そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

おめでとう、俺は美少女に進化したについて


さて、今回紹介する作品はこちら、『おめでとう、俺は美少女に進化した』

あらすじ
白いフリルのノースリーブにふわっとした膝丈のスカート、黒髪ロングの、ちょっと自分に自信がない人見知りな清楚系美少女コスプレイヤー・朝倉すばる。…“俺”である。そう、冴えない大学生の俺・鈴村将晴の友達にも家族にも絶対言えない秘密、それは女装コスプレ。あまりの完成度の高さに親友(男)の婚約者のフリをさせられ義理の弟と妹に惚れられイケメンに迫られ…ってこれハーレム?逆ハー?―俺の心の平穏は、いつ訪れる!?

 カクヨム書籍化作品も10作目です。今回は紹介するのは女装男子物です

 女装していることを秘密にしなければいけない主人公に、義理兄弟に惚れられてしまうことと幼馴染の小林稲葉の恋人のふりをするという二つの問題が起きる。それらを何とかしようとすると、別の問題も付随して、どんどんややこしいことになってどうすんだって話です。

 女装していることを隠さなければいけないっていう大きな問題があって。それゆえに誤解が広まり、雪だるま式に問題が大きくなるのが面白いですね。
 主人公の一人称のまま、複合的な事件が広がっていくとこもいいです。
 この作品、いろんなところで誤解が広がっていっていくんですけど、その場合、べつのキャラの視点が入ってもおかしくはないんですよね。でもそれはしない。この作品は主人公の視点のまま固定しながら、事態の深刻化をキャラの会話で主人公と僕らにわかるようにしている。

 あと、登場するキャラの濃さですね。ハーレム体質で修羅場に遭遇しやすい幼馴染。その幼馴染が好きなヤンデレ婚約者。幼馴染の姉が好きすぎて、それゆえに極端な行動に走る女の子。いっかい読むと、忘れられない濃いキャラの存在があります。
 そのキャラたちを全員腐らせずにうまく人間関係を整理していっているのはスゴイですよ。

 それと、美少女コスプレの好きな男の子を主人公にするだけあって、主人公がプレアデスとして活躍するまでの過程がかなり細かくしっかり書かれているんですよね。風が吹いたら桶屋が儲かるみたいにさ。複数の事件に対してさ。主人公がこういうことしたら、こうなってこうなったみたいなことをしっかり考えてある。だからこそ、いろんな事件が複合して起きてさ泥沼化しているわけなんだけど。最終的にはきれいにおさまるんだろうなっていう安心感があるんですよね。

 コメディを読んでいるはずなのに。作者、頭いいなって読んでて思います。
 
 後半出てきた一真さんが主人公とどうなっていくかも気になりますし。主人公のことを気に入った美咲さんの活躍も気になりますね。
 ぜひ、続きを書籍で読みたいです。