そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

ネタバレ注意! キリトはVR男子⁉︎ 劇場版ソードアートオンラインについて

 劇場版ソードアートオンライン  オーディナルスケールを観てきました。

 

 

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まずはソードアートオンラインシリーズについて説明します。

 

ソードアートオンラインとは、

 装着することで仮想現実空間にダイヴできる機器ナーヴギアを介して行われるVRMMORPG、通称SAO。そこにサービス開始初日にログインしていたプレイヤー、合計1万人がゲームの開発者、茅場晶彦によって閉じ込められる。

 

 SAOは、ナーヴギアを外す、あるいはゲーム内で死ぬと現実世界でもプレイヤーは死んでしまう。生きてSAOを脱出するには最下層100層のボスを倒さなくてはいけない。

 

 主人公の桐ヶ谷和人、キリトは当初孤高の凄腕ソロプレイヤーとして数多の敵を屠るも、その過程でたくさんのヒロイン、男性キャラと交流していくうちに心を開くようになり。たくさんいるヒロインのうちの一人、結城明日菜、アスナとSAO内で結婚し、彼女と現実世界で幸せになるために、ラスボス撃破によるSAOからの脱出を目指す。しかし、その途中、キリトは黒幕の存在に気づき、彼との対決に勝つことで1万人のプレイヤーは現実世界に帰還し、キリトはアスナとめでたく恋人どうしになれたのでした。

 

いろいろ端折っちゃてるけど、この辺が映画を観る上で重要なこれまでの話です。

 

 さらに、ソードアートオンラインの魅力はですね。このSAO事件が序章に過ぎないってことですね。キリトはSAOから現実世界に帰ってくるわけなんだけども。その後、彼の前に立ちはだかる敵はSAO事件で黒幕だった茅場晶彦を模倣する者。SAOの時の恨みを晴らそうとしたり、その世界での万能感が忘れられない者。つまり、原点にして頂点。最初の事件と最初の敵が一番強くて、あとのはそれの派生でありながら、一つ一つが魅力的なストーリーになっている。ジョジョを想起させるような世界観の広げかたをしている。だからこそ、いまだに人気で世界観が広がり続けてるんですね。

 

それを踏まえた上で、ソードアートオンラインを語る上で重要なのが、この作品は俺TUEE小説であるようにみえるが、じつは俺強かったんだぜ小説。つまり、青春時代の万能感に想いを馳せるノスタルジーを描いた作品であるということだ。

 

ソードアートオンラインの悪役たちはSAO事件を土台に生まれている。彼らはあの時の感動を再現する模倣するために生まれてきていて、それこそが主人公の影として悪役、シャドウとなっている。

 

悪役は主人公のもう一つのありえた未来、シャドウであるっていうベタでこの物語を読み解くとするなら、キリトくんはあの頃の自分ってやつにいまだに依存してるんですよ。

 

 今回、まず序盤でオーグマーっていう現実世界に仮想のデータを付与するARデバイスが流行ってるって話をした上で、ヒロインたちはそのARデバイスをいつもつけてて、キャッキャッとゲームすんだけど、主人公のキリトは不満げで、極力ARデバイスをつけないようにしてますよね。

 

 あれ、ぱっとみ、ガッチャマンクラウズのハジメちゃんみたいにさ。周囲の変化の異常性に主人公だけは気づいてるって感じにも見えんだけどさ。

 

ぶっちゃけさ、俺らからしたらさ。現実を盛ることに楽しみを見いだすインスタ女子と名前からプロフィールまで架空のものにするツィッター男子の構図にみえてさ。ARを不審に思うキリトの気持ちがさ、俺らにもちょっとわかるよね。

 

これ見てるとさ。もしかしたら、ARとVRもこうやって男女にわかれて発展していくんじゃないかと思えるのが面白いんですよね。

 

んで、キリトはやっぱVRがいいっていうんだけどさ。みんなはどんどんARのほうに行ってしまい。既存のVRゲームの利用者は減ってしまう。しかし、キリトはそれでもARでなくあくまでVRのほうが好き。だからこそ、アスナも途中でARのイベント戦にキリトを誘わずに一人で参加してるんですね。この辺からさ、二人の関係の不穏さみたいなのを暗に示してんだとおもうんだよね。

 

