そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

ネタバレ注意! LA LA LANDを観ました

 LA LA LANDを観ました。

 

 ネタバレがありますので気をつけてください。

 

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あらすじ

 女優を目指すミア、しかしオーディションには落ち続ける。そんななか、ジャズピアニストのセバスチャンに出会う。しだいに2人は恋に落ち、それぞれの夢に向かって歩き出す。

 

 人生のすべてがここにある。月並みな感想ですけど、そう思いました。

 

 最初、まず高速道路の渋滞からはじまるんですよね。みんなイライラした表情。そんななか一人の女性がウキウキとした表情で車の外へと出る。そしたらさ、車に乗ってるみんなも踊りだすんだよね。

 

 ここ、象徴的ですよね。みながみな、ハリウッドにきている。それは夢があるから。それはダンスだったり、楽器だったり。いろんな夢を叶えに俺たちはハリウッドに来たんだ。だけどさ、みんなが同じとこに向かってるから渋滞してるんですよね。夢に向かうエネルギッシュさと、停滞しているリアル。この二つがうまく混ざっている。

 

 この映画はミュージカルなわけなんですけどね。踊りだしたり、歌いだすのにちゃんと理由づけされている。それはこの瞬間、わたしには世界にはこのように見えているんだっていう主観によるリアルなんですよね。だからこそ、最後まで感情移入してみれてしまう。

 

 僕はさ。恋なんてしたことないけどさ。夢に向かう時だったり、むかしのことを思い出すだったりさ。恋をして、夢を叶えてみたいなさ、シチュエーション事態はさ。非現実的なんだけどさ。あいまあいまのさつらいときだったり、どうしようもない時のさ。心の動きはリアルなんだよ。そこが見ててツライんだよ!

 

 僕らが感動する時ってさ、最初に共感があるんだよね。この人は自分と同じだっていう共感がさ。でもさ、その後で泣く時ってさ。その共感を裏切られたときなんだよ。

 

 ミアはさ。夢を一度諦めようとするよね。自分には才能がないんだって言ってさ。田舎に帰るときさ。あんだけ渋滞してた道がさメッチャすいてんだよな。でもさ、セバスチャンがさ。ミアの実家に行くんだよ。ある監督が彼女の舞台を観ててさ。会いたいみたいなはなしでさ。

 

 んでさ、オーディションするわけじゃん。俺、あの辺のくだり好きでさ。その監督さんの撮りたい映画ってのがさ。脚本がなくてさ。俳優のそのときそのときの即興を撮るみたいなのなんだよな。それがいいよね。今までうまくいかなかったのが、脚本どおりにしゃべろうとしてたからでさ。じつはセバスチャンのおかげでさ。自分で脚本を書いて一人芝居をした。それが正しかった。

 

 でさ、オーディションの時に語るんだよな。祖母との思い出をさ。あの時さ、ああ、そういうことってあるよな〜って思ったよ。俺らにはさ。夢と一口で言ってもさ。そう簡単に語りきれるもんでもなくてさ。なにかしらのさ、エピソードがあったうえでさ。だからわたしには夢があるのって言うんだよな。

 

 この作品はさ。夢の話でありながらさ。その夢に向かうために人は自分のための記憶を、ストーリーを、映画を編集してしまう。

 

 それをさ、俺らに気づかせてしまう。残酷な映画なんだよ。

 

 最後さ、片方は女優に。もう片方はジャズバーのオーナーになったわけじゃん。しかも、ミアはさ。他の男と結婚してさ。セバスチャンのピアノ弾くわけだよ。

 

 そして思い出すあの頃。彼はあの時も寂しげにこの曲を弾いてたわ。思わず彼にかけより、素晴らしい曲だわ、と言いかけたその時、2人は幸せなキスをした。

 

 お前らは、これ、じつは実話なんですとのたまって書かれる携帯小説の登場人物かァァァァァ!

 

 そうなんだよ、その時、彼女(あるいは彼なのか!?)が思い出す記憶の数々はさ。スゲェ都合のいいように編纂されたラブストーリーなんだよ。それをみててさ、ちょっとわかると思う瞬間にくる俺の心の中のなにかが崩れてしまった気がする。

 

 俺らはさ、人生のさ、スゲェ上向きな瞬間にさ。なにかしらのストーリーをつくってさ。その先を進んでいこうっておもうんだよな。

 

 ミアもさ。わたしたちの人生って素晴らしいものだったよねってさ。今たっているところからさ。それまでのプラスだけを抜き出すことでさ。これからも頑張ろうってさ。2人はみつあって笑うわけだよ。

 

 でもさ、なんにもなれなかったやつがさ。このさ。どうしてひとは夢を抱き、それに敗れても幸せでいられるのかっていうさ。心の動きというか。仕組みというものをさ。知ってしまうとさ。俺は今までなにをしてたんだ。俺がやろうとしてたことの源は、モチベーションは、あの時の誓いは。脳みそが適当に、俺が都合のいいように編纂した映画に踊らされてただけなのかってさ。思わないでもなくはなくもないんだよ!

 

 だから俺は二度と観ないと思った。もう一度みて、夢って素敵ねの魔法をかけてもらおうなどという甘っちょろいことはしたくないと思った。

 

 たかがミュージカルだと思ったら痛い目みるからな。ホントにマジでさ。