸渡という彼女の悩みに寄り添ってくれる人が出てきたのには安心した、と同時に一抹の不安をいだきながら読み勧めた。
 それは弱った彼女の前に現れた彼はどんな人なのか、というのがわからなかったから。これは読者の興味を引いたという意味です。彼女を幸せにしてくれるのだろうか、という不安があるからこそページをめくりたくなりました。大嘘さんの画風もあってか、ヒロインちゃんからは押せばヤレそうな感が出てるんですよ。そこが悪い男に引っかかりそうな未来を想像しちゃうんです。
 なので、最終的にラストで戸渡さんが両親に紹介する予定を話してくれたところでようやく安心しました。
 仕事の悩みを相談しながら関係を深めて、家に呼ばれてのなあなあでエッチにまでもっていく流れがかなりエロくてよかったです。
 職場恋愛だからこそ、定番のオフィスラブはあると思ってたんですが、そこにいくまでの流れが最高でした。
 
 ヒロインが可愛くて、魅力的な作品です。心理描写も丁寧で、ワクワクハラハラしながら読みました。
 おすすめの作品です。次の肥前文俊先生の作品も読みたいです。