 キリトはVRに心が向き、アスナはARに心が向いている。今回の事件はその時に起きるってのが悪意たっぷりなんですよ。アスナはARのイベント戦であるボスモンスターと戦う。そいつはなんとSAOに存在していたボスモンスターと同じなんですよね。ある日、彼女はキリトを誘わずに一人でイベント戦に参加したところ、そのボスモンスターにやられてしまう。するとなんということか、彼女はSAOの時の記憶をなくしてしまうんですよね。

 

 この後の僕にとってすごい好きなシーンがさ。キリトとの病院の待合室での会話。キリトがさんざんSAOの時の思い出の場所に連れ回した後でさ。アスナちゃんは思い出せない自分にヘコんじゃってるんだよね。そんな彼女に対して、彼はきっと思い出せるよって言うとさ。彼女は突然、青ざめた表情で右手を上げ、まるで人差し指で空中をなぞるようなしぐさをした後で倒れてしまう。

 

 キリトには最後まで彼女がなにをしようとしたのかまったくわからないんだけどさ。僕らにはわかるよね。彼女は、ネットに繋いでメールを送ろうとした。オーグマーなんてつけてないのに。

 

  じつは彼女は序盤で同じしぐさをしてるんですよね。目の前にキリトがいるのに、彼に送るプレゼントのことを秘密で相談するために。

 いわゆるデート中にスマホをいじるってやつなのに。この映画だと可愛くみえるから不思議だよね。

 

 あの時の彼女は、キリトにきっと思い出せるよっなんて言って欲しくなかったんですよね。思い出はこれからつくればいいとか。過去よりも今が大事とか。そういう言葉を言ってほしかった。そもそもSAOの時の記憶がないだけで、恋人になってからの記憶はあるんですよ。だからキリトの言葉にアスナの指が思わず動いた。無神経な彼氏の言葉よりも別の遠い友達と繋がりたかった。だって彼は今のアスナなんてみてないもの。過去の俺TUEEの延長線上のアスナをみてるんだもの。このまま思い出せなければ彼は自分を捨てるのではないかそのくらいの不安が頭をよぎったんじゃないかな。

 

 その後、ヒロインの日記を勝手にみることでアスナの心の内を知ったキリトがハッピーエンドにむかっていつものお得意の俺TUEEでゲームを攻略するわけだけどさ。あの日記を彼氏に見られたアスナちゃんはまるで突然ロボットになっちゃったようにみえたよ。彼氏に日記見られたのに、キリトくんならいいとか、お前聖人かよっての。

 

 アスナちゃんは一人の女の子のようにしっかり心の動きを繊細に描かれるときもあれば、ある一定のラインを超えそうになった時にいかにもアニメキャラですって言わんばかりに優しくなるんだよね。

 

 つまり、アスナちゃんにはさ、こんな子いたらいいなって信じるための心の屈折と都合のいい可愛い女の子のプログラムが組み込まれている。でっ、そんなもの本来は両立するわけないんだから、ときどきバグかなって思うくらいチグハグな時がある。

 

 これを踏まえた上で、主人公のシャドウたる悪役の目的を考えると笑えてくる。彼らの願いはSAOで失ってしまった一人の少女を生き返らせること。これこそがキリトの闇なんだよ。彼はSAOの時に手に入れたアスナが好きなんだ。だからSAOの時の記憶をなくしたって時に彼は必死で彼女の記憶を取り戻そうとする。

 

 敵役の言うように、死にさえしなければ一人の女の子を生き返らせるためにSAOの時の記憶くらい犠牲にしたっていいだろうにね。

 

 ラストは結局VR世界で過去のキャラが全員集合して戦うまるで仮面ライダー大戦のようなラスト。つまり、二人の未来の不安を提示するだけ提示してぶん投げたわけだ。

 果たして、このまま二人の時計の針が進んだとして彼らはこのままSAOの時のように結婚できるのだろうか。俺には二人の未来が、旦那さんは青春時代の栄光に思い出に胸を馳せ、奥さんはこの人と一緒でいいのかと将来に不安をかんじるなんてことになってしまうんじゃないかと考えてしまう。

 

 なんてたってさ、彼女は明日に向かって芽ぶく菜と書いてアスナと呼び、彼は俺らのような学生時代が華と考える典型的な日本人、和の人と書いて和人なんだぜ。二人がいい夫婦になりたいと考えるのならばもうすこしアスナちゃんはキリトにキレたほうがいいと思うんだよ。

 

 

 

ソードアート・オンライン1 アインクラッド<ソードアート・オンライン> (電撃文庫)

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ソードアート・オンライン Blu-ray Disc BOX(完全生産限定版)

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