そう、それが言いたかった

2010年にpixivではじめての処女作、『who are the hero』を投稿する。who are the heroを完結後は小説家になろうに移動。現在、思春期の少年、少女がゾンビたちが蹂躙する日本で戦う『エデンプロジェクト』と、はてなブログでネット小説書籍化本の批評ブログ、『そう、それがいいたかった』を更新中。

ジャパリパークはユートピアか? けものフレンズについて

朝、ふとスマホを見る。

すると、みなが口々に言うのであった。

「すごーい」「たのしー」

みながみな、同じような言葉を使い出す。何事かと思うと。彼らはこちらを向いて、こういうのであった。

 

 

www.nicovideo.jp

 

「そっか、キミはまだけものフレンズをみていないフレンズなんだね」

 ちょっとしたホラーですよ。だがこれは現実にあることである。

さて、僕もついこの前にけものフレンズをみましたよ。

すごいアニメですよね。ある人はこれは重厚なSFだと語り、ある人はたのしー!とすごーい!しか言えなくなる。

 ぶっちゃけ、僕もこれを見てから数日間はけものフレンズのことしか考えられなくなってですね。ブログがかけるような状態じゃなかったですよ。今回はみんなのすごーい、たのしーなところを共有した上で、俺なりにこの世界のこういうとこがうらやましいよなって話をします。

 

けものフレンズってなに?

とつじょあらわれたサンドスターによって、動物たちは次々とフレンズという人間の女の子に姿を変え、大昔に人間が作っていた複合施設ジャパリパークでにぎやかに暮らしていた。そのジャパリパークのサバンナ地方でかりごっこを楽しむサーバルちゃんはある日、一人の少年と出会う。彼は記憶を失っていた。そのため、サーバルちゃんは彼をかばんちゃんと名づけ、彼が何のフレンズかを調べるために図書館にむかって旅立つのであった。

 

基本、自分が誰かわからない。たぶん人間であるであろうかばんちゃんが自分が何者なのかを知るためにジャパリパークにある図書館を目指すって話です。でっ、その途中でたくさんのフレンズに出会うっと。

 

この作品の魅力は1話見ただけじゃわからない。というか、あまりにも作風が挑戦的過ぎて、楽しみ方がさいしょはわからないんですよ。でも、なぜか最後まで見れちゃって、2話目だと作品内の不穏さに興味が引かれ、3話目でキャラの可愛さにやられ、4話目で作品を楽しむための頭のピントが合うんだけどさ。合わせすぎると、頭がおかしくなるんですよ。

 

表向きの作風がNHKの教育番組。最初は女の子にケモノの耳が乗っかってるだけに見えるんですけどね。人間と比べると、サーバルちゃんは走ったら息が整うまで時間がかかるとか。アルパカちゃんは不機嫌になるとツバを吐くとか。ちゃんと動物の細かいしぐさを擬人化に反映させてるんですね。

 

なさけないはなしだけどさ。俺、人間が動物に比べると持久力があって、長い距離を走れるってはじめて知ったよ。しかも、そういうのわざわざ説明しないんですよね。

 

で、教育テレビ風でありながらも世界観はかなりブラック。ジャパリパークってのがいったいどういうとこだったのかって説明はいまんとこないんだけどさ。みててわかるのが、むかしに人類が作ったであろう施設で。今はもうかばんちゃん以外の人類がジャパリパークにいなさそう。で、セルリアンという生命体がいて、フレンズを食うらしい。寂れた施設に女の子がキャッキャッと楽しそうにしてるとこ見ると、ちょっと悲しくなりますね。

 

そして、サーバルちゃんが可愛い。好奇心が旺盛で、どんなことにも前向きに取り組む。人の欠点には「キミは○○が苦手なフレンズだね」といって、その人、動物それぞれの長所に目を向け素直に「すごーい」と褒める。

 

今、TLでさ僕の知り合いもみんなけものフレンズに感化されているんだけどさ。そういうとこなんだよな。

 

僕らはさ、生まれてすぐ幼稚園に入って、小学校に入学してさ。そこでやることといったらさ。勉強がどれだけできるか。スポーツがどれだけできるか、容姿は整ってるかのこの三つだけを比べられて。それでクラスの立ち位置が決まって。それが人生のすべてだと悟った気でいたまま。大学に来て、社会に出てしまう。

 

