そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

『佐々木とピーちゃん』1巻と2巻について

 さて、今回紹介する作品はこちら、『佐々木とピーちゃん』の1巻と2巻です。

 こちらの作品は異世界転移もの。主人公の佐々木は40代。
 独身中年の人生の癒しを求めて、ペットを飼うことを決意した主人公は、ペットショップで文鳥を購入する。
 その文鳥は、異世界から現実世界に転生した星の賢者、ピエルカルロであった。
 佐々木は彼をピーちゃんと呼び、共同生活をはじめる。その傍ら、彼から魔法を習い、彼のいた異世界と自分の住んでいる現実世界を行き来する。
 そして、異世界では、現実世界のものをもちこんで、佐々木は商売を始める。

 ここまでは異世界転移ものではよくあるパターン。
 面白いのが、異世界と現実世界との交易ものを描きながらも、現実世界で、魔法を覚えた佐々木が別の事件に巻き込まれていくことだ。

 現実世界で、佐々木は超能力者どうしの抗争に巻き込まれることになる。
 佐々木のいた世界では、能力者という特殊な能力の持ち主がいて。能力者は国の要する組織に管理されている。
 その組織と敵対する組織もあり、能力者どうしが裏で争いあっている。

 佐々木も氷の氷柱(ツララ)を無から精製できる能力者として組織に属して戦うことになります。

 異世界転移ものでありながら、現代を舞台にした異能力ものである。
 この二つの物語が独立した物語でありながらも面白い。
 しかも、話が進むにつれて相互に干渉しあっています。
 ここで、この話とこの話がつながるのか。ここで、この登場人物とあの登場人物がかかわるのかと読んでいてワクワクします。

 異世界転移ものの場合、どちらかの世界での物語はあくまで、片方の物語の箸休めに使われることが多い。
 しかし、この作品では二つの世界での物語がちゃんと一本筋の通ったはなしとして成り立っています。
 それでいて、読み辛さがない。語り口は軽いけど、いい感じに読みやすい。

 どちらの世界にいても、佐々木の目的やスタンスがブレないので、話の展開に戸惑うことがない。
 オススメの作品です。