そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

勇者のパーティで、僕だけ二軍について

 さて、今回紹介する作品はこちら、『勇者のパーティで、僕だけ二軍!?』 

 

 あらすじ

 魔王討伐における人類の希望―勇者。そんな勇者が率いる最強パーティに、炊事・洗濯さらには買い出しを極めた選ばれし雑用がいた。彼の名はロキ。パーティで唯一の二軍である!「僕は雑用をするためにパーティに入ったわけじゃない!」女遊びに二日酔いとクズすぎる勇者のもと、くじけそうになりながらも一軍を夢見て剣の特訓を続けるロキ。そんなある日、自称・天才美少女魔法使いのルミナの二軍落ちをきっかけに、一軍の座をめぐる闇討ち上等なパーティ内戦争が勃発し―!?この物語は、ぼっちな二軍の少年がメンバーたちの信用を勝ち取り、クズ勇者への下克上を目指す冒険譚である! 

 

 底辺の主人公が努力して這い上がる。最悪の状態から強くなっていく話。こういうのって読んでてイライラするもんなんですけど。この作品はそれが少ないんですよね。勇者自体はクズである、ヒドイヤツだって感じなんですけど。その勇者の周りのヒロインはけっこう優しい子、かわいい子なんですよね。だから虐げられているというよりも庇護されているようにみえますから、あまりストレスを感じずに読めますよね。

 

 それとストーリ―の仕組みとして面白いのは。一見、わがままな勇者に振り回されている主人公なんだけどさ。じつはそのわがままによって、主人公が成長する機会が与えられている。このへん見ているとさ。これ、女王の教室なんじゃねぇかなって思うんですよね。

 

 女王の教室、もう10年くらい前のドラマですね。天海祐希演じる女王のような女教師、阿久津真矢と志田未来が演じる神田和美との学校内での闘争を描いた作品です。金八先生、GTO、ごくせんと、いろんな教師が出てきたわけなんだけどさ。秋葉でトラック突っ込んだとか。2000年にバトルロワイアルが映画化されたりさ。大人が子供がわからない。どういう教育すればいいんだって時に。厳しい時代になるからこそ、厳しい態度で接するんだっていう逆切れみたいな発想のドラマなんですけどね。ストーリーの作り方はうまいんですよね。

 

 阿久津真矢の恐ろしさ描きながらも、主人公たちのひたむきな努力、友情。心が上向きになるシーンを1話1話ちゃんといれながら、ラストあたりで心を折って、続きが見たいと思わせる。さすがは志田未来の出世作ですよ。この後で女王の教室のイメージをひきずった学校内の問題をわかったようなツラで描いたような作品が増えるんですけどね。かなり面白いドラマだった。

 

 これもストーリーラインは女王の教室と同じだと思うんですよね。かなりファンタジーとコメディ寄りではあるんですけど。

 

 この作品の主人公を二軍にしている勇者はさ、女遊びをしたり、パーティーのメンツを変えたり、主人公をボコボコにしたりとさ。読者からかなりヘイトをため込ませるようにイベントを重ねている。だけどさ、この勇者の行為で街にとどまったり、魔法使いが二軍になったりしたことがさ。まわりまわって主人公の成長につながってるんだよな。つまり、じつは勇者と主人公が作品全体でライバル関係でありながら、じつは師弟関係になるように書いてんじゃないかとも思うんだよな。

 

 この辺はさ、カクヨムに投稿されているほうだとちょっと違うんだけどさ。この作品がさ。カクヨムで出版された中で一番大幅に変更点が多い作品であることを留意するとさ。そうなりそうな話になっている気がするんですよね。

 

 2巻が出たら絶対買います。5月予定らしいんで、作者さんにはぜひとも続きを書いてほしいです。