これが学生時代ののろいってヤツでさ。これのせいでダメになっちゃうマジメな子ってのがさ。僕らの中にいると思うんだよね。

 

そんな呪いをかけられた僕らの心の傷にけものフレンズは染みこむんだよな。かばんちゃんはさ、記憶喪失だからさ、自分は人間じゃなく、なにかしらの動物のフレンズだとおもってるからさ。崖も上れないし、空も飛べない自分はダメな動物なんだっておもっちゃうんだよ。見てる俺らはそんなことないって言いたいんだけどさ。動物が擬人化している世界ではさ言葉を使えることも二足歩行できることもたいした意味がないからさ、たしかに特技がないように見えちゃうんだよ。でも、そんな彼にさ。キミは長い距離を歩いてもすぐ息が整うんだね。スゴーイ! ってさ。俺らが普段気にしないような人類の長所にすぐ気づいちゃうんだよね。でさ、いろんなフレンズが出るんだけどさ。2話や5話ではさ。かばんちゃんの考えをもとにみんながそれぞれの長所を生かしてさ橋を作ったり、家を作ったりするんだよね。それがほんとにほっこりするんだよね。

 

そんな中で俺が見ててスゴイなぁっておもうのがさ。ジャパリパーク全体にあるお互いを助け合う社会があるとこなんだよな。

 

2話でさ。ジャガーが出てくるんだけどさ。そいつなにしてるかってぇとさ。川の中でさいかだみたいなのを引っ張っててさ。なにしているかというとさ。橋がなくなって困っているみんなのためにさ、川をわたれないフレンズを運んであげてんだよね。4話見た限りではさ。フレンズには貨幣の概念がないんだよね。3話でも、カフェをやっているアルパカでるけどさ。ここに休憩所があったらいいかもなっていう優しい気持ちがあってさ。どうやらジャパリパーク内の福祉ってのがフレンズたちの趣味の延長線上、善意みたいのでできているってとこがいいよね。

 

でっ、これがさ。そういうキャラだから作風だからだけじゃなくてさ。そういう子たちが出てくるための社会の仕組みがあるからだとおもうんだよ。

 

たとえばさ、ジャパリマンってのがあるんだけどさ。フレンズたちはその饅頭を食料源にしているからさ。肉食と草食との捕食関係がないんだよ。んでさ、みんなが当たり前にそれを食べているということはさ。どうやら、ジャパリパーク内ではだれもが一定量のジャパリマンが手に入れられるらしい。

 

これさ、ベーシックインカムになってんじゃないかな。

 

 ベーシックインカムってのさ。ホリエモンさんや岡田斗司夫さんなどの文化人の方が提唱している社会保障の考え方なんだけどさ。保険や学校などのあらゆる社会保障をいったんゼロにする代わりに、一人ひとりが生きるための最低限度の金額を払うって考えたらしいんだよ。

 

 サーバルちゃんのさ。苦手なとこよりも得意なとこを見つけようって姿勢とかさ。アルパカちゃんやジャガーちゃんのみんなが喜ぶことをしたいって考えはさ。生きるための食がさ。ある程度全体にいきわたっていて余裕がある状態だからこそできているじゃないかとおもうんだよ。

 

3話でさ。アルパカちゃんは図書館で紅茶の入れ方を勉強したって言ってんだけどさ。これってさ、いわゆるネットがあればなんでも勉強できるって状態なんだとおもうんだよ。もちろん、偽の情報が多くて、今は難しいんだけどさ。グーグルとかがさ。人工知能のディープラーニングってのを発達させて、目的の情報にたどり着くための整合性、あるいは正答率? ってのを挙げようとしてるしさ。いつか頭がいい人はネットだけで勉強できるってのはありえない話じゃない。

 

安定した食料があって、誰もが学べる機会と権利がある。この状態で作られている相互の助け合いの社会。これいわゆる評価経済社会なんですよね。

 

評価経済社会ってのは、貨幣よりも周囲の評価が生きるうえで必要になるから。その評価を中心に形成されるであろう新しい社会のことで、ガイナックスの元社長さんの岡田斗司夫さんがそのことで本を出しています。

 

彼女たちのやさしさの根幹ってのがさ。動物だからってのもあるだろうけどさ。無駄なものがなくなった中で、人類の残したデータベースと大量に手に入る食料ってのも起因しているとおもうんだよな。